Cha道

Chatworkの「人」「組織」を
伝えるメディア

使命は「一歩先を行く経理財務部」をつくること。新規事業やM&Aを先回りして成功に導く。

東証プライム上場企業のサンゲツで経理としてのキャリアをスタート。その後はヤフー本体とグループ会社、そしていくつかのベンチャー企業で、経理・財務部門の責任者としての経験を積み重ねてきた、宮ヶ丁。Chatworkでは、2023年の入社直後から経理財務部のマネージャーを務めています。「これまでの環境とChatworkはひと味違う」と語ってくれましたが、これまでのキャリアを振り返りつつ、その真意を聞きました。

■プロフィール

宮ヶ丁 隆行
コーポレート本部 経理財務部 マネージャー

富山県出身。神戸大学法学部を卒業後、2002年4月にサンゲツに入社。営業として配属になった後、経理部へと異動。決算短信、有報作成などを担当して、経理としての基礎を学んだ。2007年から2017年までは、ヤフーに在籍。連結決算、管理会計、グループ会社の経理部門の立ち上げに携わる。その後、キッズライン、WealthParkでの組織立ち上げ、体制構築を推進。2023年6月にChatworkにジョインした。

新卒入社3年目に、営業から経理に意図せぬ異動。危機感から火がついた。

――学生時代の原体験を教えてください。

中学・高校時代は、バスケットボールに打ち込んでいました。中学時代の自分よりレベルの高かった他校のライバル達が、高校で集ったのですが、粘り強く努力を重ねることによって肩を並べてプレイすることができました。監督がいないチームで、部員が自主的に練習していたことも、自分には合っていましたね。自らテーマを掲げて練習を重ねることによって、弱点を克服できる。そして、チームとしても成長することができる。富山県の県大会で上位まで勝ち進んだ成功体験は、今でも自分の中に息づいています。

――神戸大学に進学して、2002年にインテリア内装材を扱うサンゲツに入社しました。

親友が建設業界を志望していたので、自分もなんとなく興味を持ちました。サンゲツは東証プライム市場に上場している専門商社で、壁紙、床材、カーテンなどの内装材を展開しています。入社後は東京で営業職としてキャリアをスタートしました。実は、学生時代に「宮ヶ丁くんは営業に向いていない」と先生に言われていたのですが、同期に後れを取らないように努力しました。

そして、3年目に転機が訪れます。自分自身は意図していなかったのですが、営業から経理に異動となったのです。このときに、はっきりと危機感を感じたのを覚えています。営業として努力を重ねてきたのですが、またゼロからスタートしなければならない。このままでは置いていかれる。そう感じて、仕事への向き合い方にスイッチが入りました。

経理部に異動してからは、休日も勉強に充てました。休息や趣味の時間を削って、粘り強く知識の習得を重ねることで、少しずつ成果が現れてきました。自主的に学んだことを業務で応用することで、周りからの評価も上がり、重要な仕事も任されるように。サンゲツは上場企業ですから、決算開示に遅れることなく、正しくスピーディーな処理が必須な環境でした。プレッシャーを感じながらもミスなく業務を進められたことは、この先も経理を仕事としていく自信にもつながりました。

ヤフーグループ会社で経理部の立ち上げ。経理の価値は、経営と各事業部門の橋渡しにある

――そして、2007年にサンゲツから異業界のヤフーに転職しました。

サンゲツで経理として3年間を過ごして、基礎的なスキルを身につけることができました。成長実感を持ちながら、充実した毎日を送っていました。ただ、自分自身が成長しても、会社自体に大きな変化は与えられない。大企業なので当たり前なのですが、もっと変化の激しい環境に身を置くことで、経理として会社への貢献実感をより大きく味わいたかったのです。そこで、当時、右肩上がりに成長中で、次々と新しい事業が立ち上がっているヤフーの門を叩きました。

最初の4年間は、ヤフー本体の連結決算と数社のグループ会社の経理を担当しました。そして、5年目から2年半にわたって、グループ会社の経理部門の立ち上げを任されました。この仕事がキャリアの転機になったのです。もともとは親会社のヤフーの立場から経理を見ていたのですが、そのグループ会社が一定の規模まで成長したので、自社内に経理部門を立ち上げることに。そこに自ら手を挙げてジョインしたのです。

