Cha道

Chatworkの「人」「組織」を
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物流管理、営業、人事を経験してエンジニアへ。人生を変えたプログラミングとの出会い。

「Chatwork」のグロース施策のための開発を担当するチームガルーダ(Team Garuda)。このチームにおいて、フロントエンドやバックエンド、モバイルアプリなど幅広い技術領域を扱い、活躍しているのがエンジニアの大道 翔太です。

大道は決して、学生時代からエンジニアの道を志していたわけではありませんでした。以前は物流会社の管理業務や転職エージェントの営業、IT企業の人事などエンジニア以外の職種で働いており、あるきっかけからエンジニアへと転身したのです。今回は大道のこれまでのキャリアについてインタビューしました。

■プロフィール

大道 翔太
プロダクト本部 プロダクト開発ユニット プロダクト開発三部

物流管理や転職エージェント、採用担当などの仕事を経て2018年に株式会社フィードフォースへの転職を機にWebエンジニアへとキャリアチェンジ。2022年11月よりChatwork株式会社に参画。チームガルーダにて、幅広い技術領域を扱いつつエンジニア業務に従事する。

自分がエンジニアになるとは夢にも思っていなかった

――大道さんは、キャリアのスタートが物流会社の管理業務だったと伺っています。なぜ、新卒でこの道を志したのですか?

物流業界への興味があったわけではなくて、「なるべく残業が少なくて、趣味の時間を充実させられる職場が良い」と思っていたんです。大学4年のときに公務員試験を受けましたが、すべて落ちたので1年間就職留年をしました。翌年の就職活動で「大手企業のグループ会社で年間休日が多いから」という安易な理由で、物流会社への就職を決めました(笑)。

物流の管理業務を担当しましたが、仕事を通じてコミュニケーションスキルが身に付いたと思います。そこでは、高校を卒業したばかりの若いトラック運転手や年配のトラック運転手、パートタイムでデスクワークをする方など多様な年代や職種の方々が働いていました。そして、荷主である大手企業の方々とも日常的にコミュニケーションを取っていたため、さまざまなタイプの人たちと調整や折衝をすることが求められました。

その会社で私は主に運送管理を任されており、コスト削減や時間短縮を実現する荷物搬送方法や配送経路を考えていました。そういった、効率化の方法を考えるような業務は、現在のエンジニア的な発想にもつながっているのかなと思います。

――その後、転職エージェントの営業にキャリアチェンジされたそうですね。これは、どのような経緯からでしょうか?

その物流会社での仕事はボーっとしている時間が長くて、楽だったんですよ。現場の人たちも優しかったですし。ただ、そんな環境で過ごすうちに「このまま年齢を重ねても、大してスキルが身に付かないかもしれない」という危機感が生まれてきて。もっと厳しい職場に転職して、スキルを磨きたいと考えるようになりました。

私は人と話すことが好きだったので、ミーハーな気持ちで「人事になろう」といろいろな会社を受けましたが、どこも受からなかったんですよね。すると、当時相談していた転職エージェントの方が「未経験から人事になるのはハードルが高いので、まずは人材系の会社で経験を積むと良いですよ」とアドバイスをくれたんです。

そこで、人材系の会社をたくさん受けたところ、ある会社に拾ってもらえました。その会社では営業として、ITエンジニアの方々の転職支援をしました。当時は、まさか自分がエンジニアになるとは夢にも思っていませんでした(笑)。

――厳しさを求めての転職だったわけですが、その職場では鍛えられましたか?

かなり大変な職場でした。自分の所属していたチームのマネージャーが事業部内で一番厳しいくらいの人で、「なんとしてもKPIを達成しろ」と山ほど叱られました。転職する方の人生を預かっていることもあり、プレッシャーのかかる職場でしたが、自分の仕事力の基礎はここでできたので、今ではとても感謝しています。

失うものは何もない。自分のやりたいことをやろう

――転職エージェントの営業の仕事でエンジニアの方々と接したことをきっかけに、エンジニアリングへの興味を抱くようになったのですか?

