Cha道

Chatworkの「人」「組織」を
伝えるメディア

プロジェクトの道しるべを示せるようなデザイナーでありたい。

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「デザイナーとしてキャリアを歩む過程で、ユーザーのことを徹底的に考えてプロダクトを開発することの大切さに気づいたんですよ。その考え方が身についてから、デザインがもっと楽しくなりました」

そう語るのは、プロダクトデザイン部でUIデザイナー兼UXリサーチャーとして活動し、チームのマネジメントも担う仁科 智子。その言葉が示すように、仁科はプロダクト開発において“ユーザーの声を聞くこと”をとても大切にしています。

彼女はどのようなキャリアを経て今の考え方にたどり着いたのでしょうか?

そして、Chatworkのデザイン組織で実現したいこととは?

■プロフィール

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プロダクト本部 プロダクトデザイン部マネージャー
仁科智子

UIデザイナー・UXリサーチャー。2007年より広告代理店にてエンタメ系のWeb/DTPデザイナー、アートディレクターを務める。2011年よりミドルベンチャーでUIデザイナー・デザイン部マネージャー・PMなどを経験。2018年にAnyPay株式会社へと転職し、UIデザインやユーザーインタビューを担当。2019年よりChatworkに参画。

かつては「自分の作りたいものを作る!」というタイプだった

――まずは仁科さんの学生時代について聞かせてください

もともと、学生時代からものづくりが好きでした。でもその頃はまだ、デザイナーになりたいという気持ちは抱いていませんでしたね。

高校時代にハマっていたのは服飾制作です。当時は身の周りで服を自作するのが流行っていた時代でした。アルバイトのお給料が出たら日暮里の生地街に服の生地を買いに出かけて、自分が着たいデザインの服を作ったり、上手にできたら原宿などに売りに行ったり。

その頃は、何か人と違うことや、目立つことをするのが好きでした。今の私はユーザーのことを考えたものづくりを大切にしていますが、当時はむしろ真逆で「自分の作りたいものを作る!」というタイプでしたね。

――服作りが好きであれば、高校卒業後は服飾の専門学校に?

いえ、当時の同級生は服飾の専門学校に行く人が多かったので、ここでも人と違うことをしたいという気持ちから、別の道を選ぶことにしたんですよ(笑)。

専門学校のなかには、はじめから特定の科目を専攻するのではなく、1年目は複数の科目を履修できて2年目から専攻を選べるところもありますよね。私が通ったのもそういったタイプの専門学校で、2年以降は映像制作を専攻して注力しました。卒業後は結婚式のビデオ制作会社に就職して、2年くらい動画編集の仕事を経験しましたね。

――その後、デザイナーの仕事に興味を持たれたきっかけは?

動画編集の仕事を続けるなかで、もっと別の業界の方が自分には向いていそうだという気持ちが生まれてきたからです。そこで興味を持ったのがWeb制作のお仕事でした。

もともと、専門学校時代にも少しだけWeb制作の授業を受けていたんですよ。Photoshopの使い方を学んだり、HTML・CSSを書いたり。その作業がすごく面白かったなと思い出しました。それに、Webに触れておけば将来的にも潰しがきくだろうという考えもあって。社会人向けの学校に通ってHTMLやCSSなどを学ぶようになりました。

――そうして、現在のキャリアにつながってくるわけですね。

学校に通った後は、ガラケーのショッピングサイトの運用更新や大手飲料メーカーのホームページ運営事務局の仕事などを経験しました。でも、学校に通って多少HTML・CSSが書けるようになったくらいのレベルだと、プロジェクトのうち一部の工程しか担当させてもらえないんですよね。

徐々に、自分1人でデザインの全工程を担当できる環境に移りたいと思うようになりました。そこで小さな広告代理店に転職して、デザイナーは私1人という体制でWebサイト制作の全工程を担当しました。

プロジェクトの道しるべになるのがデザイナーの仕事

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――広告代理店で働かれた後、美容系サービスを提供するミドルベンチャーに転職されています。規模の小さな広告代理店と大きなデザイン組織がある企業とでは、働く環境としてどのような違いがありましたか?

