Cha道

Chatworkの「人」「組織」を
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「家族と共に、どう生きていくか」という壮大な問いに向き合い、導き出したUXデザイナーという道。

「今まで、自分が何をやりたいかということやキャリアについてちゃんと考えられていなかったんです」と語るのはプロダクトデザイン部でUXデザイナーとして活躍する長村一樹。Chatworkに入社するまで、デザイナーとして働いた経験がなかった長村が、なぜChatworkのUXデザイナーという道を選んだのか。「自分自身と家族がどう生きていきたいか」という問いに向き合い、2人の子どもと妻と目指す家族のビジョン、そして自分自身が想い描くキャリアビジョンを明確にして転職活動に臨んだからこそ、たどり着いたChatworkでのUXデザイナーという道。サービスのユーザー体験を向上させるデザインやデザイン基盤の構築という仕事を通して、はじめて「仕事に熱中する」いう感覚を味わっているという長村の、「生き方」について聞きました。

■プロフィール

長村 一樹
プロダクト本部 プロダクトデザイン部

大学では人間工学を学び、新卒で大手SIerに入社。顧客先の情報システム部に常駐し、システムの保守運用を担当。その後大手メーカーに転職。研究開発職として、大学時代に学んだ人間工学の研究を活かし、プロダクトのUI/UX設計、要素技術の先行研究等に携わる。2022年8月よりChatwork株式会社に入社。デザイン基盤チームの一員としてUI/UXデザインに携わる。

思うようにいかなかった、新卒・第二新卒時代の仕事選び

──Chatworkに入社するまではどんなお仕事をされていたのですか?

新卒で入社した会社は大手SIerです。客先の情報システム部に常駐して社内システムの保守・運用を担当していました。2社目は、大手メーカーで研究開発をしていました。

──全く違う業界・職種のお仕事をされていたんですね。そこから、UXデザイナーになろうと思われたのはなぜなんでしょう?

大学では人間工学を学んでいました。この分野は、人の特性を科学的に明らかにし、より適切に人を補助したり人が使いやすい製品やシステムの開発などに応用させる分野で、その中でも、そもそも数値では測れない使いやすさをどうやって評価するのか」という研究をしていました。研究は大学を卒業する段階でやり切ったと考えていたので、研究が活かせる仕事がしたいとは思っていませんでした。

就職活動のタイミングでは「自分がやりたいことが何か」ということはあまり考えることができていなくて、IT系とか良いかもな…、大きい会社だし安心だろう…という考えで就職先を決めました。でも、実際社会人になってみると大変なことも多く、ハードな環境でもあり、仕事内容も自分が興味のある分野とは少し違っているなと感じました。

そこで、第二新卒枠で転職ができるうちに転職をしようと考え、社会人になって約2年半経過したタイミングで転職活動を開始。大手メーカーの研究開発職に転職しました。UI/UX設計の業務で、大学で学んだ人間工学系の知識も活かせ、やりたいことに近い仕事ではあったのですが、どちらかというと関係者との折衝や日程調整、不具合対応などのプロジェクトマネジメント的な仕事が多くて、自分の中にいわゆる専門スキルと言えるものが積み上がっている実感が無いことに不安を感じていました。

2社の経験を経て、UXの分野を自分の中で伸ばしていきたいなと考えるようにもなり自分のキャリアが具体的に描けるようになってきた感じですね。

──新卒・第二新卒の頃はあまり具体的にご自身のキャリアビジョンが描けていなかったということでしょうか。

1社目の就職活動の時も2社目の転職活動の時も、すごく軽いノリで仕事や会社を選んでしまったなという反省があります。1社目の時は自分がやりたいことが定まっておらず、「大手に入っておけば安心でしょ」という感じで就職先を決めてしまった。2社目の転職の際は「次は自分が興味を持てる仕事を」と考えて、学生時代の研究分野である人間工学系の知見を活かせる業種・職種を探したのですが、やっぱり「大手に入っておけば…」という考えは抜けていなかった。

それぞれとても良い会社でしたし、人にも恵まれ、非常に多くの経験もさせてもらいました。でも、就活・転職活動の時に知名度や規模で会社選びをしてしまったために、「その仕事、その職場が自分の価値観に本当に合っているか」ということを深く考えられていなかったということに気が付いて、世間の尺度ではなく「自分にとって良い会社」を探そうと考え、2度目の転職活動をスタートしました。

転職の軸になったのは、「家族のビジョン」

──2度目の転職活動は「今度こそは…」という感じですよね。

1社目の時も2社目の時も、そんなにたくさん企業を見ていなかったんですね。内定をもらってすぐに入社を決めたような感じで…。でも、次こそは100%納得感を持って働ける職場を選びたいと思っていたので、エージェントに登録したり、知り合いに相談したりしました。子どもの保育園や学校のこともあるし、次はそう簡単に転職はできない。しっかりと転職先を選ばなければいけないと考えた時に、たくさん会社を見ても、自分の中に軸が無いと自分にとってその会社が良い会社なのかどうかが判断できないということに気付きました。

それで、今後自分はどういう風に生きていくのか、という軸をつくろうということで、自分、家族のMVV(Mission、Vison、Value)を定め、その軸が会社のMVVと合っているかどうかということを判断基準にしようと決めました。

──なぜMission、Vison、Valueを軸にしようと思われたんですか?

