Cha道

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「楽しい開発」ができる環境が理想。だからこそ私はChatworkを選んだ。

大学卒業後、飲食店のフリーターを経て、エンジニアとしてSIerに就職した都志 典晃。彼は「楽しい開発」を実現できるチャレンジングな環境を求め、2020年3月にChatworkに転職しました。現在は、「Chatwork」のシステム全体の刷新を行うリライトプロジェクトで、プロダクトオーナーを担っています。

「より規模の大きい組織になっても、コミュニケーションや開発が円滑に行われる環境をみんなで作り上げていくことが目標」と語る彼に、これまでのキャリアやChatworkで働く醍醐味について語ってもらいました。

■プロフィール

都志 典晃
プロダクト本部 プロダクト基盤開発部

大学卒業後に飲食店のフリーターを経験し、2007年4月にエンジニアとしてSIerに就職する。施設給食の献立作成・材料の受発注システムや高速道路の設備監視システム、生産管理パッケージなど多種多様なプロダクトの開発を経験した後、2020年3月にChatworkへ入社。サーバーサイドエンジニアとして働いた後、現在はプロダクトオーナーを担当。

プログラミング未経験で、フリーターからSIerへ

――まずは都志さんがエンジニアを志したきっかけを教えてください。

大学は文学部哲学科で、プログラミングとは無縁の学生時代でした。当時、子どもを対象としたキャンプやアクティビティを行うサークルで代表をしていたのですが、活動に力を入れすぎて、気がつくと就職先が決まらないまま大学を卒業していました。卒業後は成り行きで飲食店でフリーターをしていましたが、このままではまずいと思いまして。フリーター1年目で就職活動をスタートしました。

求人サイトで仕事を探してみると、営業かSIerで働くくらいしか仕事が見つからなかったんです。口下手なのは自覚していたので、営業は厳しいかなと判断しました。未経験ではありますが、開発することは性に合っていそうだと思い、SIerを中心に就職活動をしました。

その頃は、まだ世の中の仕組みやビジネスのことがあまりわかっていなかったため、業務を通じて自分の好きなことを見つけられるように、さまざまな業界のシステム開発を手掛けているSIerを受けました。IT系の求人が多かったこともあり、すんなりと就職できました。

――前職のプロジェクトで印象に残っているものはありますか?

一番印象深いのは、入社2〜3年目に開発したシステムを顧客に納品した後、客先に常駐して運用・保守にも携わったことです。SIerはビジネスモデルの特性上、「納品したらプロジェクトが終了。その後は少数のメンバーで保守を行う」というケースが多いです。自分が開発したシステムが実際にユーザーに使われている場面を見る機会は、それほど多くありません。

そのため、就職した当初抱いていた「自分の作ったシステムでユーザーの仕事や生活を便利にしたい」という気持ちは、仕事を続ける過程で次第に薄れていきました。しかし、運用・保守のフェーズに携わったことで、その気持ちが再燃しました。

そのプロジェクトでは運用・保守と並行して、顧客側の担当者やシステム部門の方とやりとりをしながら、機能追加・改修も行いました。先方の希望をヒアリングしたうえでエンジニアが要件定義や設計、開発をし、できあがった機能を先方にチェックしてもらうという流れです。作ったシステムについて「使いやすくなった」とか「これは今ひとつだね」といったように、ポジティブ・ネガティブ両方の反応をダイレクトにもらえたのは、良い経験でした。

システムが実際に使われる様子を目の当たりにして、エンジニアが良いプロダクトを作れば、ユーザーの業務改善につながり、喜んでもらえるんだと実感しました。このことが大きな契機となり、画面の向こうにはシステムを使うユーザーがいることを念頭において開発できるようになりました。

より良い働き方ができる環境を求めて

――その後、転職を決めた理由をお聞かせください。

SIerではプロジェクトごとにチームを編成して、プロジェクトが終了すればチームを解散するというサイクルで仕事をすることが多いです。開発組織全体を改善しようとか、技術的なチャレンジをしようと思っても、そのハードルが高いんです。

