Cha道

Chatworkの「人」「組織」を
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NTTドコモ、エス・エム・エス、BASEを経てChatworkへ。SaaSのセールス・マネージャーとして見えてきた勝ち筋。

戦略思考とストイックな努力。2つの武器で通信制の高校から慶應義塾大学へ。NTTドコモ、エス・エム・エス、BASEで、セールス組織の立ち上げと拡大を担ってきた澤井。働きながら早稲田大学大学院 経営管理研究科を修了後、Chatworkに入社。グループ会社のセールスとマーケティング部門を任されている。セールスマネジメントのプロフェッショナルとして、見えてきたものとは?Chatworkで描く未来は?詳しく聞きました。

■プロフィール

澤井 翔輝
BPaaS本部 ミナジンユニット セールス&マーケティング部 マネージャー
兼 株式会社ミナジン(出向)

東京都出身。慶應義塾大学経済学部卒業。2013年4月、NTTドコモに新卒入社。法人営業や営業企画を担当。2017年にエス・エム・エスに転職。介護事業所向けの購買支援や、SaaS事業のセールス組織のマネージャーを務める。2022年、EC関連のサービスを展開するBASEに入社。セールス組織の立ち上げを担当。働きながら早稲田大学大学院 経営管理研究科を修了し、2023年4月、Chatworkにジョイン。グループ会社のミナジンに出向し、セールス・マーケティング部門の責任者を務めている。

通信制の高校に通いながら、怒濤の受験勉強。慶應義塾大学に進学

──どのような学生生活を送っていましたか?

高校は都内の通信制の学校に通っていました。学校に通うのは週に1日で土曜日だけだったので、平日は夜遅くまでコンビニエンスストアでアルバイトをする毎日です。アルバイト先の人たちともウマがあって、一緒に遊んだりして楽しく過ごしていました。

高校2年の秋口になって、少しずつ将来を意識するようになって、「このままコンビニでバイトし続けることが、自分の人生にとって良いことなのか……」と考えるように。中学時代にお世話になった先生に相談したところ、「澤井君は大学に行くべきです」と強い口調で言われました。全く勉強していなかったので、「勉強の仕方が分からないです、先生」と返したら、「だったら、私が教えます」と熱い口調で返されたので、そこから受験勉強を始めたのです。

受験までに、1年と少しの時間しか残されていませんでした。受験の選択科目が少ない学校の中で、せっかく勉強するならトップを目指そうと、慶應義塾大学を志望。持ち前の反骨精神にも火がつき、英語の文法すら何一つ分からない状態から、怒濤の受験勉強を始めました。中学時代の先生に英語を教わりながら、予備校にも通いました。一番下のクラスからのスタート。志望校の出題傾向を分析して覚えるべき単元にフォーカスし、とにかく脇目も振らずに勉強しました。友人との連絡も絶って、とにかく集中して取り組んだところ、何とか合格することができたのです。成果を出すことに全集中して、戦略を立ててムダを無くす。そして、孤独に耐え抜いて向き合えば、目標を達成できる。受験勉強の体験が今の仕事観にも影響していると思います。

新卒でNTTドコモに入社。泥臭い現場営業と企画部門を経験

──大学を卒業して、NTTドコモに入社しました。どのような経緯があったのですか?

大学時代に携帯電話ショップでアルバイトをしていて、ゼミでもモバイルサービスに関する研究を行いました。仕事としても興味を持ち、NTTドコモに入社したのです。

茨城県の支店に法人営業として配属になりました。ドコモの携帯をご契約いただいている企業に対して、固定電話の回線やチャットサービス、勤怠管理サービスなどを提案する仕事です。携帯電話はドコモの代理店経由で契約していただくので、代理店の営業担当と協業するのですが、必死にお客様に食らいついていました。一人ひとりの営業の売上が、代理店の成長に直結しているので、行動量も多いし温度感も高い。茨城だけではなく、埼玉や千葉のお客様にも訪問していたので、1日に200kmくらい移動する日もありました。泥臭く営業する大切さと素晴らしさを学べたことに、感謝しています。

──現場での営業の次は、本社での営業企画業務に携わったそうですね。

代理店向けの営業企画に携わることになりました。現場で学んだことを本社で活かしたいと思っていたので、絶好のタイミングでの異動でした。営業リストを作成して支店に配付したり、受注した際のインセンティブを設計したりと、現場の営業活動を促進するのがメイン業務です。現場の感覚を活かして、様々な提案を行いました。中でも、中小企業向けの売上を伸ばすために、顧客の獲得数が多い代理店へのインセンティブを厚くする施策が奏功。目標を大幅に上回る業績を出すことができました。

──現場と営業企画の双方を経験し、業績を出している中で、転職を考えたのはなぜですか?

