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学び続けるのはともに働く人のため。SREのその先にある、大切にしたい信頼性とは?

「パズルを組み立てていくのが楽しくて…」と、仕事のおもしろさについて語るのは、2023年10月に入社し、SREに従事している桝谷。

わからなかったことがわかるようになっていく「学ぶ楽しさ」をモチベーションにキャリアを重ねてきた彼女が転職先としてChatworkを選んだ理由、そしてSREとしての仕事のおもしろさや今後のキャリアビジョンについて聞いてみました。

■プロフィール

桝谷 花世
コミュニケーションプラットフォーム本部 プロダクト開発ユニット SRE部

大手SIerにシステムエンジニアとして新卒入社。倉庫管理システムの海外展開やERP(Enterprise Resources Planning)システム基盤のクラウド環境へのリプレイス、MaaS(Mobility as a Service)サービス開発などさまざまなプロジェクトにおいて、インフラ構築やシステム開発、運用保守を担当。2023年10月にChatworkに入社し、SREの業務を担っている。

マンガがきっかけで、宇宙に憧れた学生時代

── 新卒で入社されたのがSIerで、システムエンジニアとしてキャリアをスタートされていますが、大学でもプログラミングを学ばれていたんでしょうか?

いえ、大学では物理学を学んでいて、理論物理学を専攻して大学院にも進みましたが、特に情報系の勉強をしていたわけではないんです。当時は「宇宙」に惹かれていて、JAXAで働くことを夢見ていました。

──宇宙ですか!?そこからどのようにして今の仕事につながっていくのか気になるところではありますが…宇宙に興味を持たれたきっかけも含めて、もう少し幼少期から、桝谷さんのルーツについて教えていただけますか。

小さい頃から新しいことを学ぶことが楽しくて、習い事が好きな子どもでした。バレエやピアノを習っていた影響からクラシック音楽にも惹かれるようになり、中学生のときに吹奏楽を始めました。クラリネットを担当していましたが、どんどんのめり込んでいき、部活動だけでは飽き足らず、中学3年生からは県のオーケストラにも入りました。

高校生になってもクラリネットを続けていて、音大への進学を考えましたが、練習のしすぎで腱鞘炎になり1ヶ月ほど鉛筆も握れなくなってしまったことなどがあり断念。そんなタイミングで運命的に出会ったのが、『宇宙兄弟』というマンガでした。このマンガに影響を受けて、私も宇宙に関わりたい!JAXAで働きたい!と思って、進路を大転換しました。

── 宇宙のどんなところに惹かれたんでしょうか?

宇宙ってわからないことだらけなんですけど、それがおもしろくて。私、勉強って本を読むような感覚だと思っているんです。知らなかったことを知ったり、わからないことがわかるようになったりするのが楽しいんです。

もちろん、全てのものごとに対してそう思えるわけではないですけどね。もともと数学は問題を解く楽しみがあって好きだったので、宇宙について知るために必要な物理の勉強も苦ではありませんでした。

── 宇宙に惹かれて物理を学んで、大学院に進んで…そのあと、1社目にはどうつながっていくんでしょう?

宇宙に関わりたい、JAXAで働きたいという気持ちはずっとあったんですが、いざ就職について考えるタイミングになって、働くよりもずっと勉強している方が楽しいんじゃないか…と考えるようになってしまって。大学院に進んだのも、就職せずに勉強を続けたいから、というのが本音です。ただ一方で、研究はするものの学会にはあまり楽しみを見いだすことができず。アカデミックの世界に自分があまり向いていないと感じていました。

そうなると就職を考えないといけません。自分が興味を持てることは何かないだろうかと考えたときに、ふと思い浮かんだのがプログラミングでした。大学に入ってからシミュレーションのためにFortranやC言語でコードを書くのですが、わからないことがあってもネットで調べてその通りやってみたら動く、ということが楽しかったんです。これが仕事になるなら、もしかしたら働くことも楽しめるのかもしれないという希望がありました。

新卒入社したSIerは、JAXAとも仕事で関わりがあり、もしかするとこの仕事が宇宙とつながっているのかもしれない…という期待も抱いていました。

パズルを楽しんでいたら、「一番知っている人」になっていた

── システムエンジニアとしてのキャリアがいよいよスタートするわけですが、JAXAや宇宙と関わることはできたのでしょうか?

