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「これは、魔法のようですね!」中小企業のDXの“最初の一歩”で、感動を生み出す事業開発。

東京理科大学で物理学を専攻しながら、熱中したのはバンド活動と作曲。「自分が作った曲を演奏して、聞く人を感動させたいというマインドは、今の事業開発(BizDev)の仕事にも通ずるものがあります」と語る小野寺。新卒で入社したSIerで、1年目から事業開発にチャレンジしたが挫折を経験。努力を重ねて4年目に子会社を立ち上げ、軌道に乗せた後に、Chatworkにジョインしました。中小企業のDXをあらゆるツールを活用して支援する「BPaaS(Business Process as a Service)」事業に、立ち上げから携わっています。これまでのキャリアで学んできたこと、事業開発の醍醐味などについて、詳しく聞きました。

■プロフィール

小野寺 崇文
インキュベーション本部 ビジネスユニット
DXソリューション開発部 事業開発チーム

愛媛県今治市出身。東京理科大学 理学部 物理学科を卒業し、2012年4月、NTTデータ系列のSIerであるエス・エム・エス・データテックに入社。新規事業開発に携わる。2019年5月、自身が立ち上げに関与した子会社インディゴデータに出向。2022年3月、Chatworkにジョイン。中小企業にあらゆるDXサービスを提供する「BPaaS」事業を担当。コンサルティング・セールスチームを率いている。

バンド活動と作曲の経験が、新規事業開発につながっている

――どのような幼少期を過ごしましたか?

父親が公務員で転勤が多かったので、大阪、兵庫、沖縄などで過ごしました。小学校の高学年に千葉県の鎌ケ谷市に引っ越して、転校先で生徒会長を任されたのが一つの転機になりました。そこから人前に立つことが楽しいと感じるようになり、大学時代は軽音サークルでバンド活動に熱中。オリジナル曲も多く作り、「自分は周りの人間とは違う!生き方を表現してやる!」という想いで突っ走っていました(笑)。

思い返してみると、バンド活動は、新規事業開発に通じることがあると思います。「他の人がやったことがないことを形にしたい」「世の中をビックリさせたい」という想いで、日々の仕事にぶつかるのは似ていますね。

新卒でSIerの新規事業開発チームにジョイン。初めての挫折を味わう

――そして、1社目のエス・エム・エス・データテックに入社しました。その経緯を教えてください。

バンド活動のスタンスを引きずっていて、言われたことをやるだけの仕事には就きたくなかったんです。しっかりと研修を受けて、先輩について雑用をこなすのは自分には無理だろうと。新しいものを生み出す仕事がしたいと、入社したのがエス・エム・エス・データテックだったのです。当時、新規事業に特化した部署が立ち上がって、数名の新卒社員を募集していました。NTTデータ系列で、歴史のある会社だったので、新しい風を入れたかったのでしょう。早期に内定を獲得できたこともあり、他の会社は受けずにそのまま入社しました。

新卒で2名だけが新規事業の部署に配属になったこともあり、最初は大きなやりがいを感じていました。しかし、大卒の新人が新しい事業を生み出すのは、かなりハードルが高い。全く何も貢献できなくて、人生で初めての挫折を味わいました。

私と同期の社員と、デザイナーの1年上の先輩と、データサイエンスに強い業務委託の4名のチームでした。私がBizDevを担当したのですが、ビジネス経験がない1年目の社員が、事業を生み出すのは無理がありました(笑)。新しい技術を使って見たことのないサービスを生み出そうと、意気揚々と入社したのですが、目の覚める事業プランを発想するのは難しい。アイデアを思いついたとしても、既に他社がやっていたり、マーケットが小さくてビジネスとして成り立たなかったり。自分の想像力がいかに乏しいかを痛感しましたね。入社して2年間は何も成果を出せずに、ただ時間だけが過ぎていきました。

入社4年目にデータ分析の新規事業を立ち上げて、子会社を設立

――その後はどのように事業開発を進めていったのでしょうか?

