Cha道

Chatworkの「人」「組織」を
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「n=1」の声を源泉に、全ての人が より良い環境で、働ける世界をつくる。

入社以来、「Chatwork」のプロダクトマネージャーとして、プロダクトの機能追加やプラン内容改定などの推進を担当してきた岩崎。現在は、プロダクトのコアともいえる「Chatwork」の基盤づくりと、顧客体験価値向上を担うチームのリーダーとして、事業の未来を見据えたプロダクトマネジメントを任されています。彼が描くChatworkの未来とは?また、これまでどんなキャリアを歩み、仕事をする上で何を大切にしているかを聞きました。

■プロフィール

岩崎 宏武
コミュニケーションプラットフォーム本部 プロダクトエクスペリエンスユニット プロダクトマネジメント部 コアチーム チームリーダー

2004年株式会社バイクブロスに入社。サービスのインフラ、集客、分析、デザイン、企画など幅広い業務を経験する。2012年、リクルートカーセンサーに転職し、プロダクトマネージャー、大規模受託開発案件 PjM 兼 Sier営業、業界団体担当などの経験を経て、2021年4月Chatworkに入社。

大学祭実行委員会の渉外担当を経験し、人を巻き込み、モノをつくっていく楽しさを知った

──まず、学生時代のお話から伺っていきたいと思います。大学時代に新入生歓迎会の実行委員長を務められたそうですが、どのようなご経験をされたのでしょうか。

大学に入るまではどちらかというと進学のために勉強するということを優先してきました。大学では何かおもしろいことをしたいという漠然とした想いがあり、大学祭の実行委員会に入ったんです。渉外担当として、全てのサークルや模擬店を出店する学生に、大学祭に関する参加説明や資材の手配、場所やステージの段取りなどの調整を行いました。そのおかげで、たくさんの人と知り合うことができました。そんな背景があって、体育会系・文化系サークルと関係が深く、調整経験もあったことから、新入生歓迎会の実行委員長を私が引き受けることになったんです。

みんな部員を集めたいので「こんなことやりたい!」という意見がたくさん出てくるんですね。それをどうやって実現していくかをみんなで話し合い、考えて、方法を詰めていくという工程が、とても楽しいなと感じました。お祭りが好きだったということもあるんですが、学生時代に、たくさんの人が関わるイベントをつくるという経験ができたことは、今思えば自分のキャリアの原点になっているかもしれません。

大学卒業を待ちきれず、20歳で社会人としてのキャリアをスタート

──多くの関係者をつなぎ、ハブとなって意見を取り入れながら新入生歓迎会をつくり上げたというご経験は、まさにユーザーニーズと開発者をつなぐプロダクトマネージャーの仕事につながっている気がしますね。
その後、1社目の株式会社バイクブロスに入社されるまでの経緯についても教えてください。

大学3年生の4月に新入生歓迎会の実行委員長を経験した後、早く社会に出て仕事をしたいという気持ちが湧いてきました。当時、出版業界に興味を持っていたので、出版社のアルバイトをやってみようと思い、偶然見つけたバイクブロスの求人に応募したところ、面接が始まって数分で「明日から社員として来てくれ」と言っていただいたんです。面接官だった方が、様々な事業に関わった経験を持つ方で「仕事は全部叩き込んでやる」と。悩みましたが、思い切って大学に休学届を出し、バイクブロスで働くことを決めました。結局、そのまま大学には戻らず、バイクブロスで7年間働きました。

──バイクブロスでは、どのようなことを経験されたのですか?

バイクブロスにはシステム担当者として入社したのですが、入社当初、システム担当は私を含めて2名しかいなかったので、サービスをつくっていくにあたって必要なことは全て自分たちで進める必要がありました。

たとえば、新サービスの企画から、システム開発会社への依頼、広告出稿、メディアの効果分析、通販事業の特集企画やデザイン、社内のインフラ整備から、サーバーの発注まで、全て自分でやります。振り返ってみると二輪販売店の方や、広告代理店の方、メディアの編集部の方、バイク用品メーカーの方など、ありとあらゆる職種・業種の人たちと関わって仕事をしていましたね。

バックヤードのシステムも全て自分たちでつくっているので、通販であれば、いつ、誰が、どうやってモノを届けるのか。SNSサービスを立ち上げる際には、サービスの規約も調べながら自分で草案を書きました。全てを自分たちで動かしていたと言っても良い状態だったと思います。PCの初期設定や退職時の初期化までやっていました。Webディレクターでありながら、総務や法務のような仕事から、通販事業の運用、効果分析、マーケティングまで幅広い仕事を経験しました。

当時、バイク業界の2大メディアというと「バイクブロス」と「グーバイク」だったのですが、2010年にバイクブロスが「グーバイク」を運営する会社に買収されることになりました。その結果、ずっと競合だと思っていたメディアをつくらなければいけない状況になったんです。元々バイクブロスで成功していた通販事業を、競合のメディアに展開するという、複雑な状況でした。

──それは、確かに複雑な心境ですよね。業界の2大メディアの運営に携わるということは、もうバイクのことで分からないことはないという感じでしょうか。

そうですね。私は30歳で免許を取ったので、当時は免許を持っていなかったのですが、「免許を持っていないのに、誰よりもバイクに詳しい人」と編集部からお墨付きをもらいました(笑)。写真を見ただけで、車種・年代など、全て分かります。そういう意味では、この仕事をやり切ったという感じもありました。

クライアントから多くのことを学んだリクルートカーセンサー時代

──2社目の職場であるリクルートカーセンサーへはどのような経緯で転職されたのですか?

