Cha道

Chatworkの「人」「組織」を
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ドワンゴ、DeNAを経て、Chatworkへ。新卒採用と入社後の成長をつなげるのが、私の責務。

ユナイテッドアローズでの販売の仕事を通じて、人の気持ちを想像することの楽しさに気づいた清水。ドワンゴでの激動の日々を経て、DeNAに人事未経験者としてジョイン。エンジニアの中途採用を担当した後、より成長できる環境を求めてChatworkへ。新卒採用や入社時研修の立ち上げを担ってきました。どのような思いで学生に向き合っているのか、人事として何を大切にしているのか。詳しく聞きました。

■プロフィール

清水 麻弥子
ピープル&ブランド本部 新卒採用部 マネージャー代理

愛媛県出身。2010年3月に大学卒業後、ユナイテッドアローズの店舗スタッフとしてキャリアをスタート。2011年9月にドワンゴに転職。情報システム部や総務部、社内ヘアサロンの運営などを経験。2018年2月に、ディー・エヌ・エー(DeNA)に人事として転職。ヘルスケア領域のエンジニア採用に携わる。2021年2月にChatworkにジョイン。ビジネス新卒採用の立ち上げを経験し、新卒入社者の育成プロジェクトも推進している。

アパレルのアルバイトで、人の気持ちを想像することの楽しさに気づく

――いまの人事のキャリアの原点になった経験はありますか?

アパレルが好きで、大学時代はGAPやユナイテッドアローズで販売のアルバイトをしていました。そこで人の内面に触れることの面白さを感じたのが、キャリアの原点だと思います。販売の主な仕事は、お客様との会話の中で表情やリアクションからニーズをキャッチして提案することです。趣味の話や、ライフイベントの話など何気ない会話の中でニーズをキャッチして提案して購入していただけると嬉しいですし、断られる場合は更に会話の中でその理由を確認していきます。お客様が後日購入した服を着て再来店してくださり感想をもらえた時はとても嬉しかったです。年齢、性別、職業問わず、様々なお客様がいらっしゃり、お話の中で勉強になることも非常に多かったですね。

大学を卒業して、そのままユナイテッドアローズに就職しました。しかし、オンラインショッピングが活発になってきたタイミングで、自分のキャリアの選択肢が狭くなっている現状に不安感を抱き、一般的なビジネススキルをいち早く身につけたいと思い転職をしました。ゼロから学び直そうと、ある小さい企業に転職しましたが、すぐに辞めることを決意しました。事前に聞いていた説明内容と、職場環境に大きなギャップがあったためです。入社前後のギャップが大きすぎると早期退職につながり、キャリアに影響することもある。この時の経験は、「学生に対して誠実に向き合う」という、今新卒採用をする中で一番大切にしているスタンスを形成するキッカケになったと思います。入社してもらうために自分たちを大袈裟に良く言わない。正しい情報をお伝えしながら一人ひとりが描くキャリアを実現するために、どうすれば良いのかを一緒に考える。そのようなスタンスにつながっています。

ドワンゴでは、「社内ヘアサロン」の立ち上げPJに参画

――ビジネススキルを身につけようと、ドワンゴに転職しました。なぜ、ドワンゴだったのですか?

ニコニコ動画が伸びているタイミングで、まだ社内も整っていないと聞いていたので、様々なスキルを身につけられると感じたからです。6年5ヶ月にわたって在籍し、数々の貴重な経験を積ませてもらいました。変化の激しい会社で、在籍期間中も役割が何度も変わり、雇用形態や年齢、年次を問わず、責任のある仕事も任せてもらえました。当時の役員との距離も近く、直接お話しする機会も多かったので、毎日がとても刺激的でした。

――思い出に残っているプロジェクトはありますか?

2014年に社内にヘアサロンを開設したのですが、運営や一部のメニュー設定を担当しました。もちろん今までヘアサロンで働いたこともありませんし、全てが手探りでしたね。多くの芸能人のスタイリングを手掛けていた、表参道にも店舗がある著名なサロンとの協業だったのですが、スタイリストの皆さんと一緒にお店を作っている感覚がとても楽しかったです。社員からも「こんな髪型にできますか?」という相談も多く、「ドレッドヘアにも対応して欲しい」と言われた時は、施術時間が長すぎたため、メニューには入れませんでした(笑)。

オープン後は、仕事をしながら施術を受けることができるので、大好評でした。私自身も社外のヘアサロンは一切使わなくなりましたね。

ドワンゴとKADOKAWAの経営統合を、情報システム部門として乗り切った

――若くして重要な仕事を任されていたんですね。ドワンゴでは、他にはどのような経験をしましたか?