もし新しい取り組みをしても、メンバーが増減するたびに、増えたメンバーにはスキルを習得してもらわなければならなかったり、減ったメンバーが得意だったことを他のメンバーで補ったりする必要があります。それに、チームが解散すればチームが得たノウハウが一気に失われてしまいます。

プログラミング言語やライブラリなどを選定する際にも、なるべく多くの人が理解できるような、みんなが慣れ親しんだやり方を踏襲する必要があり、新しいことにチャレンジはできませんでした。また、前職では有志で勉強会を開催しても、プロジェクトが忙しくなると勉強会に参加できなくなる人が多く、活動が徐々に尻すぼみになってしまうケースがよくありました。

私は常々、職場で「楽しい開発」を実現するためには、新しい挑戦や変化が必要だと思っています。なぜなら、同じ開発方法でさまざまなプロジェクトやシステムへの要求に対応するのには限界があり、挑戦や変化をしなければだんだんと「ツラい開発」になってしまうからです。そのため、前職の環境では「楽しい開発」を実現するのが難しいと感じ、転職を考えるようになりました。

――Chatworkを知った経緯は?

きっかけは、過去に私が参加した「Scala関西 Summit 2015」というイベントに、Chatwork社員が登壇していたことです。私は業務ではScalaを使っていなかったのですが、面白そうだったので独学していました。さらに、別の機会でもScalaの勉強会に参加したら、そこにもイベントで登壇していたChatwork社員がいて、少しずつChatworkと接点ができていきました。

知り合ったChatworkの社員がみな良い人たちだったので、楽しく働けそうだと感じてChatworkを受けることにしました。技術的にも先進的なことをやっている会社なので、新しいチャレンジができそうなのも魅力でした。この会社こそ、私の希望する働き方ができる環境だと感じたんです。

――選考過程でのChatworkの印象をお聞かせください。

体験入社がとても印象に残りました。体験入社では、特定のテーマに沿った課題を渡されて、1週間ほどの期間のうちに自分で解決策となるコードを書き、できあがったプログラムについてメンバーとディスカッションします。

正直なところ、採用の1ステップのなかで応募者が書いたコードなので、大したレビューを受けることはないだろうと思っていました。ところがChatwork社員はコードを入念に見て、設計レベルまで突っ込んだフィードバックや質問をくれたんです。Chatworkに応募した人と、真摯に向き合ってくれているという印象を受けました。仮に採用が決まれば一緒に働くメンバーだからこそ、その人の考えの深い部分を見ようとしているんですね。

プロダクトオーナーとしての新たな挑戦

――入社して感じるChatworkの良さはありますか?

入社前にメンバーから「挑戦が称賛される」と聞いていましたが、本当にボトムアップ的にさまざまな取り組みができる環境です。全員が「少しでも良いプロダクトにしたい」という思いのもと、積極的にアイデアを出して手を動かしています。

この職場で働いていると、自分自身もポジティブな影響を受けて、技術的な興味や好奇心、プロダクトを良くしようという気持ちが刺激されます。さらに言えば、やみくもに新しいものを取り入れるのではなく、ツールの特性やメンテナンスのしやすさなどをしっかり検討したうえで導入を決断していて、技術に対して真摯に向き合っているのも良いところです。

――都志さんが今携わっているリライトプロジェクトについてもお聞かせください。

「Chatwork」はサービス開始から10年以上が経過しており、コードが複雑になって手を入れにくくなっている側面があります。新しい機能を追加するのにも、時間がかかってしまうんです。また、サービス開始当初よりもユーザー数が大幅に増えてシステムの規模も大きくなってきていますが、スケーラビリティの観点からも今後のさらなる規模拡大を見据えたシステム構成にアップデートする必要があります。