そうですね、徐々に興味が湧いてきました。IT企業各社へと商談に行くと、その会社のCTOやマネージャークラスのエンジニアの方々と話すことになるんですよ。その会話を通じて、エンジニアの仕事はすごいという思いを持つようになりました。ですが、営業としてある程度の結果を残せたものの、ハードワークがたたったのかその頃から精神的な疲れが出てくるようになりました。

疲れは溜まっていたものの、ずっと志していた人事になりたいと思って、小規模なITスタートアップに転職しました。でも、精神的な疲れから自分がなかなか力を発揮できず、仕事を苦しく感じるようになったんですよね。ただその環境の中でも、一緒に働いていたエンジニアやデザイナーの方々は良い人ばかりでした。すごく楽しそうにプロダクト開発の話をしていて、「こんなに面白そうに働ける職業って、素晴らしいな」と感じて、眩しかったです。

でも、その会社で働き続けるのはやはり無理でした。「このままでは限界が来てしまう。とにかく辞めなければ」と、入社から2カ月で退職しました。その後の1~2カ月くらいは完全に無職の期間が続いて、当時は「自分のキャリアはもう終わった」くらいに思っていましたね。毎日、暗い気持ちでした。

――大変な状況だったのですね……。そこから、エンジニアへと転身したそうですが。

あるタイミングで「失うものは何もないし、難しく考えず自分のやりたいことをやろう」と心機一転しました。そして、「転職エージェントや人事の仕事で接していたエンジニアの人たちは楽しそうだったし、プログラミングをやってみようかな」と考えて、プログラミングスクールに通い始めたんですよ。未経験からのスタートでしたが、試しに取り組んでみたら本当に面白かったです。これを仕事にしようと心を決めました。

新しい知識を学ぶことが楽しい

――エンジニアとして、BtoB SaaSを提供する株式会社フィードフォースで働いていたと伺っています。印象に残っていることはありますか?

フィードフォースは複数のBtoB SaaSを扱っている会社だったため、さまざまなチームでの開発を経験しました。印象に残っているのは、日本国内で前例の少なかった技術に積極的にチャレンジできたことです。たとえば私がフィードフォースに入社したのは2018年でしたが、最初に参画したチームでは当時まだ珍しかったGraphQLを取り入れていました。

それから、Google広告自動運用サービスの開発に携わっていた時期があったのですが、日本国内でGoogle Ads APIを使用している企業がすごく少ない状況で、公式ドキュメントを読んで勉強しながら開発をしていました。他にも、2021年ごろにShopifyアプリの開発やRustを用いたWebアプリケーション開発を経験しましたね。

私がエンジニアをやっている大きなモチベーションとして「新しい知識を学ぶことが楽しい」という点が挙げられます。だからこそ、日本国内の前例が少ない中で、未知の領域を開拓していく仕事は自分自身の志向とも合っていました。

業務外の活動としては、Shopifyアプリに関する書籍の執筆にも携わることができました。これは、フィードフォースグループのエンジニア複数名で分担して書いたものです。その執筆は挙手制の早い者勝ちだったので、やってみようと思って立候補しました。

――書籍の執筆はかなりエネルギーの必要な作業だというイメージがあります。

そうですね。正確な情報を記載することが大事なので、かなり神経を使いました。私が担当したのは書籍の中の「環境構築」の章の執筆と書籍全体のレビューでしたが「どうすれば他の人のコンピューターでも問題なく動作するコードになるか」を考える大切さを学びましたね。

――このエピソードに関連した話題として、大道さんは技術ブログを書くことや人に何かを教えることもお好きだと伺っています。

人に何かをわかりやすく教えて、その人が喜んでくれたり知識が増えたりするのを見るのが好きなんです。私はわりと、他の人に技術情報を伝えることに向いているタイプだと思っています。なぜかというと、幼い頃からエンジニアリングに触れていたわけではないので、「技術的な知識が薄い人は、何がわからないのか」がわかるんですよ。だからこそ、そうした人たちの目線に立って、わかりやすく説明する能力があるのかもしれません。

フィードフォース時代には、新卒向けの研修を担当したこともありました。ビジネス職の方々に向けて、Webの技術を噛み砕いて説明するものでした。カリキュラムを作っているときや研修で話しているときなどに、どうすればうまく伝えられるかを考える時間が楽しかったです。