いえ、配属されたのはまったく宇宙とは関わりのない部署で、淡い夢は早々に打ち砕かれました(笑)。ただこの初期配属先のプロジェクトでAWSと出会ったことは、私のキャリアにおいて大きな意味がありました。

大学で多少コードは書いていたといっても自己流ですし、もともと情報系出身ではないため、入社当時はほとんど何もわかりません。目の前の仕事は何でもやります!勉強します!というスタンスで、そのときたまたま目の前にあったのがAWSでした。

当初プロジェクトを一緒に担当していた上司が退職してしまったこともあり、がむしゃらに勉強しているとどんどんおもしろくなっていきました。AWSについて学べば学ぶほど世界が広がって、知りたいことも増えていって、壮大なスケールのパズルに取り組んでいるような感覚です。さまざまなサービスがあって、正解に辿り着くためのアプローチは何通りもありますが、それを見つけていくのがおもしろくて。AWSを通じて他部署のメンバーとも仲良くなり、上司や先輩を巻き込んで勉強会も開催しました。

私としてはただパズルを楽しんでいただけなんですが、気づけば社内で「一番AWSについて知っている人」になっていました。

── AWSという新しいパズルとの出会いで、桝谷さんの学びスイッチが入ったんですね。この新しい知識やスキルはその後のキャリアでも生かされるんでしょうか?

その後関わるプロジェクトについてはプラットフォームもAzureなどで、直接業務に生かすというよりも趣味のような感じで学び続けていましたが、そこから人脈も広がっていき、それがきっかけとなって新たなプロジェクトにジョインすることになりました。それがMaaSのサービス開発プロジェクトなんですが、仕事の内容よりも、プロジェクトに関わっていたチームの技術力の高さに惹かれて。自ら手を挙げてチームに入れてもらい、開発チームリーダーとSREチームリーダーを兼務していました。

全て学び尽くしてしまった…と感じ、転職を決意

── その後、転職を考えられたきっかけは何だったんでしょう?

MaaSのプロジェクトが一区切りついて、また別のプロジェクトがスタートしていたのですが、この頃から、SIerの立場でSREとして関わることの難しさを感じていました。

SREをやろうとすると、結局、クライアントの組織文化を変えないといけないんです。保守とSREの違いは、あくまでも安定稼働に主眼を置くのか、新しい取り組みを進めていくのかという点にあります。

SREはSLOの範囲内であればサービス停止を恐れず、攻めの姿勢で新しい取り組みを進めていく必要があります。サービス停止時間がSLOに違反しそうだとなったときに、新機能のリリースよりも安定性にリソースを振るのかどうするか…という会話ができるような関係性をつくり、文化をクライアントと共有できていないとSREとしては機能せず、ただの「保守」になってしまうんです。

こうした、SIer側でSREとしてプロジェクトに関わることの限界を感じていたとともに、今いる環境では、興味のあったことは全て学び尽くしてしまったと感じたことも転職を考えるきっかけになりました。

Chatworkは、全員が同じゴールをめざしている生産性の高い組織

── 転職先としてChatworkを選ばれた理由を教えてください。

Chatworkからスカウトメールをいただいたことが応募のきっかけですが、それ以前に、とあるテックカンファレンスに参加した際にChatworkのセッションを聞いたことがあったんです。そのときからエンジニアの方々の技術レベルの高さは感じており、また企業としての印象も良かったので、まずは話だけでも聞いてみようと思いました。

実際の社員の方々とお会いして話してみても社内の人間関係は良さそうで、「みんなでつくっている」という会社としての一体感のようなものも感じられました。

── 実際に入社してみて、Chatworkはどんな会社ですか?

