Cha道

Chatworkの「人」「組織」を
伝えるメディア

「ビジネス視点」と「ユーザー視点」。双方を繋ぐ、橋渡し役になりたい。

新規事業「BPaaS*1」を担うBPaaS本部と、国内最大級のビジネスチャット「Chatwork」事業を担うコミュニケーションプラットフォーム本部を兼務し、両方の開発に携わる神原。

デザイナーとしての経験と新規事業の開発に携わってきた経験を持つ彼女が挑むのは、ビジネス視点とユーザー視点の融合。その先に目指すのは、どんな世界なのだろうか。彼女のこれまでのキャリアを紐解きながら、Chatworkでのビジョンを聞きました。

■プロフィール

神原 湖彩
BPaaS本部 プロダクトユニット BPaaSプロダクト部
兼 コミュニケーションプラットフォーム本部 プロダクトエクスペリエンスユニット プロダクトデザイン部 UXデザイン・リサーチチーム

映像や3DやCGなどに興味を持ち、大学はデジタルコンテンツ学科に進み、幅広く映像制作やグラフィックデザインなどを学ぶ。その中で自分が作ったものをより良いものに改善を重ねていくことができるWebデザインの分野に特に関心を持つようになり、Webデザイナーの道へ。新卒で入社した会社で、デザイナーからプロダクトマネージャーへと職種を変更。新規サービスの立ち上げ、サービスのグロースなどに携わる。2022年9月Chatworkに入社。UXデザイナーとしてコミュニケーションプラットフォーム本部とBPaaS本部を兼務している。

Webデザインという道を選んだ理由は、改善を重ねることができるから

――まずは、「なぜ、デザイナーを目指すようになったか」をお伺いしていきたいと思います。

小さい頃から映画などの映像を見ることが好きだったので、子どもっぽい理由かもしれませんが、自分で映像を作ってみたい、3DCGについても学んでみたいという想いから大学はデジタルコンテンツ学科に進学。興味の幅が広く、何か1つに絞って学ぶというよりは、色々な経験をしてみるタイプだったため、大学入学当初は映像・Webデザイン・3DCGなど幅広く学び、最終的にグラフィックデザインを専攻しました。

さらに、ケーブルテレビの番組制作をしている会社やWeb制作会社などでのアルバイトの経験を通じて、仕事として自分がやりたいことを絞っていきました。実際に、仕事として映像制作やデザインに関わった上で、最終的に興味を持ったWebデザインの道へ進むことにしたのです。

私は、何か特定の分野に強い興味があるタイプではなく、デザインを1つの手段として、企業やユーザーにどう貢献するか、そのパフォーマンスをどうやって高めていくかを追及していくことに面白さを感じていました。その点で、映像やグラフィックは、完成させた後に改善を重ねてより良いものに変えていくことはできませんが、Webに関してはより良いものに改善を重ねていくことができます。その点がとても面白いと感じました。

――デザインを通して企業や人に貢献するということを大事にしていらっしゃるんですね。新卒で入社された1社目の会社では、どんな経験をされたのでしょうか。

新卒で入社した会社は、株式会社LIFULLという不動産系の情報サービスを展開している会社です。私はWebデザイナーとして入社したのですが、大学でグラフィックデザインを専攻していたということもあり、CMの企画や交通広告、イベントの運営などの大きな仕事に1年目から関わらせてもらいました。

今振り返ってみると、入社したばかりという時期に、大きな案件を任せてもらえたことで、難易度の高いことをやりきるメンタルが身についたと思います。その後、部署を異動し、既存サービスの新規機能の開発に携わるようになりました。そのプロジェクトにはプロダクトマネージャー(以下PdM)という立ち位置の人がいなかったので、私がデザイナーとしてデザインをしながら、仕様を決めるなど、PdM的な仕事まで広く任せていただいていました。

あくまでデザイナーとして、プロダクトマネージャーを兼務する

――PdMとしての業務を経験したことで、どのような気づきや学びがあったのでしょうか。

大きかったのは、ビジネス的な視点の重要性を知ったことです。実は、このプロジェクトは、途中でクローズすることになってしまいました。ユーザーにとって価値のあるサービスではあるけれど、事業的なインパクトを生み出すことができなかった…。利益を出すことができなかったことが原因でした。私自身、デザイナーとして、ユーザーの視点を中心に物事を考えていくところがあったのですが、「サービスを生み出すにはユーザー価値だけではだめなんだ」「"ユーザーのメリット"と"ビジネス的な価値・会社への貢献"が両立しなければ、事業は成立しないんだ」ということを学びました。この経験を経て、ユーザー視点だけでなく、ビジネス的な考え方も身につけていきたいという想いが強くなり、PdMというポジション・仕事に対してより強い興味を持ちました。ビジネス的な考え方をより深く身につけたい。そんな想いから、デザイナーとPdMを兼務する形の職種転換を希望しました。

