Cha道

Chatworkの「人」「組織」を
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グルーポン、エス・エム・エスで営業組織の立ち上げや変革をリード。Chatworkでは、“組織の伸びしろ”を最大限に引き出す。

金融、不動産、EC、SaaSなど、数々の領域で営業マネージャーとして、組織をつくり、牽引してきた真鍋。明確に戦略を立て、メンバー一人ひとりの想いにも向き合い、「30ヶ月以上連続での目標達成」など、鮮烈な成果を上げてきました。「Chatworkのセールス・カスタマーサクセスチームのポテンシャルは非常に大きい」と語る真鍋に、本人のキャリアで培ってきたことやマネジメントで大切にしていることを聞きました。

■プロフィール

真鍋 馨
コミュニケーションプラットフォーム本部 セールス・カスタマーサクセスユニット ユニット長
兼 パートナーセールス部 マネージャー

大阪府出身。大学卒業後、1999年4月に金融系の上場企業で、営業としてキャリアをスタート。その後、不動産関連企業での営業マネージャーなどを経て、2010年10月、グルーポン・ジャパンにジョイン。関西圏での立ち上げを推進した。2019年にエス・エム・エスに入社して、介護事業者向け経営支援システムの営業組織のマネジメントを担当。2023年8月にChatworkにジョイン。セールスやカスタマーサクセスのチームを統括している。

新卒入社した金融系の企業で、営業成績の新記録を樹立

――真鍋さんは、営業のマネージャーを長く務めてきました。キャリアにつながるような原体験はありますか?

今思えば、個人よりもチーム全体で成果を出すことには、中学生のときから興味があったのだと思います。強豪校のテニス部で部長を務めたのですが、「同学年のメンバー全員に表彰状を取らせる」という目標を掲げて、達成しました。団体戦にフォーカスして、補欠メンバーの練習にも徹底的に付き合いましたね。「1人でも欠けてはいけない。全員が表彰台に上るんだ」という意識を常に持っていました。全員で表彰状を掲げて、卒業アルバムに載ったのは、今でも良い思い出です。私のマネジメントの原点はこの体験にあると思っています。

――大学を卒業して、営業としてのキャリアをスタートしました。

1社目は個人向けの金融商品を扱う会社に入社して、東京拠点に勤務しました。大学を卒業する際に、自分自身の課題を「ツメが甘く、やり切る力に乏しいこと」と認識していて、何とか克服したかったのです。気分が乗らずにアルバイトを休んだり、2回も留年しそうになりました。そのような自分自身をたたき直すために、故郷の大阪を離れ、東京での金融関連の営業職に就いたのです。

とにかく置かれた環境でがむしゃらにやりました。最初の3ヶ月で金融商品を扱う国家資格を取得し、7月から営業活動をスタート。10月には同期100名の中で成績がトップになり、新人の新記録も樹立できたのです。朝から晩まで個人宅に電話をかける営業なのですが、自分なりに効率を意識していました。昼間はほとんど電話に出られないお客様が多いので、ご家族の方に在宅している時間やパーソナル情報をヒアリングし、改めてその時間にピンポイントで電話をかけていました。

そして、2年目の春には主任に昇格して、メンバーを持つように。ここで中学のテニス部時代の経験が活きました。営業成績が苦しいメンバーに対して、できる限りの時間を使って向き合いました。培ってきた営業手法をロールプレイングで伝授したり、商談に同席してフォローしたり。目標は全員で達成することに意味があると思っていたからです。

営業戦略を策定して、営業リソースを明確に配分。対前年160%の業績を達成

――金融系の会社の次は、どちらに勤めましたか?

次は不動産関連の会社に転職して、より多くのメンバーのマネジメントを担当しました。20名くらいのチームで、メンバー全員が自分よりも年上でした。自分のノウハウを教え込むよりも、組織の戦略を策定し、メンバーのパフォーマンスを管理するのがメインの仕事でしたね。一般的な営業マネージャーとしての役割を、初めて経験しました。

メンバーの人数が多く、一人ひとりの営業現場に入り込むのは難しい。そこで、戦略面の仕事にこだわりました。地域のマーケット調査を行い、競合の強みと弱みを分析し、アタックする顧客の優先順位を明確に設計。優先度の高い顧客にリソースを集中することで、前年比で大きく業績を伸ばすことに成功しました。組織の戦略とメンバーの行動を接続することの大切さを学びましたね。