3年目になって、あるビジネスプラットフォームを発案し、「これは行ける!」と役員にプレゼンしたのですが、首を縦に振ってはいただけませんでした。一定の収益を見込めるビジネスだったのですが、実現性に若干乏しく、既存事業との相性もあまり良くなかった。本業はSIerなので、シナジーが見込めないと。そこで悔しい想いを味わったので、次に勝負できるアイデアが生まれたら子会社化して自由にやりたい、と考えていました。

そして、入社4年目を迎えて立ち上げたのが、「インディゴデータ」という会社です。データ収集・分析ソリューションを、パッケージで提供する事業を展開しています。本業のお客様は大手企業が中心なのですが、インディゴデータのサービスはデータサイエンスの活用を自走できない中堅企業がメインターゲット。DXの一歩目を踏み出していただくために、幾つかのツールやサービスを自社開発して提供しました。子会社化したことで、意思決定も自分たちででき、サービスの展開に合うように社員の働き方や処遇も設定できた。非常にやりやすかったですね。

私自身はBizDevを担当。主にマーケティング戦略とセールスをメインで担当しました。誰も知識が無いので、新卒の後輩にWebマーケティングの手法を学んでもらって、私がディレクションする体制で進めていましたが、業績を倍々ゲームで伸ばすことに成功。スタートアップ企業として、全員一丸となって事業成長に寄与できたのは貴重な体験でした。

ゴールまでのプロセスを自由に選択できる。BizDevの醍醐味を味わうためにChatworkへ

――インディゴデータは順調に成長していました。どのような理由で、転職を考えたのでしょうか?

インディゴデータには3年にわたって勤務しました。事業は順調に伸びていて、組織の体制も整ってきた。いわゆる「0→1」から「1→10」のフェーズに入ったのです。今後も私がマーケティングやセールスの担当を続けるよりも、より専門スキルの高い方に任せた方が事業としては成長するだろうと、ずっと考えていました。私自身の根っ子はバンドマン時代と変わらず、新しいものを生み出して、世の中の人たちをあっと言わせる仕事をやりたかった。そこで、新たな「0→1」の環境を求めようと、転職を決意したのです。もっと経験を積んで新規事業開発のスキルを高めたいという想いが、日に日に強くなっていきました。

――転職活動はどのように進めましたか?

SaaSの会社で、事業立ち上げができる環境を探しました。ただ、なかなか求めていた会社は見つかりませんでした。その中でスカウトメールをいただいたのが、Chatworkだったのです。前職でビジネスチャットの「Chatwork」は使っていたのですが、プロダクトのイメージが強かった。機能をあまり追加せず、あえてシンプルな路線を走っているのも感じていました。正直、新規事業を担当できるとは思っていなかったのですが、カジュアル面談でイメージが一変したのです。

「Chatwork」のプロダクト自体に機能追加を仕掛けていくといったミッションではなく、強固な顧客基盤や中小企業向けのチャットツールという唯一無二のポジションを最大限活用しながら周辺領域の事業をハイスピードで作っていく。その話を聞いたとき、「ああ!なるほど!そういった発想があったか!」と驚きました。中小企業のお客様が求めるものであれば、極論何でもチャレンジしていく方針です。当時からクラウドストレージサービスの合弁会社(Chatworkストレージテクノロジーズ株式会社)の設立をはじめ、様々なパートナーと協業していました。ここまで自由な発想で事業を展開している会社は見たことがないという印象で、自分には合っているなと。500万人以上*が利用する大規模なサービスを持ちながら、それに縛られずに事業を生み出せる環境に大きな魅力を感じたのです。入社後に、その印象はより高まりました。最近では人事労務領域の事業を展開する「株式会社ミナジン」がグループイン。多彩な事業展開で継続的に成長しています。

* 574.1万ID(2022年12月末時点)