まず、技術力の高い方が多い組織だと感じました。また一人ひとりが高い技術力や豊富な知識を持ちながらも、それを外にも積極的に発信しているのも特徴だと思います。さまざまなセミナーやカンファレンスで登壇したり、ブログを書いたり、そうやって外に情報を発信することで、また新たな情報が外から入ってくるのだと思います。

そして、アウトプットをしっかり出しているにも関わらず、家族との時間を大事にしていたり、趣味の時間をきっちり取っていたりすることにも驚きました。以前は22時頃までの残業が当たり前で、平日はもう家に帰って寝るだけ…という生活でしたが、今はだいたい18時には仕事を終えられており、健康的な生活リズムを取り戻しました。

── アウトプットは出しても残業はしない。こうした働き方のポイントはどこにあると思いますか?

一言で表現すると、生産性です。一人ひとりが高い技術力を持っているということもそうなんですが、何よりもみんながちゃんと同じゴールに向かっています。そしてそれを言われたからやっているわけではなく、一人ひとりが自主的に、創意工夫しながらやっていることが、組織全体としての生産性の高さにつながっていると感じます。

部下から信頼される技術を持ったマネージャーをめざしたい

── ではあらためて、桝谷さんの現在の仕事内容について教えてください。

簡単に言うと、信頼性を保ちつつ開発が円滑に進むよう、障害が起きにくいフローを構築していくということなんですが、ユーザー側の信頼性に目を向けたSREと、開発者体験の向上に目を向けたプラットフォームエンジニアリングの中間くらいの立ち位置ですね。

具体的には、開発チームが自分たちでインフラをつくり、テストしてフィードバックを受け取れるような仕組みを構築したり、サーバーや仕組みのメンテナンスをしたりしています。

── どういった部分にこの仕事のおもしろさを感じますか?

みんなで一つのことに向かって取り組むことがそもそも私は好きなんですが、さらにそうしたチームの中でストレスなく円滑にものごとを進められるような仕組みをつくることにおもしろさを感じています。またその中で新しい技術を知り、学ぶことができることも楽しいですね。

現在のポジションだと、インフラのことだけわかっていれば良いというわけではなく、開発側の業務理解も必要になります。知りたいこと、学びたいことの領域が広がっても、制限されることなく関わっていくことができるのもChatworkの魅力だと感じます。

── 今後、桝谷さんがChatworkで挑戦してみたいことがあれば教えてください。

私がこの仕事に感じているおもしろさはやっぱり「パズルを組み立てていくこと」なので、そういう意味では、システムのアーキテクチャデザインをやってみたいですね。全体を描くためにはいろいろな景色を見なくてはいけなくて、幅広い技術を身につける必要があるので、そのために今はSREというポジションで勉強していると思っています。

それからもう一つ。技術のことがちゃんとわかるマネージャーをめざしたいです。技術のことがわかっていない人にプロジェクトを管理されるのって、エンジニアとしてはとてもやりにくいし、ストレスを感じます。何よりも、一人ひとりの力を生かしきれないことがもったいない。Chatworkではそのように感じることはありませんが、世間一般には、マネジメントはできるけど技術のことはそこまで詳しくない…という人がマネージャーに就いている組織やプロジェクトも多いと感じます。

私自身もこれまで、上に立つ人が変わるだけで開発リソースは何も変わっていないのに、生産性がガラリと変わるといったことを目の当たりにしてきました。メンバーは、自分たちの技術をわかってくれる相手なら相談するけど、そうでなければ相談できない。そういった場面をたくさん見てきたからこそ、私は技術についても相談されるマネージャーになって、エンジニアがストレスなく楽しく働ける生産性の高い組織をつくりたいと思っています。

撮影場所:東京オフィス(WeWork 日比谷FORT TOWER)