Cha道

Chatworkの「人」「組織」を
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クラウドネイティブなシステムの運用に携わりたくてChatworkへ。優秀なメンバーに囲まれ、学び続ける毎日。

近年、クラウドの長所を徹底的に活用するアーキテクチャ設計として、クラウドネイティブという手法が注目を集めています。ビジネスチャットツール「Chatwork」は、まさにクラウドネイティブな技術を用いて構築されているサービス。かつ、日本国内でも有数のアクセス数やデータ量を誇る大規模システムでもあります。

そんな「Chatwork」のインフラの構築・運用に魅力を感じ、2022年2月からChatworkに参画したのが古屋啓介です。彼はもともとWebアプリケーションエンジニアでしたが、キャリア中盤でインフラエンジニアに転身。そして、クラウドネイティブなシステムと向き合える環境を求め、Chatworkに転職したのです。今回はそんな彼のキャリアやエンジニアとして大切にしていることなどを聞きました。

■プロフィール

古屋 啓介
プロダクト本部 SRE部
関西の大手SIerで業務系アプリケーションエンジニアとしてキャリアをスタート。自社メディアを運営する企業で働いた後、AWSの面白さに触れたことをきっかけにキャリア転身。クラウドインテグレーターでインフラエンジニアとしてクラウド環境の構築やシステム開発に携わる。2022年2月からChatworkに入社し、SRE部でインフラの構築・運用を担当。

AWSの面白さに触れ、キャリア中盤でインフラエンジニアに転身

――古屋さんは何を機にエンジニアの道へ?

小学生の頃から家にパソコンがあり、中学生のときには自分でHTMLを書いてホームページを作成したり、簡単なスクリプトを書いたりしていました。楽しいですし、長時間取り組んでも全く苦にならないので、そのまま仕事にしようと思って。自然な流れで情報系の大学に進みました。

大学4年間と大学院2年間は、コンピューターを人間にとってより使いやすくするための学問分野である「ヒューマンインタフェース」を学んでいました。そして就職活動では、自分が勉強したことを活かしたいと思い、ユーザーに使いやすいシステム開発を売りにしているIT企業を対象にしたんです。希望に合った関西の大手SIerに就職し、業務系アプリケーションエンジニアとしてキャリアをスタートしました。

――SIerでの経験で特に大きな学びとなったことを教えてください。

SIerはその業務の特性上、プロジェクトを円滑に進めるスキルが重視されます。その会社では、プロジェクトマネジメントの国際資格である「PMP(Project Management Professional)」の取得が奨励されていました。

私自身はこの資格の勉強をしていませんでしたが、周囲の先輩たちは資格を取得している人が多く、プロジェクトマネジメントの知見に基づいて仕事を進めていました。先輩たちと一緒に仕事をするうちに、現場でプロジェクトマネジメントの基礎を学べたのは有意義でした。プロジェクト全体を俯瞰する能力などが鍛えられ、その後のキャリアにも活きています。

それから、自社メディアを運営する企業に転職してWebアプリケーションエンジニアとして働き、次にクラウドインテグレーターでインフラエンジニアとしてクラウド環境の構築やシステム開発に従事。そして、2022年2月からChatworkに転職という経歴です。

――Webアプリケーションエンジニアからインフラエンジニアに転身するのは大きな転機ですね。なぜキャリアチェンジを?

自社メディアを運営する企業で働いていた時代に、業務で初めてAWSを使ったんですよ。以前からAWSを知っており、プライベートの時間で触れてはいたものの、そのときはインフラの知識が乏しくてちょっと使っておしまいでした。

業務できちんと携わってみるとすごく面白くて、もっとこの技術を突き詰めたいと思うようになりました。Webアプリケーションエンジニアでいるよりも、インフラエンジニアになったほうがAWSに触れる機会は多いです。そこで、AWSのインフラ構築系の経験を積める会社に的を絞って、転職活動をしました。

――思い切ったチャレンジですが、不安はなかったですか?

私の場合は特に不安に思うことはなかったですね。Webアプリケーションとインフラのどちらが自分に向いているかは不透明でしたが、それ以上に「もっとAWSを学びたい」という好奇心が強かったです。それに、この先絶対に身につけておいて損はない、食うに困らないスキルだとも思っていました。

――AWSのどのような点を魅力に感じますか?

さまざまなサービスを組み合わせて課題を解決できる点です。よく言われる、ビルディングブロックの考え方ですね。考えたアーキテクチャがうまく機能すると達成感があります。それから、物理的なサーバーを扱うことなく、バーチャルの世界ですべてが完結するのが面白いですし、利点も大きいです。試したいアイデアをすぐに実現できるクラウドの強みが、私の志向と合っていて、だからこそ惹かれたんだと思います。

特定のシステムと長く向き合う経験をしたい

――Chatworkに転職した経緯をお聞かせください。

前職のクラウドインテグレーターでの業務内容は、複数のクライアントからの依頼を受けてクラウド環境の要件定義や設計、構築をすること。そしてクラウド環境を用いたシステムの監視や保守、運用をすることでした。

インフラエンジニアとしてクライアントごとに多種多様なサービスを経験できるのは楽しかったのですが、逆に言うとそれぞれのサービスにかけられる工数に限りがある環境でした。その環境で働くうちに、「特定のサービスやアーキテクチャとじっくりと向き合い、改善し続けたい」という思いが生まれたのが転職のきっかけです。

クラウドネイティブなシステムの運用に腰を据えて取り組める環境を求めて、企業探しをしました。自分で求人を探したり、転職エージェントから紹介してもらったり。そして、エージェントから紹介してもらった会社の中にChatworkがありました。

――Chatworkで働いてみようと思った理由は何ですか?