Chatworkはプロダクトも人も魅力的な会社

――ここからはChatworkでのキャリアについて教えてください。

「Chatwork」というプロダクトは以前から知っていました。Chatworkで働くことに興味を持ったきっかけは、人事の高瀬(和之)さんからのスカウトメッセージですね。スカウト文面の中で、私が作ったOSSに触れてくれていました。

他の会社からのスカウトメッセージでも、私が作ったOSSについて書かれているものはありました。でも高瀬さんが言及してくれたのは、スターが1つも付いていないマイナーなリポジトリだったんです。自分のことを、とてもよく見てくれているんだと思いました。

それをきっかけに、高瀬さんのキャリアに興味を持ちました。高瀬さんの「Cha道」のインタビューも読みましたよ。高瀬さんはエンジニアのバックグラウンドがありつつ採用の仕事をしており、Chatworkと兼業で教師の仕事もしています。私は人に何かを教えることが好きなので、通じるものがあって「この人と話してみたい」と思うようになりました。

――採用面接のときに話した内容で印象に残っていることはありますか?

具体的な会話の内容ではないのですが、とにかく面接が楽しかったのを覚えています。合計で4〜5回くらい面接を受けましたが、すべて自然体でいられたのが印象的でした。

最終的に「この会社で働こう」と決めたのにはいくつかの理由があります。まずは、「Chatwork」が多くのユーザーに利用されており開発を通して世の中に価値提供できるのと、自分自身がドッグフーディングできるプロダクトであること。それから、ITに慣れていないユーザーにも使いやすいプロダクトを開発することに興味がありました。

加えて、Chatwork社内で働く方々が魅力的だったこと。社員インタビューが掲載されている「Cha道」や技術ブログの「Chatwork Creator's Note」、ChatworkのYouTubeチャンネルなど閲覧できる情報は一通り見たんですよ。

かとじゅんさんだいくしーさんなど、以前からTwitterでフォローしている方々もChatworkで働いていることを知り、すごい人たちがいる会社なんだと実感しました。また、開発職だけではなく、ビジネス側にも優秀なメンバーがたくさんいるとわかりました。

それから選考フローで、将来的に一緒に働くことになるチームメンバーの方々とモブプログラミングできたのが大きかったです。実際に働くイメージができて、安心感がありました。

――現在、大道さんは「Chatwork」のグロース施策のための開発を担当するチームガルーダに所属しています。このチームにおいて、フロントエンドやバックエンド、モバイルなどを扱っていますが、フルスタックに幅広い技術に取り組んでいるのは、どのようなモチベーションからでしょうか?

もともと自分がエンジニアを志した際に、「アプリケーションを1人の力で作り切れるようになりたい」と思っていました。それに、新しい知識を得ることが好きだからこそ、領域を限定せずに幅広いスキルを習得したいと思っています。

――大道さんは入社間もないころから「LLTTT(Lunch Lightning Tech Talk Time)*1」の運営にも積極的に参加されていますが、こちらはどのような理由からでしょうか?

前職でもテックトークという文化があったんですが、発表の準備をするための学習を通じて、エンジニアとして大きく成長できました。その成功体験があったからこそ、技術勉強会のようなコミュニティを大事にしたいという強い気持ちがあります。

「LLTTT」の運営に参加したことで、社内で他のチームの人ともつながりができました。これまで営業や人事などの仕事をやってきたからか、コミュニティ運営をするのが全く苦ではないんですよね。各種の段取りやコミュニケーションをすることが仕事だったので、その経験を活かせている感じがします。

――では最後に、今後Chatworkで実現したい目標について教えてください。

まずは「Chatwork」というプロダクトについてもっと理解を深めたいです。「Chatwork」は歴史が長いですし、かなり規模の大きなアプリケーションなので、じっくり時間をかけて技術的な全体像を理解していきたいと考えています。そのうえで、適切な提案や改善を行い、エンジニアとして技術的な価値を発揮できるようになりたいです。

*1:昼食時間に実施している社内向けのテックトーク