Cha道

Chatworkの「人」「組織」を
伝えるメディア

三菱UFJ銀行、税理士法人を経て、Chatworkの経理財務部へ。数字から業務の根本を見直し、事業部門と協働して成長を牽引する。

幼少期から新聞の株式欄に興味を持ち、ゼミでは国際金融について学んだという大野。新卒で三菱東京UFJ銀行(現三菱UFJ銀行)に入行し、ベンチャー企業の経理・財務部門への転職を試みるも挫折し、税理士法人でゼロから経理を学び直しました。Chatworkでは「数字から課題を分析して、会社の成長を牽引する」経理・財務として、活躍中。これまでのキャリアや仕事へのこだわりについて、詳しく聞きました。

■プロフィール

大野 良介
コーポレート本部 経理財務部 単体決算チーム チームリーダー

熊本県出身。大学の経済学部を卒業後、2015年4月に三菱東京UFJ銀行(現三菱UFJ銀行)に入行し、法人営業やアナリスト業務に携わる。2019年1月、税理士法人に転職。経理・財務の基礎から学ぶ。2020年4月にChatworkに入社。経理財務部に所属し、単体決算チームでチームリーダーを務めている。

小学生のときに、新聞の株式欄の数字に興味を惹かれて、大学は経済学部へ

──今の経理・財務の仕事につながる原体験はありますか?

小学生のときから、新聞を読む習慣がありました。家に置いてある新聞を、何となく眺めるのが楽しかったのですが、特に株式欄を初めて見たときに、興味をそそられたのを覚えています。羅列している数字が何を意味しているのか、好奇心を持ちました。父親に聞いてみると「大学で経済を学べば分かるよ」と言われたのが、進路選択のきっかけになりました。

福岡県の大学の経済学部に進学しました。熊本の田舎町の出身だったので、幼稚園、小学校、中学校、高校の選択肢は少なく、自宅から近い学校に何となく通っていて、充実感はそれほど味わえませんでした。そこで、大学では必死に勉強して何かをつかもうと、重い課題を課せられるゼミに入りました。国際金融を研究するゼミで主に東南アジアの通貨・金融システムについて学び、インゼミ(インターゼミナール:複数の大学が参加し、議論や交流を行うゼミ)の研究発表前の数ヶ月間は、図書館に朝から晩までこもって勉強していましたね。

三菱東京UFJ銀行で法人営業に。「数字の徹底管理によるV字回復」に衝撃を受けた

──新卒では三菱東京UFJ銀行(現:三菱UFJ銀行)に入行しました。その背景を教えてください。

正直、就職における軸を持っていませんでした。周囲に合わせて就職活動を行い、ゼミで学んだことが活かせれば良いなと何となく感じて、メガバンクに入行したのです。入行後は2年半ほど、中小企業の再生支援を行うチームで法人営業を担当しました。東京都内の問屋街に立地する支店に配属になり、業績不振に苦しむオーナー社長に対して、再生プランを提案する仕事です。

ある老舗の精肉業のお客様が印象に残っています。先代の社長時代は業績が振るわなかったのですが、息子さんに代替わりしてV字回復。先代社長は、原価率や利益率をそこまで意識していませんでした。息子さんが業績を立て直すために、徹底的に数字を突きつめる経営スタイルに転換すると、一気に業績が回復したのです。経営に関わる数字を精緻にチェックして、事業戦略に落とし込むことで、中小企業は生まれ変わる。衝撃的でしたね。そのときに学んだ数字の大切さは、現在のChatworkでの経理・財務の仕事にも息づいています。

レポートのための数字ではなく、事業成長にダイレクトに効く数字を扱いたい

──三菱東京UFJ銀行では、その後、どのような仕事を経験しましたか?

入行3年目に、人事異動で法人営業からアナリストへと職種転換しました。担当する業界の市場動向を調査してレポートにまとめ、自社の経営戦略や営業戦略にフィードバックする仕事です。問屋街の中小企業に向き合う営業職から、グローバル市場を相手にするアナリストに転じて、視野がかなり広がりました。対象範囲が異なれば、数字の見え方が大きく変わる。そのことを体感することができましたね。

一方で、日々の仕事で“手触り感”を得ることが難しくなりました。直接お客様と接する機会が無く、ルールに則って調査を行い、分析を進めて報告する。戦略を決めたり、実務を遂行するのは、組織の役割ではありません。レポートのための数字を算出するのではなく、数字を武器にして事業の成長にダイレクトに関与したい。自分自身で何かを生み出し、何かを変えていく仕事に転じたい。そのような想いが募り、メガバンクのアナリストからベンチャー企業の経理・財務職への転職を考え始めたのです。