ビジネスチャットツール「Chatwork」が36万社以上(2022年6月時点)に導入されている非常に大規模なサービスであり、クラウドネイティブな技術で構築されていること。それから、以前にエンジニア向けの勉強会でChatworkのメンバーと、現・代表取締役CEOの山本正喜さんが登壇しているのを目にして、技術力の高い会社で、エンジニアにとって働きやすい環境であることを知っていたからです。

エンジニアのスキルの高さは、採用面接でもひしひしと感じました。面接ではKubernetesなどの技術に関する話題で盛り上がったこともあり、楽しく働けそうな環境だと思いましたね。

優秀なメンバーに囲まれて、刺激と学びに満ちた日々を送る

――入ってみて感じるChatworkの良さは?

入社前に想像していた以上に、エンジニアの技術力が高いですね。一緒に働くチームのメンバーはもちろん、社内のエンジニアたちみんなが、各種の技術を深く理解していると感じます。特にすごいなと感じるのは、同じSRE部の坂本諒さんや元SRE部で今は次世代開発基盤に携わっている尾崎耕多さんです。

坂本さんは、KubernetesやKafka、HBaseといった「Chatwork」で使用されるすべての技術領域に精通しています。そして、特定技術の深い部分まで読み解くのが上手な人だと感じますね。何か新しいOSSを取り入れるとしても、内部のコードを読み解いたり、各種の検証作業を実施したりしたうえで、導入の是非を決めていきます。

尾崎さんはもともとアプリケーションエンジニアからインフラエンジニアに転身した方で、コードも書けて各種インフラやミドルウェアも深く扱えるという、「全部に強いエンジニア」みたいな人です。知識の幅がすごいと感じます。そういったメンバーたちから良い刺激を受けて、自分もさらに勉強しようという気持ちになれています。

それから、各種の作業手順がドキュメント化されており、属人性が少ない点も良いです。これまでChatworkの先人たちが積み上げてきた知識やノウハウを活用できるので、入社して間もない自分でもそれほど困ることなくいろいろな作業ができています。

――入社後はどのような業務を担当していますか?

プロダクト本部SRE部のメンバーとして、各種インフラやミドルウェアなどの保守運用に携わっています。現在メインで担当しているのは、Amazon RDSなどのデータベース関連です。たとえば、Amazon Auroraのバージョンアップのための定期メンテナンスなどを実施しています。

――定期メンテナンス系の作業は、実施する際に考慮すべき点が多くて、エンジニアとして学びの機会になりますよね。

その通りですね。プロジェクトに携わる過程で、ひとくちに「バージョンアップする」といっても、それに付随する作業が数多くあるんだなとわかりました。具体例を挙げると、それまで使っていた監査系のツールが、Amazon Auroraをバージョンアップすると使えなくなってしまうことが判明して。そこで、ツールを作り直す対応をしました。

それから、自分で手を動かすだけでなくて他のメンバーの業務を横で見るのも、勉強になっています。同僚のエンジニアがKubernetesのバージョンアップ作業に取り組んでいるのを目にして、「なるほど、こういうことを考慮しているのか」と感動しつつ学びました。これも、スキルの高いエンジニアが周囲にいるからこそ、得られる利点ですね。

また、KafkaやHBaseなどを活用した「Chatwork」の分散処理基盤は国内有数の規模です。このシステムの運用に携わるのは、インフラエンジニアのキャリアにプラスになると感じています。かなり大きなシステムなので、入社して間もないこともあってまだまだ全体像を把握し切れていません。読み解くだけで1年くらいはかかると思いますが、これをやり切れば、確実にスキルアップにつながるはずです。

まずはChatworkのエンジニアとして一人前に。ゆくゆくはシステム改善の提案ができるようになりたい

――古屋さんの今後の目標を教えてください。

「Chatwork」のシステムについての理解がまだまだ不足しているので、まずはしっかりキャッチアップして、一人前のエンジニアになるのが今の目標です。そして、並行して「Chatwork」で使われている以外の技術も学びながら、自分たちのシステムの課題を洗い出して、ゆくゆくは「こういう技術を取り入れたらいいのではないか」と、提案できるようになりたいです。

それから、先ほど「Chatworkは属人性が低い組織」という話をしましたが、もちろんすべてが完璧な状態ではありません。たとえば、何かシステムのアラートが鳴った際などに、SRE部のメンバーが肌感覚で「このアラートは無視しても問題がない」とか「このアラートならば○○を調べたほうがいい」と判断しているケースもあります。

そういった判断基準は、どうしても属人的になってしまいがちです。なんらかの方法で可視化できる仕組みを構築すれば、より属人性の低い運用にしていけるかもしれないですね。

――これからSRE部に加わるエンジニアにメッセージをお願いします。

うちのチームはSREと名乗ってはいますが、SREという枠に捉われてはいません。「Chatwork」のシステム基盤を支えたり、エンジニアの作業効率を上げたりするために、何でもやるチームだと思っています。そのぶん、覚える技術の種類が多くて大変ですが(笑)、着実に力がついていると感じます。優秀なメンバーがたくさんいて、周囲の人から学べることも多いです。技術と向き合いたいエンジニアにはぴったりの環境です。

また、私たちは日々システムの改善を重ねていますが、まだまだエンジニアが足りておらず取り組めていない施策もあります。新しいメンバーが増えれば、攻めの施策がどんどんできるようになり、より面白いことができるでしょう。一緒にチャレンジしてくれる方に来ていただければ、とても嬉しいです。

 

撮影場所:大阪オフィス