在籍中にKADOKAWAとの経営統合がありました。社員も知った時はとても驚いていましたが、私は「ここからまだ大きな変化が起こる」ことに、ワクワクの方が強かったのを覚えています。ここまで大きな変化の渦中にいられることは、そうそうないですから。

当時は情報システム部門に所属していて、数百台のデバッグ用のモバイル端末の契約管理も担当していました。経営統合に伴い、名義変更を行わなくてはなりません。デバッグ端末には今までの検証データが残っており、これらが消えないようにキャリアと交渉し、限られたスケジュールの中で実行しましたが、結果として一部のデータが消えてしまいました。キャリアの担当者と急ピッチで原因を特定し、対応に奔走しました。幸いにも大きな影響はありませんでしたが、当時は生きた心地がしませんでした。検証データを使っているエンジニアの方たちも一緒になって対応してくださり、みんなで乗り切ることができました。

ドワンゴでの6年5ヶ月は、一言で言えば、激しい変化に対応する日々でした。どんなに困難で変化が激しい状況でも、目標に向かってやるべきことをやり切ることで、失敗をしたとしても大きな学びが得られることを知りました。「やり切る」というスタンスを、20代で身に付けられたのは、自分のキャリアの中で大きな財産です。

未経験から人事の経験を積むためにDeNAへ。エンジニアの採用を担当

――そして、ドワンゴからDeNAに転職します。このときの背景を教えてください。

人事業務には元々興味を持っていました。ドワンゴで数々のプロジェクトを経験しましたが、重要なのは「人」だということに気づいたからです。事業を「人」の側面で支えたいとの思いから、未経験で人事を募集をしていたDeNAにジョインしたのです。

採用アシスタント職として入社したのですが、改善策を積極的に提案を行っていると、数ヶ月後にはリクルーターを任されるように。ヘルスケア事業部のエンジニア採用を担当しました。当時はいくつかのサービスが立ち上がった段階で、これからグロースしようとするタイミングでした。ドワンゴで情報システム部門の経験はありましたが、エンジニアリングに関する知識は全くない状態でした。そのため、徹底的なキャッチアップから始めました。

初歩的な技術書を読んだり、社内の勉強会に参加したり。私自身は、以前から事業やプロダクトなど何かを生み出す人に憧れもあり、皆さんが目指すことに「人」の側面で貢献したい、その思いはエンジニアの皆さんに素直に伝えていました。そして早くキャッチアップするために、「分かったふり」はせず、何度も何度も席に行って質問をすることもありました。そのような思いに共感いただけたのか、気がつくとエンジニアの皆さんと二人三脚で採用をするようになっていました。

自社内での協働や採用活動を通して、非常に多くのエンジニアの方と出会いました。とにかく技術力を向上させたい方もいれば、自分が作ったサービスで社会に貢献したい方もいる。様々な価値観があることや、プロダクトを作っていくことや安定稼働させることの難易度の高さについて知ることができたのは、非常に大きかったです。

――そのように充実していたのに、転職を考えたのはなぜですか?

理由は2つあります。1つ目は採用業務に習熟するにつれて、自分の中での成長が止まってしまった感覚がありました。DeNAは仕組みが整っており、PDCAの型がしっかりとできています。そのため、現状の型とは違った新しい挑戦をすることがなかなか難しい環境でした。2つ目は、DeNAの看板に依存していることに気づいたからです。採用市場において、DeNAは一定のブランドを築いています。私は、自分の名前だけで仕事をしていく自信がありませんでした。このままこの会社に居続けてもいいのだろうか。DeNAの看板が無くなったときに、私は何ができるのだろうか。そのような疑問が頭から消えなくなって、もう一度、自分を鍛え直そうと転職を決意したのです。

Chatworkに転職して、本格的なビジネス職の新卒採用を立ち上げ。事業戦略の現場への浸透度に驚いた

――なぜ、転職先としてChatworkを選んだのですか?

「成長環境」と「社会貢献性」の2つの点で選びました。成長環境については、Chatworkはマーケットも伸びていて、会社も急成長フェーズです。このフェーズはまだまだ会社も整っておらず、ビジネスで”勝つ”ための仕組みを作っていく段階です。しんどいことも多いですが、小さいことでも毎日自分なりに意思決定して失敗しながらPDCAを回すという成長に必要な経験を積むことができます。

入社直後から、ビジネス職の新卒採用を担当しました。当時、Chatworkではビジネス新卒採用を本格的に立ち上げるタイミングだったのですが、専任の担当者がいない状況でした。はじめに「チャレンジしてみないか」と声を掛けていただいた時は、ずっと挑戦する環境を求めていたので、とても嬉しかったのを覚えています。DeNAでは新卒採用に携わっていなかったので、またしても未経験の状態からキャッチアップを重ねました。立ち上げるのは大変でしたが、目標に向かって集中することができました。

その大きな理由は、明確な事業戦略が掲げられていて、その戦略が社員へも浸透していたからです。「中期経営計画の達成のために、新卒採用・育成が重要なファクターである」という意識を、一人ひとりの社員が持っていました。そのため人事だけではなく、役員や社員が一体となって、新卒に向き合っています。事業戦略や採用戦略がここまで会社全体に浸透していて、新卒を採用してしっかりと育成するという強い意思がある会社を、私は見たことがありません。