自らマネージャーとして経理部を立ち上げ、チームビルディングを行い、決算や管理会計などの業務を推進しました。サンゲツとヤフー本体で学んだあらゆる知見を生かすことができ、会社への貢献実感も持つことができたので、非常に充実していましたね。また、経理の価値は、経営と各事業部門をつなぐことにあると気づきました。営業、開発、CSなど全ての部署の実態を把握して数字にまとめ、週次の経営会議で報告して、会社の舵取りに活かしてもらう。必要な数字を集めて管理するだけではなく、会社の成長に直結する仕事だと感じることができました。ここで身についたスキルや充実感は、その後の経理としてのキャリアを構築する上で、軸になったと思います。

キッズラインでコーポレート部門の立ち上げに尽力。大企業の「当たり前」が通じなかった

――グループ会社も含めて10年にわたって勤務したヤフーから、2017年にキッズラインに転職しました。

経理部門を立ち上げて一区切りついたグループ会社から、親会社のヤフーに戻りました。そこから2年にわたって管理会計を担当しました。そして、経理としてのキャリアを一通り経験できたこともあり、もう一度、手触り感のある仕事に戻りたくなって、ベンチャー企業のキッズラインに転職したのです。

キッズラインは急成長のフェーズでしたが、コーポレート部門を専任で担当している人がいませんでした。他部署との兼務者が日々の業務を回していて、決算関連の業務も外部に委託していました。このままの体制ではさらなる成長を支えるのは難しいので、組織として立ち上げて、しかるべき運用ができるようにするためにジョインしたのです。そのタイミングの稀少さと裁量と責任の大きさに惹かれました。また、ベビーシッターや家事代行を行っているという事業内容に社会貢献性の高さも感じて、難易度の高い仕事に迷いなく打ち込めると思い、入社を決断しました。

コーポレート部門をゼロから立ち上げて、安定したオペレーションを構築するのは難しい仕事でした。私は大企業での勤務経験がメインだったので、自分の「当たり前」が通じないことが多くありました。たとえば、「毎朝、PCを立ち上げて勤怠を打刻する」ということを、社内に浸透させるだけでも苦労しました。ヤフーのグループ会社でも経理部門の立ち上げを経験しましたが、親会社のルールがベースにあったので、規則や仕組みをゼロから構築する必要はありません。このギャップには苦労しましたね。何とか粘り強く課題を潰していき、コーポレート部門の仕組みを整えることができるまで在籍しました。キッズラインでの2年3ヶ月は、非常に濃密な時間でした。

Chatworkで「一歩先を行く経理財務部」を形に。他部門とも密に連携中

――その後は、どのようなキャリアを歩みましたか?

2019年にヤフーに戻って、本体経理部門で、より事業に向き合う役割の経理業務を担当しました。その後、ベンチャー企業のWealthParkで経営管理全体の体制を構築する業務に携わり、2023年6月にChatworkにジョインしたのです。

――Chatworkへの入社理由を教えてください。

改めて自分のキャリアの軸になっている経理・財務にフォーカスして、急成長中の会社に貢献したいと考えました。また、Chatworkは上場会社でありながら、まだまだ成長途上ですので、手触り感を持ちながら、日々の仕事を推進できると感じました。

入社後はコーポレート本部 経理財務部のマネージャーとして、自分も含めて6名のチームをまとめています。決算などの数字を正確に報告するのはもちろんのこと、「一歩先を行く経理財務部」として、新たな取り組みにもチャレンジしています。たとえば、決算や管理会計に必要な数字をより効率的に算出するためのシステム化や仕組化などもありますし、その他様々な改善を検討しています。メンバーと連携しながらオペレーションの無駄を省くだけでなく、例えば、情報システム部門とともに、新たなITツールの導入・開発の議論を進めたりなどもしています。コーポレートの業務効率化に対して、ここまで前のめりになって取り組めるのは、他社にはなかなか無い環境だと思います。

そのようなフラットで柔軟なカルチャーを、Chatworkに入社してすぐに感じました。既存のやり方にとらわれずに、皆がより幸せになる手法を採り入れるのは、「働くをもっと楽しく、創造的に」というミッションを掲げているからこそ。ビジネスチャットなどのDXサービスを通じて、お客様に新しい働き方を提供するだけでなく、自社でも実践するカルチャーが根づいています。