――逆に、自由すぎると、方針が定まらず大変だとも感じるのですが。

いえ、私は絶対に選択肢が多い方が良いと思っています。ゼロから自由にサービスを生み出す仕事は非常に大変です。ただ、その大変な過程が、BizDevの醍醐味なんですよ。予期しないことが起こって、困難を乗り越えることが楽しいですし、だからこそ飽きない。BizDevは、ある種の中毒性がある仕事だと思っています。何もないところにゴールを掲げて、そこに到達するための複数のルートを設定して、1本目を試してダメで、2本目もダメで、3本目でようやく少し進む。RPGをプレイしている感覚にすごく近い。この過程が非常に面白いのです。Chatworkはこのルートを無限に選択できる環境で、「2024年に中小企業No.1ビジネスチャットのポジションを確立する」というゴールも高い位置にある。こんなにやりがいのある環境は他にないと思っています。

「まるで魔法のようですね!」業務の進め方が変わり、発想も変わった。そして、働き方も変わる

――Chatworkに入社して1年が経ちました。BizDevの仕事を楽しんでいますか?

もともと自由にやらせていただけるという話だったのですが、想像以上でした。ゴールは決められていますが、その達成に向けて選択できる手段の幅が広い。意思決定は全て現場に委ねられている一方で、社員同士の目線が揃っているので、事業開発が進めやすいです。ブレずに自由にできる。この二律背反が両立している環境は、Chatwork以外にないと思いますね。

――どのような領域で、BizDevを進めていますか?

中期経営計画の達成に向けて、重要なピースでもある「BPaaS」のグロースをマネジメントしています。私が入社したときから、本格的に動きはじめたプロジェクトです。中小企業の現場のDXを進めるために、ビジネスチャットを軸にして、あらゆる手段を個別に提供するサービスです。ITをあまり得意としていないお客様に対して、それぞれの現場での課題に合わせたソリューションを提案して実装する。それが私のチームの仕事です。

紙や電話、メールでのコミュニケーションを「Chatwork」に代替することで、生産性が向上した事例は数えきれないほどあります。「BPaaS」はさらにその先の世界観を描いていて、コミュニケーション以外の領域にもDXを進めて、お客様の業務をより効率化しようと考えています。

――具体的には、どのようなプロジェクトに携わりましたか?

ある介護事業所への「BPaaS」の導入を担当しました。業務のやり取りに書類を用いたり、拠点間のコミュニケーションにFAXを使っているお客様でした。「Chatwork」を軸にしてGoogle関連のツールを活用することで、ペーパーレスを実現したのです。たとえば、これまで新しいスタッフさんが入所した際には、紙の台帳に住所や名前や家族構成を記入してもらっていました。さらにマイナンバーを別の台帳に記入して、自宅から事業所までの地図を手で書いていた。そこで「Google Forms」に記入してもらって、その内容を「Spread Sheet」で一元管理できる仕組みを構築しました。それぞれの手順が「Chatwork」から自動で案内されるので、アナウンスする社員の手間も削減でき、既存の人事管理ツールともさらに連携できる。入社時の手続きと提出物の管理を、一気にデジタル化したのです。

お客様は感謝してくれるというよりも、驚いていました。「まるで魔法のようですね!」と言っていただけた。さらに、他の業務の効率化のアイデアが次々と生まれるようになりました。手書きの書類で業務を進めていた会社が、ここまで変わるのかと。私の方が驚きましたね(笑)。Chatworkがミッションとして掲げている「働くをもっと楽しく、創造的に」という世界観が実現した瞬間を、目の当たりにしました。ITへの苦手意識を払拭し、業務の進め方が変わり、発想も変わった。そして、働き方も変わる。「BPaaS」を市場に広めていくことで、社会に貢献できると実感しました。

中小企業のDXの「最初の一歩」を担うやりがい

――数あるSaaS企業の中で、自社ツールの提供に留まらず、ここまでお客様の現場に入り込むのは珍しいですよね?