Chatworkでの現在のポジションにおいても言えることですが、UXデザイナーの仕事とPdMの仕事の境目が何なのかというのは非常に難しいところだと思っています。現在も肩書き上はUXデザイナーですが、実際はUXデザイナーとPdMを兼務したポジションを担うことが多いです。ビジネス視点が強いPdMとユーザー視点が強いデザイナー、どちらかの職種に偏るのではなく、両方の観点を俯瞰して見た上で繋ぐ役割になることが、私がプロジェクトに貢献できる最善の方法だと考えています。

――PdMとデザイナーを兼務するようになってからは、どのようなプロジェクトを経験されたのでしょうか。

不動産投資領域のサービスのグロースに携わりました。サービス全体のデザイナーというポジションだったのでイベントに関連するグラフィックなどのデザインも含めて幅広く担当。他にも不動産投資事業のマイクロサービスのプロダクトオーナーを任せてもらい、営業や開発とコミュニケーションを取りながら、事業をどうしていくべきかの検討にも携わりました。ユーザーのことを第一に考える開発側と、ビジネスや売上も重視する営業側、両方の話を聞いて1つの決定をしなければいけない中で、どうしてもトレードオフが発生する場面が出てきます。そういう場面でのバランスの取り方や、どのように異なる視点の意見を結びつけて1つの決定をしていくか。また、それを周囲にどう説明していくかという考え方や、物事の組み立て方を学べたことはとても勉強になりました。

高い利益を生み出すサービスは、どのようにして生まれるのか

――とてもやりがいのある仕事を任されて、順調にスキルや知識、経験の幅も広げていかれているように思いますが、転職を考えるようになったのはどのようなきっかけだったのでしょうか。

大きな組織変更があって、デザイナーはデザインに集中しようという方針になり、デザイナーとPdMを兼務することが難しくなったためです。私が歩みたいキャリアと組織の方針が変わってきたと感じ、転職を決めました。デザイナーとして、もっとビジネスの事を学びたいという想いがあったので、ビジネス的価値の高いサービスを生み出している会社を転職先に選びました。非常に高い売上をあげている会社だったので、たくさんのことが学べるのではないか。ビジネス価値とユーザー価値を紐づけて考えることができていないと、これだけの利益を生み出すことはできない。どのように2つの観点の両立を実現させているのだろう…と関心を持ったのです。

前職では、ビジネス的な強み、コンセプトをどのようにプロダクトに意志入れし、どう反映していくかのプロセスや、クオリティとスピード感のバランスを費用対効果としてどう見て、どう決断していくかなど、多くを学ぶことができました。ですが、業務を一人で回していくプロジェクトが多く、プロダクトオーナーの経験を経て感じていた関連会社や営業、開発などと連携し、様々な人とコミュニケーションを取りながら1つのプロダクトをつくっていくという環境に再度身を置きたくなり、再び転職を考えました。

Chatworkは、心理的安全性の高い職場。ここでなら、パフォーマンスを最大限に発揮できる

――Chatworkへの入社を決めた理由は何だったのでしょうか。

プロダクトをつくっていく上で、やはりビジネス視点だけでなくユーザー視点も大事にしていくことができる職場を選びたいという想いがありました。また、仕事において高いパフォーマンスを発揮するためには、心理的安全性というものが私にとって非常に重要ということがこれまでの経験で分かっていたので、重視したポイントでした。面接などの場で話を聞く中で、Chatworkの方たちは非常に話がしやすく、安心して自分の考えを発信できる環境があるということが伝わってきたのです。

もう1点、魅力的に感じたのは、ビジネス側のメンバーもユーザーのことを知りたいという想いを持っている人が多いという点です。様々な職種の方と連携しながらプロダクトをつくることができると感じ、入社の大きな決め手になりました。

――2022年9月にUXデザイナーとしてChatworkに入社してからこれまで、どのような仕事に携わってこられましたか?