後者の場合、サービスとしてのデザインルールやガイドラインがきちんと整備されており、その決まりに乗っ取って統一感のあるデザインを制作していくことでしょうか。それに、プロジェクトの進め方もかっちりとしたウォーターフォールになっていて、大勢のメンバーでプロダクトを作っていくってこういうことなんだと感じました。

――ミドルベンチャー時代で印象に残る経験はありますか?

けっこう大きな失敗も経験しました。入社して数年ほどした頃、サービスのコンセプトを大きく変えて、凝り固まった部分を壊して作り直すような転換期がありまして。その際さまざまなプロジェクトが立ち上がったんですよ。それに伴って社内体制も変わり、優秀なプロデューサーの方々などがそういったプロジェクトに新規で参画していました。

でも私にとっては、ようやくデザイナーがたくさんいる環境で働けて、プロジェクトの進め方のセオリーが身についてきた頃。方針転換と急に言われても、何を壊して何を守ればいいのか全くわかりませんでした。

これまで築いてきた体制を守らないと、という固定観念を捨てられなくて。体制を変えようと一生懸命に頑張っているプロデューサーに対して「もっと慎重に考えてください」「きちんと企画を練ってください」といった趣旨のことを強く言ってしまい、関係性がぎくしゃくしたことがありました。自分のキャリアにおける大きな反省点ですね。

本来、私たちが大切にすべきは、会社の目指すビジョンを具体化することや、ユーザーに何を届けるかであって、どんな体制で作るかではありません。今まで私たちが大切にしてきたルールを守るということばかりに意識が向いてしまい、視野が狭くなっていたんだと思います。目的思考ではなかったですね。

――もしも現在の仁科さんの考え方のまま当時に戻れるとしたら、どんな行動をとると思いますか?

凝り固まった部分を壊した後に、自ら積極的に何かを作り始めていくと思います。デザイナーの仕事とは、プロジェクトが進むべき選択肢や方向性の道しるべになることだと最近やっとわかってきました。プロジェクトの在り方自体をデザインしていくべき、ということですね。

ユーザーインタビューには数多くの学びがあった

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――その後はAnyPayに転職して、社内でデザイナーが1人という環境で働かれたとか。前職とは全く異なる体制ですが、この環境に移られたのはなぜですか?

ミドルベンチャーでは7年ほど働きましたが、後半の3〜4年くらいはあまり自分ではデザインをせず、マネジメント業務を担うことが多くなっていました。自分のポートフォリオが初期に携わった実績で止まっていて、デザイナーとしてこれでいいのかな、と思うようになって。ちゃんと1人のデザイナーとして、手を動かして仕事ができる環境にもう一度身を置きたいと思ったのが、転職のきっかけです。

AnyPayを選んだのにも理由があります。ミドルベンチャー時代、toC、toBどちらにもサービスを提供しているプロダクトに携わっていました。その環境で働くなかで、toBとtoC両方のサービスに携わること、そして両者の密接な結びつきを知ることがすごく面白いと感じていました。

AnyPayも、toCの割り勘アプリ「paymo」だけではなく、toBの決済代行サービス「paymo biz」も運営していました。同じようにtoCとtoB両方のサービスに携われると思ったことが、AnyPayへの転職を決めた理由です。

――AnyPayではデザイン以外にユーザーインタビューにも携わったそうですね。

その頃の私は、サービスを利用してくださっている事業者のことをもっと理解しようと、SNSなどで情報を追っていました。より直接的にこの人たちの意見を聞きたいと思うようになったのが、ユーザーインタビューを始めた理由です。

もともと広報が担当していた、事業者紹介のインタビュー記事を掲載するWebメディアがありまして。当時の広報が秘書を兼務するなど忙しそうだったので、チャンスと思い私が担当を引き受けるようになりました。せっかく裁量の大きいスタートアップにいるのだから、自発的にいろんなことに挑戦したかったんです。

インタビューをすることで、自分は事業者のことを学べますし、記事を通じて事業者の方々や自社のサービスを広報できます。さらに、ユーザーインタビューで得た意見や情報は今後のサービス改善にも結びつきますよね。その活動を通じて、ユーザーの声を聞くことの大切さを実感しました。

ユーザーの声がChatworkの改善を支えている

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――その後、現職のChatworkに転職されます。企業選びで重視していたことは何ですか?