私はこれまで割と忙しい職場で働いてきたのですが、これまでのような働き方で私が忙しく働き、妻に家庭や育児を任せる、いわゆるシングルキャリアというスタイルは私たちには合っていないんじゃないかという思いがありました。

転職を考えるにあたってこれから家族としてどうしていきたいのか。どうあるべきなのかを考えなければいけないと思ったんですね。

──なるほど…。どんなMVVになったんでしょうか。

妻と2人で話し合いを重ね、MVVを導き出しました。

  • Mission:日々を楽しく
  • Vision:心身ともに健康に
  • Value:家族でサポートし合う

私が転職をする際の軸は、私たち家族のMVVなんです。家族の未来を考えた時に、やっぱり体の健康はもちろんですが、心の健康も維持できるような働き方をしないといけないっていう結論に至りました。

──家族でやりたいことを実現していくために必要な要素を整理することで、長村さんの転職の軸が定まってきたんですね。

そうですね。あとは、これまでのキャリアの中で自分が抱えてきたモヤモヤについても向き合いました。社会人になってからずっと「今やっている仕事は自分がやりたいことと何か、少し違う…」という感覚がありました。「なぜ、何か違うと思うんだろう」「そもそも、仕事って何のためにやっているんだろう」「自分はこれからどうなりたいのか」…。

そういった”仕事をする”という事の根源のような問いに対しても、同僚や友人に相談をしたりしながら1年間くらいかけて考えました。その結論が「自分が熱中して取り組めることを仕事にする」ということだったんです。自分の人生の時間の多くの時間を仕事に費やすことになると考えた時に、その時間を、自分が熱中して取り組むことができる、楽しめる時間にするということが大切なのではないかと気が付きました。

──熱中できることを仕事にできたら幸せですよね。

自分にとって熱中できる仕事って何だろうということを考えた時に、UI/UXというテーマが良いかもしれないと思いました。それで、自分のこれまでのキャリアを活かしてUI/UXをテーマにしながら自分の手で何かをつくっているという実感を選べるような仕事を探そうと思いました。そうして出会ったのがChatworkです。

デザイナーという新たな道への挑戦

──新たなキャリアをスタートする場として、Chatworkを選んだのはなぜだったんでしょう?

「経営方針に共感できるか」「自分が熱中して取り組める仕事なのか」、という観点でたくさんの会社を検討したのですが、特に惹かれたのがChatworkのミッションやビジョンでした。

「働くをもっと楽しく、創造的に」というChatworkのミッションを見て「いいな」と思い、情報を調べていく中で、CEOの正喜さんのブログを見つけました。ブログには「仕事を我慢の場にしたくない」ということが書かれていて、その内容が当時の自分の想いにとてもフィットしたんです。そういう考えを持つCEOのもとで働けるということは魅力的だなと感じました。

また、UXデザイナーに軸足を定めてキャリアを形成したい、専門性を高めていきたい、という想いも持っていたのですが、プロダクトデザイン部のマネージャーの茂木さんが書かれた組織づくりに関するブログを読んで、自分のキャリアに対するビジョンとマッチしているなと感じたこともChatworkを選んだ大きな決め手になりました。

私はデザイナーという肩書で仕事をすることも、デザイナー組織に所属して働くのもはじめてなので、これから色々と勉強しながら頑張っていかなければいけない立場です。茂木さんのブログの記事を通じて、デザイナーが専門性を高め、キャリアを築いていくことのできるような組織づくりに取り組まれていることや人間中心設計という考えに基づいたデザインプロセスを構築しているということが分かり、こういう組織でデザイナーとしてキャリアを積みたいと思えたことも大きかったです。

──実際に入社してからはどうでしたか?

選考で自分のこれまでの経験についてはしっかりと伝えたうえで採用されているので「大丈夫なはず…」とは思いつつも、最初はやっぱり「本当にやっていけるかな…」という不安がありました。でも、実際にやってみると今までの経験が活かせる部分も多いですし、組織としてもデザインプロセスが体系立てて整備されているので、学びながら業務に取り組むことができる環境が整っていて、すごく順調にデザイナーとしてのキャリアをスタートすることができました。

──現在はどんなお仕事をされているんですか?