部分的には既にScalaで書き直していたものの、他の部分も良くするために、全面的にリライトすることが決まりました。2021年の秋から、私はプロジェクトに参加しています。

参考:Chatworkのリライトプロジェクトをやっている - Chatwork Creator's Note

――リライトプロジェクトでのプロダクトオーナーとしての役割に、都志さんは相当に前向きに取り組んでいると伺っています。

はい。この経験が、自分の成長にも直結していることを実感しています。

――もともとエンジニアだった都志さんが、プロダクトオーナーを担うようになった経緯や、業務内容を知りたいです。

2020年3月にサーバーサイドエンジニアとして入社してから、基本的にはScalaのコードを書いていましたが、あるタイミングで「プロダクトオーナーを担ってほしい」というリクエストが会社からありました。自分のスキルの幅を広げる良い機会だと思い、挑戦してみることにしました。

システム刷新を行うためには、まず「現在のシステムの仕様がどうなっているか」を把握する必要があります。各機能の仕様や歴史的な経緯を調べていくと新しい発見が多く、「Chatwork」についてより深く知ることができました。

また、プロダクトオーナーになる前は、普段の業務で同じチームのエンジニアとしか話す機会がありませんでした。しかし、プロダクトオーナーは開発チームとチーム外のメンバーとの橋渡しの役割を担うため、ビジネスサイドのメンバーと話す機会が増えました。

「Chatwork」というサービスがどのような人たちの仕事によって成立しているのか、どうすればビジネスを継続できるのかを日々学んでいます。こうした、事業運営の仕組みそのものを知る機会は貴重ですし、非常に刺激的です。いろいろな人と話すこと自体が楽しいですし、自分自身の視野が大きく広がったと実感しています。エンジニアリングとビジネスの中間に立つプロダクトオーナーを担うことで、これまでにない経験をたくさんでき、成長していると感じます。

Scrum@Scaleを成功させて「楽しい開発」ができる大規模な組織にしたい

――今後チャレンジしたいことはありますか?

現在、Chatworkの開発組織ではScrum@Scaleの運用に取り組んでいます。これまで、私たちの開発組織はスクラムを用いてプロジェクトの運用を行ってきました。ですが、スクラムは原則的に少人数のチームに適用されることを前提としている手法です。そのため、組織が大きくなってメンバーやチームの数が増えてくると、プロジェクト運営の課題が生まれ、開発がうまくいかなくなってしまう恐れがあります。

Scrum@Scaleは、そうした課題を解消するために提唱されている手法です。リライトプロジェクトでは、スクラムを大規模な開発組織でも成立させるために、Scrum@Scaleに取り組んでいます。現在は、Scrum@Scaleを開発組織の一部に導入し、徐々に全体に広げようとしている段階です。この運用をメンバー同士で協力しあいながら成功させることは、チームにとっても私自身にとっても大きな挑戦だと考えています。

――より良い開発体制が実現できることを願っています。最後に、Chatworkの開発組織で働くことの醍醐味を教えてください。

Chatworkでは全社員が「サービスをより良くしたい」という思いを持って働いています。それぞれの職種ごとに担っている役割は違いますが、各々が自分なりに「Chatwork」をより良くする方法を考え、意見を出し合いながら、事業を成長させるために尽力しています。仕事をしていて非常に面白く、そして刺激的です。楽しく働きたい方にとって、非常に良い環境なのではないでしょうか。

――今回のインタビューで“楽しく働く”というニュアンスの発言が何度もあったことが、とても印象的でした。

確かに、何度か言いましたね。私は決して人に誇れるような立派な経歴ではありません。ですが、プロダクト開発を楽しむことは、これまでのキャリアでずっと大切にしてきたつもりです。今後も良いプロダクトをユーザーに届けられるように、さまざまなことを楽しみながら仕事に取り組んでいきたいと思います。

――都志さんのマインドがとても良く伝わりました。今回はありがとうございます。

 

撮影場所:大阪オフィス