メガバンクのアナリストから、ベンチャーへの転職は叶わず。一から学び直すために税理士法人へ

──次の職場は、税理士法人を選びました。理由を教えてください。

自分の会社の状況を数字で語り、事業成長を牽引する仕事に就きたい。その思いを胸に抱いて、IPOを目指しているスタートアップや、上場直後のベンチャー企業への転職活動を進めたのですが、全く歯が立ちませんでした。メガバンクで4年間、営業やアナリストを経験したので、経理や財務で拾ってくれる会社もあるだろう。そのように淡い期待を抱いていたのですが、甘かったですね。人生初めての挫折経験です。自分には、数字を使って事業を動かすスキルや経験が全く無い。そこで、経理や財務について一から学ぼうと、税理士法人に入社しました。

──税理士法人ではどのような仕事を担当しましたか?

十数社のクライアントを担当して、各社の税務コンサルティングや会計実務を請け負いました。知識の習得を目的に入社したので、事務職が担う記帳などの実務も進んで行いました。約1年間、税理士法人に勤めましたが、正直、想像以上に大変でしたね。銀行員時代に培ったスキルが活かせると思っていたのですが、求められるものが異なりました。銀行員は数字を見ることができますが、自らつくることはできない。社内での活動と、社外との取引実態を正確に結び付け、数字に反映することが私にはできませんでした。コンサルティング業務のシーンでも、お客様の要望に応えることができず、信頼を失いかけたこともあり、悔しい思いを何度となく味わいました。ただ、次のステップに進むためには、この壁は何としても乗り越える必要がありましたので、歯を食いしばりながら知識を習得したのです。

上場1年後のChatworkにジョイン。経理・財務の組織の基盤を自らつくる

──そして、2020年4月にChatworkにジョインしました。

税理士法人で一通りの経験を積めたので、改めてベンチャー企業への転職活動をスタート。そこで出会ったのが、当時上場1年目のChatworkでした。経理財務部のマネージャーと面談した際に、「経理のベースとなる仕組みや決算までの業務フローなど、整備しきれていない点が多く残っています。様々な課題を自走して解決してくれる人を求めています」と聞いて入社を決断しました。会社の成長のために自分で考えて動ける環境は、まさに自分が求めているものでした。

──入社後はどのような仕事を担当しましたか?

入社当初、経理財務部のメンバーは3名で、まずは基本的な経費精算や請求書対応からスタートしました。当時は新型コロナウイルスの感染拡大が始まり、緊急事態宣言が出されたタイミングです。働き方が一気に変化する状況下で、リモート会議でキャッチアップを行い、業務に慣れていきました。当時から、Chatworkはオンラインで業務を進めるノウハウに長けていたので、非常に助かりましたね。当時、レガシーな組織文化の会社に転職していたら、新しい環境への適応に苦しんだと思います。運が良かったです。

ルールから根本的に見直す。経理の仕事観がガラリと変わった

──入社当初の仕事で印象に残っていることはありますか?

Chatworkでは、社内のコミュニケーションを活性化させるために、社員同士のランチや懇親会に一定の補助を支給していたのですが、コロナ禍でオンライン開催が主流になり、社員が提出する領収書の枚数が激増したのです。以前は1回の開催につき1枚の領収書を提出していましたが、オンラインでは精算が別々になるので、参加者一人ひとりが提出する形に。領収書の量が5〜10倍に増えて、月末の経費処理業務に支障をきたす状態になったのです。

マネージャーに「このままでは処理が間に合わず、決算の作業にも影響する可能性があります」と相談したら、「だったら、制度の在り方から見直そう」と言われました。それまではルールに沿って業務を遂行することが経理のあるべき仕事だと思っていましたが、ルール自体を変えることも大切な仕事だと気付かされました。福利厚生の担当部署に話を持ちかけ、自宅へのケータリングサービスを提供する業者と契約。まとめて請求書1枚で処理できる運用に切り替えました。この時の体験を通じて、経理に対する根本的な仕事観が変わりましたし、今でも自分のチームメンバーに「守りに入らずに、あるべき姿から見直そう」と伝えています。

上場企業とベンチャーの経理・財務を、同時に回している印象

──基本的な経理業務を担当した後は、どのようにキャリアを重ねましたか?