より幅広い業務を経験したいと感じていたからです。自分の担当領域でできることは、ターゲットリストの見直しとインセンティブ設計がメイン。もっと色々な施策を試してみたかった。自身の裁量を拡げつつ、ビジネスパーソンとしても成長したいと思って、次の職場を探しました。

エス・エム・エスに転職。未経験でセールスのマネージャーに就任し、苦悩の日々を過ごした

──次の職場として、エス・エム・エスを選びました。その背景を教えてください。

医療や介護向けのサービスを展開している会社で、それまで接点は全くありませんでした。スカウトメールをいただいて、カジュアル面談で社員とお話ししたのが転機になりました。上場企業としての基盤を持ち、経営層には外資系コンサル出身者が多く、明確な戦略に基づいた経営を行っている。自分自身も戦略の立案と遂行に携わりたかったので、入社しました。

配属になったのは、ECを運営するチームです。介護事業所向けに通信機器や事務用品を販売しました。主力の商材がスマートフォンやインターネット接続サービスだったので、前職のNTTドコモでの知見を活かして利益額を大幅に向上しました。

その実績が評価されて、介護事業所向けSaaSのインサイドセールスの責任者に抜擢。意気揚々と着任したのですが、ここで落とし穴が待っていました。私自身、インサイドセールスの経験が全く無かったこともあり、メンバーのマネジメントには苦労しました。メンバーにセールススキルの指導をするのも難しく、チームの運営方針を明確に掲げることもできなかったように思います。初めてのマネージャー業務は、苦難の日々から始まりました。

当時の上司が見るに見かねてフォローしてくれて、何とかメンバーとやり取りができるようになり、新たなマーケットの開拓も軌道に乗りました。当時、力を入れていた施策は、介護事業所の開業支援と新設事業所からの受注獲得です。エス・エム・エスの豊富なノウハウを活かして、開業までの一連のプロセスに伴走しながら、開業後にSaaSプロダクトを導入してもらう。競合他社が接点を持つ前に囲い込むことによって、新規顧客との契約が増えてきたタイミングで、自社の営業スタッフを増員して広告を打ち、一気にグロースできました。その実績が評価されて、セールス全体を束ねるポジションに昇格したのです。

セールス部門の責任者として、成果を挙げることができた2つの秘訣

──セールス部門の責任者として、大きな成果を出すことができた理由を教えてください。

大きく2つの理由があります。1つは、成果を起点に戦略を練り、それを実行するカルチャーが根付いていること。顧客のセグメントを定めて、セールスの体制と手法を整備して、広告宣伝も最適化する。戦略ドリブンで全ての施策を推進できるので、仮説検証もしやすく、現場のスタッフも動きやすい。成果を出すことに特化したマネジメントを学ぶには、最良の環境だったと思います。

もう1つは、戦略に基づいた現場のマネジメントが上手く行ったこと。受注難易度をもとに顧客をセグメントして、それに合わせて体制を組み直しました。難易度の高い顧客のみを扱うチームと、比較的受注しやすい顧客のみを担当するチームに分けたのです。チームのミッションをはっきりと打ち出し、全く異なる目標管理手法を導入し、メンバーとのコミュニケーションもそれぞれに合わせる形に。ミッションと日々の行動を明確にすることで、メンバーが気持ち良く働くことができる。そして、一人ひとりが自走できるようになり、業績が向上しました。

BASEでは、オンボーディング組織もリード。行動の型化が成果につながった

──そして、エス・エム・エスで5年間を過ごした後、EC関連のサービスを展開するBASEに転職します。

事業のグロースに一段落がついて、次の環境を探していました。エス・エム・エスはROIを重視した効率経営を行っていますが、全く異なるBASEのカルチャーに惹かれたのです。パッションを重視した経営に触れてみたいと思って、転職先に選びました。セールスとプロダクトとの距離が近く、キャッシュリッチでもあるので、新たな取り組みができそうだと感じたのも、入社の決め手になりました。

前職と同じくセールス部門に配属になり、1ヶ月で直販と代理店セールスチームの責任者に。まだまだ発展途上の組織で、営業人員のテコ入れとインバウンドのリストの拡充、オンボーディング組織の立ち上げを提案。その中で、まずはオンボーディング組織が形になりました。お客様の課題を引き出して解決できるように、メンバーの行動を型化することからスタート。やるべきことを徹底することで、徐々に成果につなげることができました。

Chatworkに入社後半年で、セールス、オンボーディングなどの体制を整備

──そして、2023年4月にChatworkにジョインしました。

エス・エム・エス在籍時の上長で、Chatworkで執行役員BPaaS本部長を務めている岡田さんと話をする機会がありました。COOの福田さん、当時セールスチームの責任者を務めていた飯田さんなど、Chatworkにはエス・エム・エスで接点のあった人が多く在籍しています。戦略ドリブンのカルチャーでもう一度仕事をしてみたいと、入社を決めたのです。