新規事業の成長や、M&Aの成功に伴走。事業への貢献を通じて、メンバーも成長する

――「一歩先を行く経理財務部」について、もう少し詳しく聞かせてください。

経理業務の効率化がゴールではありません。その先にある、事業の成長支援を最大化することがゴールです。定常業務を効率化して生まれた時間を、各事業部の支援に活かしたいと考えています。ビジネスモデルを理解し、業績の進捗を数字で把握しながら、先回りして必要な打ち手を経理・財務の目線から提案する。そして、事業の成長をより加速させることができる。経理財務部のメンバーも、大きな貢献実感を得ることができて、会社の成長と共に自身も成長できる。そのようなサイクルを回していきたいのです。

Chatworkは「2024年までに中小企業No.1ビジネスチャットになる」「2025年以降にあらゆるビジネスの起点になる“ビジネス版スーパーアプリ”としてプラットフォーム化していく」という経営計画を掲げています。新規事業の立ち上げやM&A、事業提携の機会が急増している中で、その一つひとつにできる限りのサポートを行い、成功の確率を高める。それが経理財務部のミッションであり、すでに進捗している案件もあります。

たとえば、新規事業の「Chatwork アシスタント」。様々な業種のお客様に対して、複数のSaaSやITツールを利用して業務のアウトソーシングを提供する、オンラインアシスタントサービスです。業績を正確に把握するために、どのような数字を取るべきなのか。事業部と議論を進めています。また、M&Aが発生する際には、デューデリジェンスからディールの成立、連結決算の導入からPMIまで、相手先とコミュニケーションを取りながら綿密に進めています。このようなケースは、今後もっと増えていくでしょう。

自ら判断を下すのではなく、メンバーと意見交換しながら決めていく

――経理財務部をマネージャーとして運営する中で、心掛けていることはありますか?

私は2023年6月に入社したので、自分よりも社歴が長い方が周囲にたくさんいます。自部署のメンバーに知見を求めることもありますし、他部署の方に聞きに行くことも多いです。自ら情報を集めて、自ら判断を下すのではなく、メンバーと意見交換しながら決めていくことを大切にしています。一人ひとりにフラットな意見を出してもらうことで、私自身が新たな視点に気づくことが何度もありました。そのような議論を丁寧に重ねることが、「一歩先を行く経理財務部」への近道だと確信しています。

また、メンバーの志向や得意分野を明確に理解した上で、日々の仕事のアサインにつなげられるように、1on1を高い頻度で行っています。メンバーが貢献実感と成長実感を同時に得るためには、仕事のアサインが起点になります。その仕事で成果を出して、一人ひとりがより自立して動ける組織になれば、意思決定のスピードも速くなり、変化にも対応できる。会社の成長に対して、よりダイレクトに寄与できるようになるはずです。

事業への貢献実感の先にある「社会への貢献実感」を味わう

――宮ヶ丁さんと上長との間では、日々、どのようなやり取りを行っていますか?

直属の上司はコーポレート本部長の長谷さんで、さらにその上席がCFOの井上さんです。お二人とも物腰が柔らかく、私からの意見に対して、真摯に耳を傾けてくれます。定期的に1on1を実施しているので、課題感は密に共有できています。変化が激しい事業環境の中で、経営陣と経理財務部のベクトルを常に揃えることは、とても大切です。経営陣の課題感を予測して、こちらから先回りして提案を行い、お互いにフィードバックし合うことで、さらなる成長を実現したいと思います。

――最後に、この後の方針について聞かせてください。

中長期にわたってChatworkの成長に先回りして貢献できる組織にすることが、当面の目標です。まさに「一歩先を行く経理財務部」を形にするために、必要なことをやりきる。それが私自身の数年先までのミッションだと考えています。その後はより大きな視野に立って、会社の成長により幅広く寄与したい。メインユーザーである中小企業の働き方のDXを進めることは、この国の未来にも関わることだと捉えています。事業への貢献実感の先にある、「社会への貢献実感」を味わえる部署にしていきたいですね。

撮影場所:東京オフィス(WeWork 日比谷FORT TOWER)