入社2年目から税務周りの業務も担当するようになりました。まさに“自分の会社の数字をつくる”ことを存分に経験できたので、日々、成長を実感していました。上場企業であることとベンチャーであること。Chatworkはこの2つを両立している会社なので、独特な刺激も味わってきましたね。

上場企業として、監査法人や株式市場に対してきっちりと説明が必要になる一方で、事業成長に伴って、新しい税務上の論点が続々と生まれてくる。一つひとつの事業を自分自身で深く把握して、数字に明確に落として、誰もが納得する形で税金を納める。この一連の流れを常に回し続けるのは、労力は掛かりますが、好奇心が刺激されて、他では無い経験を積ませてもらいました。常に事業から学び、経理として新しいことを生み出している感覚を持ち続けることができる。そして、自分自身の知識やスキルもアップデートできる。Chatworkはそのような職場だと感じています。

フラットなカルチャーが根付いている。情報システム部門とも密に協働

──そして、2023年10月から、単体決算チームのリーダーを任されています。

経理財務部は、「単体決算チーム」と「連結決算チーム」に分かれています。単体決算チームのマネジメントや実務を前任者から引き継ぎながら、新しい決済システムの導入に伴う決算対応をリードしたことで、2023年下半期の全社MVPを受賞することができました。

自分自身がチームマネジメントを担当するのが初めてで、大規模な決済システムの導入も時期が重なったので、苦労したのが正直なところです。ただ、ここまでの3年間で、経理の知識や経験をたたき込んでもらったので、その恩には報いたいと、持っているものを総動員して取り組みました。

決済システムの導入では、決済周りの機能開発を担うエンジニア部門と密に連携しました。「この数字は何を意味していますか?」「この取引が会計レポートに反映されていないようですが、どのような処理をしていますか?」と細かい質問を繰り返して疑問を解消しながら、正確な会計処理を行える決算業務の運営に努めました。Chatworkでは、経理財務部門と他部署との距離感が非常に近いと感じます。先ほどの福利厚生の例でも触れましたが、何かあればすぐに相談できますし、お互いに意見を出し合いながら根っ子の部分から変えていける。そのようなフラットなカルチャーが根付いている会社です。

変化が激しい環境だからこそ、自らの意志を常に問われる

──Chatworkに入社後の4年間を振り返ってみて、いかがでしょうか?

幼少期から変わりませんが、改めて数字を扱うのは面白いなと感じています。数字を見ることで状況を正確に把握できますし、変化や進化のきっかけにもなる。そして、Chatworkに入社して、初めて仕事を楽しいと感じることができました。常に新しいことを求められる環境にあり、ルーティン的な感覚は一切無くなりましたね。

経理・財務の仕事の奥深さも、感じられるようになりました。この仕事は定型で処理できる業務ばかりではなく、自らの判断が必要になるケースも多い。入社当時のマネージャーに、「この取引の会計処理はどのように進めれば良いでしょうか?」と訊ねたところ、「大野さんはどう処理したいと思っているの?」と聞き返されたのは衝撃的でした。必ずしも答えが決まっているわけではなく、自社の戦略や部内のオペレーションも考えた上で、どのように処理をするのか、自らの意志を持たなければならない。ここに仕事の奥深さがありますし、変化が激しい環境だからこそ、知識のアップデートと自らの意志を常に問われる。この緊張感が、仕事の楽しさと自身の成長につながっているのは、間違いありません。

チームメンバーにも「目の前の業務に作業として取り掛かるのではなく、業務の背景や主旨を理解した上で進めてください」と、事あるごとに伝えています。単に与えられたタスクをこなすだけでは、個人として成長するのは難しい。業務の根本の部分にある課題を見つけ出して、他部門と協働しながら解決するのが、Chatworkの経理財務部には求められますし、それが仕事の醍醐味だと思います。

──最後に、今後の展望を教えてください。

常に考えているのは、Chatworkをもっと数字を活かせる会社にしたい、ということ。税金を正しく納めて決算の開示をすれば、経理・財務としての法的な役割は果たせるのですが、数字をもとに、事業成長や職場の進化を牽引するのも、大切な役目だと思っています。

私自身は、担当範囲をもっと拡げていきたいですね。4月1日に設立されたグループ会社(株式会社kubellパートナー)の設立準備にも関与しましたし、今後も会社の成長の節目となる様々な機会が経験できると思います。数字を守りに使うだけではなく、攻めるために活かす。そのスタンスを貫くことで、機会と共に自分自身も大きく成長できると思っています。

撮影場所:東京オフィス(WeWork 日比谷FORT TOWER)