入社してから約半年が経ちましたが、グループ会社のミナジンに出向しています。ミナジンは人事・労務系のSaaSを提供している会社で、セールス・マーケティング部門の部長を務めています。これまでの職場に比べても、裁量が一気に拡がりました。セールスやマーケティングの戦略立案や体制構築に関与し、福田さんや岡田さんの承認が得られれば必要な予算もつけてもらえる。実行力の高い優秀なメンバーも揃っているので、やるべきことを推進できる。非常に恵まれた環境だと思いますね。

この半年で人員を増やして、マーケティング、パートナリング、セールス、オンボーディング、カスタマーサクセスの体制を整えることができました。マーケティング手法も整備して、戦略を実行するためのベースを作り上げることができました。顧客ターゲットを明確に設定し、競合を意識しながら、提案内容を磨いていますが、すでに受注は昨年比で大幅に増えています。

戦略を練り上げ、実行を推進する一方で、メンバーと一緒に顧客を訪問する機会も増えています。営業現場に出るのは、ドコモの茨城支店に勤務していたとき以来で、改めて刺激を受けていますね。また、プロダクト開発にも積極的に関与しています。全ての工程に関わることで様々な変数をウオッチしながら、戦略の一貫性を担保できる。このような環境は、他には無いと思います。

プロダクト開発に関与。競合を凌駕するための機能開発を進言する

──Chatworkは、自ら戦略を立案し、その実現を推進できる環境ではありますが、課題に感じていることはありますか?

当然、課題はあります。私たちが人事・労務系SaaSの導入を提案するお客様は、既に他社のサービスを利用していることがほとんどです。既存のサービスの課題を引き出しながらリプレイスを促すので、メリットを説明するだけでは売れません。既に使っている他社製品の理解はもとより、人事業務にも精通し、お客様の業務を把握することも必要になります。また、1法人当たりの利用金額も安くはないので、お客様社内の決裁のルートも押さえなければ、受注につなげるのは難しい。営業スタッフのスキルアップやナレッジ共有に、今後も力を入れていきます。

また、プロダクトとしてのバージョンアップにも関与しています。競合製品を機能面で凌駕していくためには、今後の開発のロードマップが重要になると考えています。私自身もプロダクトの企画会議に出席。ベーシックな機能と「ミナジンならでは」の尖った機能の双方を、どのような方向性で高めていくのか、積極的に意見を交わしています。過去に在籍した会社では、プロダクト開発に関与する機会は無かったので、大きな刺激を受けていますね。ここまで要望して失敗したら自分の責任になりますので、正直、怖い思いもありますが(笑)、全力で向き合っています。

人事労務SaaSとChatworkの各事業を連携させる

──Chatworkで働くことは、自身のキャリアや人生において、どのような意味を持っていますか?

「MINAGINE」や「Chatwork」が世の中に広まっていくことは、社会貢献につながると感じています。Chatworkは「働くをもっと楽しく、創造的に」というミッションを掲げています。これらのツールを活用して、主に中小企業で働く人たちが、ポジティブな気持ちで毎日を過ごし、よりクリエイティブな仕事にチャレンジできる。社会を支えている多くの方々の働き方に寄与することには、大きな意義があると感じています。

今後は、「MINAGINE」とChatworkの各事業との連携を深めていきます。グループ全体で注力している「BPaaS(Business Process as a Service)」の中で、BPOとSaaSを組み合わせたサービスとして展開したい。人の力とデジタルを組み合わせて、中小企業の人事課題を解決する。そのような世界観を実現するために、プロダクトを強化して、組織やオペレーションを整える。私自身が全体をリードしながら早めに検証を開始して、新規サービスとして展開していきたいと考えています。

将来は、様々なベンチャー企業の経営と現場に関わりたい

──澤井さんの今後のキャリアは、どのように考えていますか?

将来は、様々なスタートアップやベンチャー企業を渡り歩きながら、戦略立案や推進を務めたいと考えています。各企業の経営と現場に深く入り込み、2年くらいで成功パターンを作り上げて次に移っていく。周りの人に頼られて一緒に努力して、会社と人が成長することに関与していきたい。そのようなポジションを任されるために、今はChatworkで力をつけたいですね。経験を積んで、スキルを身につけて、過去に無かったような成果を生み出していく。そして、Chatworkで経営のポジションまで登っていきたいです。対外的にも、「澤井さんは、Chatworkであのポジションをやっていた人だ」と認知されれば、色々なオファーをいただけると考えています。キャリアにおいても、最速で「目標達成」するために、Chatworkは最適な環境だと感じています。

撮影場所:東京オフィス(WeWork 日比谷FORT TOWER)