グルーポンでは、業績に急ブレーキがかかる中、新たなマーケットを開拓

――その後、転機となったキャリアを教えてください。

次に転機になったのは、グルーポンでの営業マネージャーの経験です。アメリカから上陸して、日本法人が立ち上がったタイミングでジョインしました。マネージャーとして兵庫・奈良ブロックの立ち上げを任されたのですが、ベンチャー企業の成長スピードには驚きました。お得なクーポンを期間限定で販売する「フラッシュマーケティング」が一気に広まった時期で、自分のチームに課される目標金額も毎月2倍〜3倍に増え続けました。メンバーも続々と入社するので、チームビルディングに苦労したのを覚えています。

右肩上がりを続けていたのですが、2011年にサービスの信頼に関わる事件を起こし、東日本大震災にも見舞われて、成長に急ブレーキがかかったのです。何とか業績を立て直そうと、新たなマーケットをつくるために、宿泊施設への営業を強化しました。関西圏在住のユーザーをターゲットに、小旅行(2泊3日位)で訪れやすい兵庫県のホテル・旅館にアプローチしそのプランを、サイトに次々と掲載しました。かなり安く泊まれることが口コミで広がり、売上がV字回復。営業統括に就任させていただきました。会社全体が苦しい状況の中でも、お客様のニーズを注視して新たなマーケットにアプローチすることで、立て直すことはできると学びました。

エス・エム・エスで、30ヶ月以上にわたって目標を連続達成

――30代での転機がグルーポンだと思いますが、40代の転機はありますか?

2019年4月から約3年にわたって在籍した、エス・エム・エスでの経験も自分の中では大きかったです。入社当時、優秀なメンバーが多いことに驚きました。ただ、ベンチャー企業にありがちなのですが、一人ひとりのタスクが多すぎて、目標に対してフォーカスしにくい状況でした。戦略を明確にして、組織としての統制を取ることで、全員でより高みに登れる。そう考えたので、組織全体の目標を設定して、メンバー個人の目標と行動に明確に落とし込みました。やるべきことに集中することで、業績は上向きました。

当時は、メンバーとの対話を重視しました。戦略がどこまで浸透しているか、個人が何を考えて、どのような行動をしているのか、つぶさに観察することで、色々なことが見えてきました。売上をつくるのは戦略ではなく人であり、マネージャーではなくメンバーが主役である。そのスタンスを私自身が周囲にも見せることで、一人ひとりが自走して、組織としての底力がついてくる。結果として、30ヶ月以上にわたって、目標を連続達成できたのです。メンバーが自発的に試行錯誤を重ねて、行動を自らアップデートし続けたからだと思っています。

60〜70名との1on1で感じたのは、Chatworkのセールスチームの可能性の大きさ

――そして、2023年8月にChatworkにジョインしました。このときの経緯を教えてください。

前職は、AI関連のベンチャー企業でアライアンスチームに所属しており、その提携先としてChatworkとの接点がありました。そんなときに話を聞いたのが、エス・エム・エスでもお世話になった岡田さんでした。Chatworkでの仕事のやりがいや働きやすさを聞き、興味を持ったのです。制度やカルチャーなどからも貢献できるイメージができ、迷いなくマネジメントもできそうだと感じました。また、自分自身のキャリアの集大成になる、幅広いミッションを任せてくれることも魅力的でした。

入社直後から、セールス・カスタマーサクセスユニットとパートナーセールスチームを任されています。いきなりユニット長として組織にジョインしたため、メンバーに自分のことをきちんと説明する必要がありますし、私もメンバーの人となりを知りたかったので、まずは全員と1on1を行いました。

60〜70名のメンバーと話す中で気づいたのは、「組織としてのさらなる可能性」です。もともと持っているポテンシャルは大きく、それを引き出すことによって、この組織はまだまだ飛躍する。そのように感じました。インサイドセールスにおいては、架電数を増やすことができる。フィールドセールスは、PDCAを精緻に回すことで、成約率向上が実現できる。カスタマーサクセスでは、洗練された戦略を自律的に推進できる組織を構築できれば、大きな成果につながる。パートナーセールスは戦略を明確にすることで、狙った成果をシャープに生み出すことができる。1on1ミーティングを通じて、大きな伸びしろがあると感じました。

行動量の増加、商談の質の向上、戦略の見直し、オペレーションの再構築

――組織のポテンシャルを引き出すために、どのような施策を実行しようと思いますか?