バイクブロスの元上司がリクルートに転職していて、その元上司から、カー用品通販事業を立ち上げるという話を聞いたんです。その人は、バイクブロス時代に一緒に通販事業を立ち上げた時の上司で、カー用品で当時と同じようなことをやりたいと考えている…と。

会社が買収されてしまって、自分たちで企画して事業をつくるということがやりづらくなっていた時期だったので、「ゼロから企画してカー用品通販事業の集客に取り組めるのなら、ぜひやりたいです!」と伝え、集客提案書をつくり、プレゼンしました。

──リクルートカーセンサーではどのような業務を担当しておられたのでしょうか。

リクルートカーセンサーでは、プロダクトマネージャーとして通販事業の立ち上げから運用、そして、最終的に事業を撤退するところまで経験しました。撤退後は様々な自動車関連のプロダクト開発、運用から、複数企業を跨いだ大規模システムの開発、業界団体対応などにも携わりました。

業界団体対応では買取査定を健全化するために、自主規制ルールが守られるための罰則規定を設計し、なくすのは無理だと言われていた買取事業者への自主規制ルール違反を、団体加盟事業者のみではありますがゼロにすることに成功しました。買取事業者の社長をはじめとする多くの人と関わり、直接対話を重ねたことで、業界をより良くするための取り組みを成功させることができました。

──多くの人と関わり、対話を重ね、愛されるプロダクトをつくっていく。そういう経験をリクルートカーセンサーではたくさんされたのですね。

そうですね。一方心残りなこともあります。カー用品通販事業を撤退する際に、ある九州の整備工場の団体の方々の協力を得て、車検の割引チケットを商材としたフラッシュマーケティングを行ったんです。その団体は小規模事業者の集まりという感じで、みなさん忙しいのに整備のことを私たちに教えてくださったり、快く、温かく、期待を持って私たちとコラボをしてくれたのですが、結局何も結果を出すことができませんでした。

どういう形なのかは分かりませんが、いつか、プロダクトを通して何か価値を返せると良いなという想いをずっと持っています。

困っている人の助けになる、本当の意味で、価値を感じてもらえるプロダクトをつくりたい

──非常にやりがいのある仕事に携わっておられたリクルートカーセンサーからなぜ、Chatworkに転職されたのでしょうか。

広告事業に携わるうちに、中小企業の人たちに価値提供できるプロダクトに関わりたい、という想いが芽生えてきたんです。

広告メディアのクライアントには大手企業から中小企業まで様々な規模の事業者が含まれますが、多く広告費を出すことができる大手企業の方が成果を出しやすい。その一方で、中小企業のクライアントは、集客が難しいという側面があることを目の当たりにしました。中小企業のクライアントは、1件受注するのに大手よりも高い広告費を払わなければいけないという現実がありました。

でも、様々なプロダクトを開発する中で、「この機能があってめちゃくちゃ助かったよ!ありがとう」という声をくださるのは、機能を利用している現場に近い中小企業の方でした。「この機能をつくってよかった」という実感を得ることができました。

また、中小企業の方々は、いわゆる大手企業のように、担当が細分化されているという環境ではないため、幅広い業務と並行しながら売上を上げていかなければいけない…そんな状況なんです。

プロダクトをつくるという仕事を続けていくなら、そういう中小企業の方々の助けになるようなプロダクトをつくりたい。そんな想いが芽生え、SMB(Small and Medium Business)に興味を持つようになりました。

そこで、SMB支援という領域に絞って、エージェントから紹介を受けた企業の中から選んだのがChatworkでした。ずっと自動車業界に携わってきたので、自動車以外の業界で働きたいと思っていました。そしてあわよくば、今まで関わってきた自動車業界の方たちに、また自分の名前を知ってもらえるような仕事ができたら良いなという想いがありました。ですから、Chatworkがビジネスチャットという、特定の業界や業種に特化したサービスではなく、ジャンルを問わず全ての人に使われるプロダクトをつくっている会社だという点に魅力を感じました。

これまで自動車業界でバックヤードシステムを何度もつくっているのですが、システムをつくれば、必ず関係者に情報を通知しなければいけない、「通信」というものが発生します。あらゆる業界において、何かモノを動かせば、通信は発生する。そういう場面で、チャットというツールは必ず必要とされるもの。その点が強いなと感じました。

Chatworkだからこそ実現できる、中小企業の業務革新

──実現したいと考えておられることが、Chatworkが会社としてこれから目指す世界観ととてもリンクしているような印象を受けます。

そうですね。バイクブロス時代、何でも自分でやらなければいけない環境で仕事をした経験があるからこそ、中小企業の業務改善を実現するために必要なことは何か、どのようなサービスをつくらなけれならないかという、ユーザーの視点をリアルに理解できている部分があると思います。