そうですね。前職では、中小企業にパッケージ化されたソリューションを提供していましたが、ここまで深く入り込んではいません。データ分析ツールを提供することに留まっていました。「お客様の業務効率化」という目的は同じなのですが、Chatworkの「BPaaS」は、顧客の現場に寄り添って伴走します。ツールを渡してお客様に問題解決を委ねるのでなく、一緒に課題を探して解決に当たるのでより信頼感が醸成されますね。その違いは感じています。

場合によっては、業務効率化のための打ち手が、DXツールでなくてもいいんですよ。お客様の現場に合っていることが第一なので、無理をして最先端の技術を活用する必要もありません。最初の打ち手はフラットに考えることが大切で、一歩目を踏み出せさえすれば、信頼感が醸成され、ITへの苦手意識も無くなり、一気に世界が広がる。その非常に重要な「最初の一歩」を担うのは、自分の性にも合っていますね。お客様の目の前で貢献実感を得ることができますし、感動してもらえるのも嬉しいです。

「Chatwork」はコミュニケーションツールですから、他のツールと連携しやすいのも大きいですね。先ほどの例のようにGoogleの各種ツールや他社SaaSのサービスとも、簡単につなぐことができる。つまり、DXのハブになれるのです。この特性は他には無いものだと感じています。

他事業部のスタッフとの協業も可能。既存事業への忖度は、全く必要無し

――「BPaaS」事業を推進するに当たって、社内の状況はいかがでしょうか?

「BPaaS」への注力が全社で告知されたのが、昨年の12月でした。そのころから、事あるごとに色々な方から、「いつでも相談に乗るからね」「一緒に何かやりましょう」と声を掛けられるようになりました。このソリューションを展開して、中小企業のDXを進めようとする雰囲気が、社内にも広がっています。会社としての後押しがあるので、既存事業を変に忖度する必要も無く、全力でチャレンジできる。また、「BPaaS」チームに足りないケイパビリティを埋めるために、他の部署に協力も依頼しやすい。新規事業を推進するには、非常にありがたい環境ですね。

「BPaaS」チームは5名で構成されています。私とマネージャーの桐谷さんが主にコンサルティングやセールスを担当して、他の3名がお客様への実装を担っています。この5名で事業を推進できているのが、刺激にもなっていますね。特に桐谷さんは同い年なのですが、自身で起業したり、ベンチャー企業の立ち上げから参画してグロースさせたりと、事業開発の経験を豊富に持っている。また、同じく事業開発を担当している福本さんは、自分よりも年下ですが、大学卒業後すぐに起業して売却した経験があり、現在も強烈にグロースを推進しています。2人とも一般的なサラリーマンではありません。考え方と行動の双方から日々学べることが多いですし、自分がどういうバリューを発揮すればいいのか、自問自答していますね。

――この1年間で、ご自身の中でどのような変化が起こりましたか?

BizDevの中で気づいたことも多いですし、周りの人たちからも色々なことを学びました。その結果、チャレンジに対してのハードルがかなり下がりました。チャレンジをするプロセスのつらさや苦労を楽しめるようになってきた。“耐性”がついたと言ってもいいかもしれません。とにかく新しいことを取り入れたり、アグレッシブに攻めるのが今まで以上に楽しくなりました。プライベートでも良い影響を与えていて、何か嫌なことがあっても、落ち込んだりすることが無くなった。常にポジティブなマインドで毎日を過ごせていますね。

地方の中小企業にも、DXの波を拡げていきたい

――最後に、今後のご自身の目標について聞かせてください。

「BPaaS」は、中小企業のお客様に幅広く導入できるサービスです。あらゆる業界への適用が可能で、非常に大きなマーケットが広がっています。さらに「Chatwork」を使ったことのないお客様に活用いただくこともできる。ここまで広い可能性を持つサービスですので、事業として大きな軸になるまでは、しっかりと責任を持ってグロースさせたい。立ち上げから関与しているので、個人的にも愛着があります。

また、私自身が愛媛県の出身で、その後も父親の転勤の影響で、地方を転々としてきたことから、東京や大阪の大都市のお客様だけでなく、地方の中小企業にも貢献したい想いを持っています。何とか実績をつくって「BPaaS」を軌道に乗せれば、地方のお客様にもDXへの第一歩を提供できる。まだまだIT化が進んでいない、多くの地方のお客様に対して「まるで魔法のようですね!」と感動を与えることが、今後の大きな目標です。

撮影場所:東京オフィス(WeWork 日比谷FORT TOWER)