求められる成果をいち早く創出するために、スピード感を持って施策を実施したいと思います。30名近い大所帯のインサイドセールスチームにおいては、さまざまな打ち手をマネージャーや関係各所と話し合いながら行いました。架電数の増加、トークスクリプトのアップデート、行動量を増やすための目標設定など、あらゆる改善が進行中です。また、新卒1年目のメンバーの成長も目を見張るものがあります。良い刺激が組織全体に波及するように、情報の流通網を整備したいと思います。

フィールドセールスの新たな勝ち筋は、少しずつ見えてきました。インサイドセールスからのパスを受け取って、より多くの受注につなげるようにPDCAを強固に回しています。特に重要視しているのが、商談の成約率と1社あたりの獲得ライセンス数です。顧客理解の深化、商談前の準備、商談の中での課題の深堀り、提案内容、商談のフェーズ管理など細かく見ていくことで、それらを向上させることができると考えています。また、提案後のリードタイムが長くなるケースも増えているので、トライアル期間を設けて顧客が決断をしやすくなる取り組みも行っています。

カスタマーサクセスにおいても中期的に目指す像が見えてきました。これからは顧客に対し、早い段階で適切なオンボーディング体験を提供することにより、エクスパンションを促進しLTV(顧客生涯価値)を高めることができるよう、チームとしても戦略や組織やオペレーションを構築していく必要があります。

パートナーセールスにおいては、戦略とリソース配分を見直しました。4名のメンバーが別個に動いていた体制を改めて、1つの戦略と行動をシンプルに紐づけました。迷いなく動ける形になったと思います。

インサイドセールス、フィールドセールス、カスタマーサクセス、そしてパートナーセールス。それぞれの動きを最適化するだけでなく、全体としての成果を最大化するために、連携しながらパフォーマンスを高めていきたいと考えています。戦略と戦術を明確に設定し、同時並行で組織内に新しい文化を創ることで、組織としても個人としても、成長できる環境を整えていきたいです。

「自分はなぜ、営業をやっているのか」を問い直すことで、新たなポテンシャルに気づける

――メンバーにメッセージしたいことはありますか?

Chatworkは、順調に成長してきました。その成長は、拡大基調のマーケットや事業フェーズに拠る部分もあったと思います。セールス組織としてはまだまだ発展途上にある。一人ひとりのスキルやマインドには、まだまだ伸びしろがたくさん残っている。そのようにメンバーにメッセージしたいです。

今後、マーケットの環境は間違いなく変わっていくでしょう。私たちも変化していなくてはなりません。「ビジネスチャットを今すぐに導入したい」と明確なニーズを持っているお客様を対象にしているだけでは、ビジネスチャットの価値を届けきることはできません。過去の売り方を踏襲するだけでなく、潜在的なお客様のニーズを喚起して、より高次な課題を解決するような動きを、私たちセールスチームが先導していくのは非常に重要だと捉えています。大きなチャンスでもあり、腕の見せどころでもある。一人ひとりのメンバーが、「自分はなぜ、営業をやっているのか」をもう一度問い直すことで、より高い意識を持つことにつながり、新たなポテンシャルが発掘されるはず。そのような組織をつくるのが、私のミッションです。

PMIにも関与して、組織の融合に挑戦したい

――真鍋さんが考える、理想の組織はどのようなものでしょうか?

前提として、求められる業績を達成することが、セールスの存在価値だと思っています。そのために一人ひとりのメンバーが自ら試行錯誤して、自ら改善に向けて動けるのが理想の組織ですね。目標達成が難しくなった際には、マネージャーが策を講じるだけではなく、メンバーがアイデアを持ち寄って施策を打ったり、自ら行動量を増やすようなチームは強いですね。エス・エム・エスで、30ヶ月以上連続して目標を達成したのは、まさにこのようなチームでした。「一度でも目標を外したくない」という想いが充満していました。試行錯誤の質と量が、個人の成長にも、組織の成長にも直結します。諦めない気持ちを持ち続けることによって、本人のキャリアも大きく開かれるでしょう。

――最後に、真鍋さんご自身の今後のキャリアについて聞かせてください。

正直、具体的には考えていません。今後も何らかの形で組織づくりを担うことになるとは思います。より高い成果を上げられるように組織に働きかけていくことが、生業になるでしょうね。Chatworkでは、会社の成長に合わせて、さまざまな機会が生まれると考えています。特に興味を持っているのがM&AにおけるPMI*1です。お互いの事業の戦略やKPI、オペレーション、組織やカルチャーを融合・最適化させるプロセスで、自分の能力がどれくらい通用するのか、50代になる前に試してみたいですね。今もそうですが、「自分はなぜ、営業をやっているのか」を問い直す機会を、Chatworkにはいただいています。セールス・カスタマーサクセス組織の責任者としての理想を、これからも追い続けたいと思います。

撮影場所:東京オフィス(WeWork 日比谷FORT TOWER)

*1:関連記事『ChatworkのM&Aの舞台裏。開発チームのトップ同士は何を語り合ったのか?』https://note.com/chatwork_note/n/n99a875096cf0