大まかに2つのテーマがあります。1つ目が「プロダクト開発」におけるUXデザイナーという役割です。たとえば、何か新しい機能を開発する場合など、施策として色々なプロジェクトが立ち上がるのですが、私はUXデザイナーとして立ち上げ初期からプロジェクトに入り、プロダクトマネージャーに伴走しながらユーザー課題の特定やプロジェクト全体の方向性を決めるという方針づくりから関わります。そして、実際にプロジェクトが動き始めた後は、デザイン設計、コンセプト設計、要件立て、コンセプトを実現するためにインターフェースとして目指すべき条件の整理、ワイヤーフレームへの落とし込み等といった、プロジェクトの上流工程を担当しています。

もう1つが「デザイン基盤チーム」のメンバーとしての取り組みです。プロダクトデザイン部の中に専門チームがあるのですが、そのメンバーとして活動しています。Chatworkで扱うさまざまな情報を整理して、関係者が情報を扱いやすくする、デザインの基盤を構築することがチームの役割です。UI/UXの設計をする時に、その上位の考え方となるデザイン方針というものが不足しているという課題があるため、「Chatwork」というプロダクトが抱えるユーザビリティ課題などを分析し、どういう方針があればその課題をクリアできるんだろうという事を考えたり、一般的なUIの考え方を踏まえながら、Chatworkとしてどういうデザイン方針が必要なのかということを定めた上で、主にUX観点でデザイン方針をつくるというところからデザイン基盤の構築に携わっています。

プロダクト開発に関してもそうですが、このデザイン基盤の構築というミッションについても、UX観点でユーザー体験から考えて、プロダクトとしての軸をつくっていくというような仕事に携わることができていることは、非常に面白いですし、充実した仕事ができていると感じています。まさに自分のやりたかったことができているという感覚がありますね。

熱中できる仕事をしながら家事や育児も両立する、充実した毎日

──デザイナーとしての今後についてはどうでしょうか?何かこういう方向に専門性を磨いていきたいというようなキャリアビジョンが見えてきていたりしますか?

デザイン組織に所属して、デザイナーという肩書で仕事をするのははじめてのことですし、この業界もはじめてなので、今は焦らずに今の環境で幅広く色々なことを学びたい、吸収していきたいと思っていて、まだ明確なビジョンと言えるものは無いのですが、面白みを感じていることはいくつかあります。1つ目が「UXデザイン」です。本当に機能の要求を高めていくことが正しいことなのか、世の中に必要とされているのか。「なぜつくるのか」ということを突き詰めて考えていけるところが、UXデザインの面白いところだと感じているので、UXの専門性を高めていきたいと考えています。プロダクトデザイン部では、デザイナーが軸足を定め、それぞれが専門性を身につけていくということを推奨しているので、私は「UXデザイン」における専門性を高めていきたいと考えています。

また、デザイン基盤チームとして取り組んでいる仕事にも面白さを感じています。「デザインをブラックボックスではなく、誰でも分かるものにする」ということがデザイン基盤チームの目標の1つなのですが、私自身もデザインを誰もが理解でき、プロダクトを早くつくれるようにするという事に貢献していきたいという想いがあります。そのためには、人の行動や考えを理解し、UXを構造化して考えるという事が必要です。こういった取り組みに対して、私が元々デザイナーではないからこそ、客観的に課題を捉えることができたり、そのための仕組みづくりやデザインを構造化するという場面で強みを活かすことができたりすることも多いので、これからも引き続き今行っている取り組みを通じて専門性を高め、極めていきたいと思っています。

──働き方という面では、どうでしょうか。今、ご自身のMVVに合った働き方ができていますか?

仕事が忙しくないわけではないんですが、メンバーそれぞれの希望や志向を考慮してアサインされるのでやりがいを持って仕事ができています。また、その都度イレギュラーも発生しますが、そういう場面でも、一方的に「これはあなたがやってください」という形で業務を強制されることは一切ありません。

その都度関係者と調整しながら対応可能な範囲で業務を行うことができる環境があることは、すごく働きやすいです。スケジュール等についても関係者がちゃんとすり合わせをして、コミュニケーションを取った上で納得感を持って組むことができます。

また、私はフルリモートで働いているので、家事や育児にも無理なく時間を割くことができています。フルリモートでも仕事上のコミュニケーションの面で困ることは全くありません。オンラインミーティングやチャットでのコミュニケーションが根付いているので、むしろ、十分にコミュニケーションが取れていて、やりやすさを感じる場面の方が多いくらいです。そういう風土なので、仕事に熱中しながら家のことにも十分に時間を充てることができています。

──最後に、「Chatwork」というプロダクトに携わる魅力、面白さを教えてください。

「Chatwork」のユーザーには「チャットツールを使ったことが無い」というユーザーも多い。ユーザーの幅がとても広いというのは、プロダクトの特徴の1つです。そこが、プロダクトをつくっていく上での面白さでもあり、難しさでもあります。

たとえば、デザインをつくった時に社内でレビューを行うと、色々な意見が出てくるんですね。そして、どの意見も間違っていない…ということがよくあります。ユーザーの属性が多岐にわたるために、正解を導き出すのが難しい。だからこそ、ユーザーを理解することが重要です。私自身もUXに力を入れていきたいと考えていますし、部としてもユーザーリサーチに力を入れています。特定のユーザーが使うサービスではなくさまざまな人が使うチャットツールであるからこそ、UXという部分を深めていくことができるという点に「Chatwork」ならではの面白さがあると感じています。

撮影場所:東京オフィス(WeWork 日比谷FORT TOWER)