「社会貢献」については、今までエンタメ事業に関わることが多かったのですが、前職でヘルスケア事業に携わったことが大きく影響しています。がんの早期発見や健康寿命を伸ばすことを目指した事業だったのですが、「この事業を伸ばせば、人の命を救えるかもしれない」と思うと、今までの何倍も踏ん張れました。Chatworkでは99.7%を占める中小企業の皆さんの働き方を変えていく。こんなにインパクトがあって、難易度の高い挑戦は聞いたことがありませんでしたし、Chatworkには実現できるポテンシャルがある。迷わず入社を決めました。

あのときのような理不尽な思いを、誰にも味わって欲しくない

――自身で立ち上げた新卒採用は、どのように進めたのでしょうか?

私が専任として立ち上げた2023年卒のビジネス新卒採用では、社員と協力しながら、約1000名の学生とお会いしました。その中で心掛けていたのは、一人ひとりの学生の人生に向き合うこと。「志望動機は?」といった質問を投げかけたことは一度もありません。「どういうふうに生きてきたのか?」「根本的には何に興味があるのか?」「どんな考えを大切にしているのか?」「今は何に悩んでいるのか?」といったことを掘り下げていく。その上で、「Chatworkで実現できること」をお話ししていました。Chatworkの良さを伝える際には、私自身が感じていることだけを、丁寧に伝えることを心掛けていました。

やはり、初めての転職先の環境が事前に聞いていたものとはギャップがあったという経験が、自分自身の根っこにあります。あのときのような理不尽な思いを誰にも味わって欲しくない。だからこそ、真正面から誠実に、一人ひとりの学生に向き合っていました。Chatworkでの最初の1年間は、そのことに全身全霊で取り組みましたね。

入社後に成長できる環境を提供するのも、採用担当者の大切な役割

――2023年4月に、採用した学生が入社しましたが、どのようなことを感じていますか?

ビジネス職は合計で9名が入社してくれました。2年前から接点を持ち続けたので、「やっと一緒にやっていける!」と嬉しく思っています。今はエンジニア職の採用にも携わっており、ビジネス・エンジニア職両方の採用・育成を周りと協力しながら進めています。これまでの期間に、たくさんの新卒入社の社員とキャリアや未来について会話をしてきました。

成長できる環境を用意するのは会社はもちろん、自分の責務だと思っています。入社して終わりではありません。入社してからがスタートです。そのため、はじめの1ヶ月は、成長に必要な仕事に対する価値観やスタンスを形成する大切な時間だと考えていたので、「入社後1ヶ月研修」を企画して実行しました。配属先でのオンボーディングや研修にもうまく接続できるように、綿密に設計しました。かなりこだわって、役員や様々な社員の方に協力いただいたので、ここはまた別の機会にたくさんお話ししたいです。

夏のインターンシップでは、インタビューで「中小企業の生の声」をヒアリング

――現在は、2025年卒向けの採用施策を進めているかと思いますが、どのような点に力を入れていますか?

インターンシップの真っ最中なのですが、今年から初めてオフラインで実施しています。リアルの場でこそ感じられるものもありますし、学生同士のつながりを作りたかったからです。ビジョンに掲げている「すべての人に、一歩先の働き方を」を目指す中で、私たちは日本を支える中小企業に向き合っています。少子高齢化が進み、生産年齢人口比率の減少が見込まれる今、中小企業のDXを推進し、生産性を上げることが日本の課題解決につながります。私たちのインターンではまさにこの課題に向き合います。なぜ課題が解決されないのか、インタビューを通してリアルな声を聞くことで、本当の「痛み」に触れ、その解決のための新規事業を企画します。

対象とする業界や課題を学生に選定してもらい、Chatwork社員の知り合いや自分たちで探したインタビュー先に実際に話を聞きます。事前の想定とリアルのギャップを感じて、中小企業のみなさんが本当に困っていることを体感してもらう。そして、その解決のためには、本気で向き合う必要があることを知る。これらの活動を通じて、社会課題について深く考えて、その本質に少しでも触れて欲しいのです。インターンシップを通して、社会人として非常に重要な視点を得ていただきたいと思っています。そのために、人事だけではなく、メンターを行う社員や、プレゼンにフィードバックをする役員も本気で取り組んでいます。

――最後に、今後の展望を聞かせてください。

1日8時間、数十年仕事をするのであれば、私は社会課題の解決に向き合っていたいです。Chatworkでやるべきことはまだまだたくさんあるので、「人」の側面で貢献できるように、日々の仕事に全力でコミットしていきます。ただ、自分の価値観がどう変わるか、Chatworkがどのように成長していくのかは、予想がつかない面もあります。その変化も含めて楽しんでいきたいと思いますし、今の環境にいれば、いつか別のやりたいことができた時も、自分の名前で自信を持って挑戦できると思います。

撮影場所:東京オフィス(WeWork 日比谷FORT TOWER)