コミュニティに関連した仕事ができることですね。私はAnyPay時代、サービスを利用する事業者と、その企業の商品を購入するお客さまとが、ゆるやかなコミュニティを作っていることに魅力を感じていました。転職をしても、同じようにそうしたコミュニティを支援するような働き方がしたいと思ったんです。

Chatworkに興味を持ったきっかけは、勉強会で知り合ったメンバーに「よかったら(転職先として)Chatworkはどうですか?」と声をかけてもらったことです。でも正直に言うと、最初は「うーん、チャットツールかあ……」という印象で、それほど魅力を感じていませんでした。

でも、よく考えてみると、Chatworkは企業同士のつながりや企業内の人のつながりといったコミュニティを支援するためのツールです。これは自分がイメージしていた仕事と近いかも、と気づいて入社を決めました。

――Chatworkの業務においても、仁科さんはユーザーの声を聞くこと(UXリサーチ)をとても大切にされているとか。

そうですね。ユーザーからフィードバックを得る取り組みは、私の入社前から始まっていましたが、入社後はユーザーの意見を社内に伝えるための共有会を開いたり、フィードバックをふまえて改善策を考えるためのワークショップを開いたり。他にもさまざまな活動を続けていきました。その過程でユーザーを知ることの大切さをメンバーみんなが理解してくれて、UXリサーチの活動は社内にどんどん浸透しつつあります。

――ユーザーの意見がChatworkの機能やデザインに反映された例はありますか?

リリースされた機能やデザインは、ほとんどがそうだと思います。私が関わった事例をひとつ挙げると、ファイルとメッセージを同時送信した際の挙動変更ですね。過去の仕様では、同時送信した際にファイルが先でテキストが後に表示されていました。

でも、Chatworkを利用される方のなかには「このファイルは○○です」といった趣旨のテキストとともにファイルを添付する人も多いです。そういった場合にファイルが先に来てしまうと、文脈がわかりにくくなってしまうといったフィードバックをユーザーの方々からいただいていました。

ソースコードを数行変えれば実現できる改善なので、プロダクトマネージャーと連携をとりながら改修を進めていきました。本当にわずかなロジック変更でしたが、SNSでとても良い反響をいただいて、改修のお知らせをしたブログもかなりシェアされたんです。ユーザーの声を適切に聞けば、たとえ少しの改修でもユーザー満足につながることを発見して感動しましたね。

デザイナーがアイデアを自発的に提案できる組織へ

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――仁科さんが考える、Chatwarkの素晴らしい点はどこでしょうか?

チャットツールという領域そのものが、市場としてすごく伸びしろがあるところですね。ホワイトスペースを取りに行くぞというワクワク感があります。

それから、働いているメンバーがChatworkというサービスを大好きなこと。メンバーみんながユーザーのことを第一に考えてサービス開発しているのが、日々のコミュニケーションのなかで伝わってきます。たとえばディスカッションのなかで「Chatworkのユーザーはきっと○○ですね」とか「○○はもっとユーザーのことを知らないと判断できないですね」といった発言がよく出てくるんです。

――サービスへの愛をメンバーが持っているのは大切なことですね。今後、Chatworkのデザイン組織で実現したい目標はありますか?

デザイナーがユーザーの意見をきちんと拾い上げながら、新しい機能やデザインなどを自発的に提案できる体制を築いていきたいです。会社が決めた方針に沿って、受け身で仕事をこなしていくだけでは、デザイナーの役割としては不十分だと思っています。

ユーザーインタビューを通じて気づける機能案や、デザイナーだからこそ提案できる改善策がたくさんあるはずです。そういった提案を能動的にデザイナーが出して、どんどんプロジェクトを進めていけるチームを目指しています。

――そんなチームが実現できれば、Chatworkはもっと良いサービスになりそうです! 最後に仁科さん自身のキャリアで今後叶えたいことを教えてください。

もっとUXリサーチの経験値を上げたいです。今は機能改善のためのリサーチは実施できていますが、要望を右から左にかなえるだけではユーザーの期待値を超えるプロダクトは提供できないと思っているので、より多様な目的を達成できるようなリサーチができるようになればと思います。たとえば、新規サービスを立ち上げる際に効果的なリサーチとか、定量データと掛け合わせたリサーチなどですね。

少し先の目標として、社内にUXリサーチ専任のチームが作れるといいなと思っています。機会発見から価値のあるプロダクトへと着実につなげていけるデザイナーになっていきたいです。