また、プロダクトマネージャーとして、本当に価値を感じてくださる方々の役に立つことのできるプロダクトをつくりたい、という想いが今につながっているとも感じています。

Chatworkは、私が入社した頃からビジネスチャット以外のツールにも挑戦していくということを掲げていましたから、その点にも魅力を感じました。

──Chatworkでは、どのような業務に携わっておられるのでしょうか。

プロダクトマネージャーとして様々な新機能の開発や、複数の開発チームを横断したプロジェクトの推進に関わってきました。自分の組織への招待リンクを発行できる機能や、取引先の名刺を読み取ってChatworkでコミュニケーションを開始できる機能、Google IDなどでのソーシャルログイン、フリープランの制限内容の変更、自前開発を行なっていた料金ドメインをBPaaS(Business Process as a Service:ソフトウェアではなく業務プロセス自体を提供するクラウドサービスサービス)を見据え外部サービスに切り替える対応など、幅広い領域に携わっています。

今年の1月からは、プロダクト戦略の1つである有料プランの提供価値向上をリードしており、顧客理解を深め、中長期の観点でプロダクトを通じてどう価値提供していくかを考えています。

──様々な案件を担当されてきたんですね。仕事を進める上で大切にされていることはありますか?

3つあります。

1つ目は、「なぜ、今それをやるのか」を明確にすることです。時間やリソースは有限のため、やらないといけないこと、やりたいこと、やった方が良いこと全て行うことはできません。特にプロダクトマネージャーは他の人を巻き込み推進する立場となるので、なぜやっているのかが不明確だと、他の人も不安になりますし、進めていく中で自分も迷うことになります。

2つ目は、期待値の確認と調整を行うことです。何か案件を担当する際、何かしらの期待を受けてスタートすることが大半です。役割、想定する成果、時期など案件ごとに異なりますし、確認や調整ができていないと、「無駄に時間をかけていた」「想定した成果物と異なるものをつくっていた」などの事態が発生し、関係者全員が不幸な結果となってしまいます。

3つ目は、担当が不明確なところを積極的にキャッチアップすることです。誰がやっても良さそうなもの、部署や職種の間に落ちてしまう業務など、なかなか担当が決まらずに案件の終盤で課題化しがちです。先に検討しておけばもっと良い方法があったのに…という過去の経験から、キャッチアップを心がけるようになりました。

──どういった部分にこの仕事のおもしろさを感じますか?

ビジネスチャットは毎日の業務で使われるツールという点もあり、自分の携わった案件で、世の中の働き方やコミュニケーションを改善することができる点でしょうか。

またホリゾンタルSaaSのため、様々な業種の方が本当に多種多様の使い方をされているので、「そういう使い方があったか!」と気付かされることも多いです。

これまで出会ってきた人たちが、働きやすい世の中をつくりたい

──3年後、5年後、「Chatwork」をどういうプロダクトにしたいと考えておられるのでしょうか。

リクルートカーセンサー時代、中規模・小規模事業者の方ともお話しすることが多く、中にはプレハブ小屋で、数名で事業をやっているような方たちの姿も見てきました。自動車の仕入れから販売まで全て1人でまわしている人もいました。会社が大きくなれば、組織も整ってくるので、業務も整理することができます。でも、人がいなければ全て自分たちでやらなければいけない。それは本当に大変なことです。

でも、みなさん優しくて、顔を出すだけで「ちょっと待ってな」と言って自販機でコーヒーを買ってきてくれたりする温かい人たちです。

そういう私がこれまで出会ってきた人たちが、働きやすい世の中になると良いなという想いをずっと持ち続けています。自分で何でもやらなければいけないという人たちが、本来やるべき業務に集中できる。それが、BPaaSによって、実現できます。私は今、チャットの基盤を担当しているので、BPaaSとどうつなげていくかというところに取り組んでいきたいと考えています。

ビジネスチャットだけだと普段パソコンを触っていない人たちは、使いこなすことが難しいこともあります。導入障壁が下がるような機能を追加していきたいという想いもありますし、ビジネスチャットとBPaaSがうまく連携されれば価値は大きく向上するとも考えています。たとえば、チャットを送っておけば請求書ができあがる、会計もやってもらえる…というような世界を実現していきたいと考えています。

私のモチベーションの源泉は「n=1」、一人ひとりの声なので、私が今まで出会った人たちに「Chatwork」を使ってもらえるようにしたい。そして、3年後、5年後、今まで私が関わった人たちに再会した時に「Chatwork使ってるよ!めちゃくちゃ助かってるよ!」と言われるように、プロダクトをつくっていきたいと思っています。

もちろん1人のためだけにプロダクトをつくるということではなく、1人の声を大切にしながら、働く全ての人がより良い環境で働けるようになるためにプロダクトをつくり、その結果、関わった人たちに喜んでもらえるように、もっともっと頑張っていきたいと思います。

撮影場所:東京オフィス(WeWork 日比谷FORT TOWER)