入社して最初の半年はプロダクトデザイン部のリサーチャーチームに所属し、様々な部署のリサーチのサポートをさせていただいたり、UXリサーチの重要性を社内に広めるような活動をしていました。他にも新規プロダクト立ち上げのプロジェクトにデザイナーとして携わり、ビジネス的な価値の検証などを行っていました。

その後、2023年の1月頃からはChatworkの新規事業(BPaaS)に携わるようになりました。きっかけは、サービスの立ち上げにあたって、株式会社ミナジンにグループインいただいたことです。PMIのフェーズにおいて、グループ会社のプロダクトメンバーとコミュニケーションを強めるポジションとして参加させていただきました。

ユーザー視点とビジネス視点を両立し、それぞれの視点の橋渡しをする

――現在、担当しているお仕事についても詳しく教えてください。

BPaaS本部に関しては、今、新しくプロダクトを開発しているところなので、デザイナーとして色々なものを形にしていく部分を担当しています。また、プロダクト戦略の立案やロードマップの作成などにも携わっています。また、デザイナー組織をどういったものにしていくかという組織戦略、組織構築の検討も行っています。

コミュニケーションプラットフォーム本部の仕事としては、「Chatwork」のグロース領域を担当。小さい施策をこまめに回していくという体制なので、施策ごとのUI、UXデザインを担当したり、PdMからおりてきた要件とユーザー課題を紐づけてデザイナーの作業に落とし込むという、PdMとデザイナーの中間のような業務も担っています。

――2つの本部を兼務する形で、「Chatwork」のプロダクト開発と新規事業であるBPaaS、両方に関わっておられますが、培ってきたスキルが活かせている、やりたかったことに近づいている…という感覚はありますか?

入社した時から所属しているプロダクトデザイン部は、元々「プロダクト本部」というプロダクト系職種だけの組織で(2024年1月より「コミュニケーションプラットフォーム本部」として再編)、新規事業を担当している「BPaaS本部」というのはビジネス職も同じ組織に属している形だったんですね。その2つの部署を兼務することで、これまで自分が意識的に経験を重ねてきたビジネス視点・ユーザー視点の両方を活かすことができるということには、とてもやりがいを感じています。また、新規事業に関しては、デザイナーだからデザインだけやるというような環境ではなく、人が少ない中で柔軟に幅広い業務を担っていく必要があります。その環境が、私にとって相性が良いと感じています。デザイナーだからデザインをやるというより、領域に縛られず幅広い業務に携わることでスキルの幅を広げていくことができる職場の方が私には合っているので。

――特にどんな部分にやりがいを感じているのでしょうか。

最近、BPaaSのプロダクト戦略を作成したり、今後のプロダクト像をどうしていくかという大きな絵を描くようなプロジェクトにもジョインさせていただいています。一般的に、デザイナーが戦略立案などプロジェクトのベースをつくる場に立ち合える機会というのはとても少ないのと思うのですが、顧客に対してどういう価値を提供するかという観点は戦略の軸となるものです。だからこそ、実は戦略立案などにおいてデザイナーが活躍できる場面は多いのではないかと考えています。そういった意味でも、とても貴重な経験をさせていただいていると感じています。

――今後どんな事に挑戦していきたいか。個人的なビジョンをお聞かせください。

Chatworkは、これまで1本の大きなサービスを柱に成長してきた会社で、新規事業をつくる体制やケイパビリティはこれからつくり上げていくフェーズです。今後はBPaaSをきっかけに、どんどん事業の柱を増やしていくような取り組みをしていきたいと思っています。また、プロダクト側とビジネス側の相互理解、連携といったことが、まだまだうまくできていない部分もあると感じています。BPaaSというのは「Chatwork」の機能を軸にした構想なので、どうしても既存プロダクトと分断することはできません。ですが、それぞれ別々の組織にわかれているため、どうしても少なからずその間に壁ができてしまいます。ビジネス側に近いデザイナーとして、その橋渡し役になれるような動きをしていきたいですね。その上で、Chatworkにしか実現できない、本質的な中小企業の課題解決を実現できるようなサービスをつくり上げて、顧客と会社両方に貢献していくことが目標です。

撮影場所:東京オフィス(WeWork 日比谷FORT TOWER)

*1:Business Process as a Serviceの略(通称:ビーパース)。ソフトウェアの提供ではなく、業務プロセスそのものを提供するクラウドサービスであり、クラウド経由で業務アウトソーシング(BPO)が可能。