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Salesforceのひとつの機能が、世の中の働き方を変えていく。10年間、その可能性を追い求めてきた。

大学を卒業してSIerに就職した竹内。その会社でのSalesforceとの出会いが、その後のキャリアの道しるべになりました。10年にわたって、Salesforce関連のプリセールスや開発に携わり、何を感じて、どのような仕事を残してきたのでしょうか。そして、Chatworkの可能性はどのように捉えているのでしょうか。詳しく聞きました。

■プロフィール

竹内 信太
コミュニケーションプラットフォーム本部
事業企画部 システム企画チーム

大学卒業後、2013年4月にSIerに入社し、Salesforceのプリセールスや開発に携わる。2015年、エムスリーキャリアに転職。Salesforce関連の社内システムや自社サービスの開発を推進。2021年7月にChatworkにジョイン。Salesforceの機能追加などの開発を行いながら、グループ会社のシステムとの連携プロジェクトをマネジメントしている。

SIerに新卒入社。Salesforceのプリセールス 兼 エンジニアとしてキャリアをスタート。

――どのような学生時代を過ごしましたか?

埼玉県出身で中学は地元の学校に通い、高校は高大一貫校に入りました。音楽が好きだったので吹奏楽部に入部してサックスを担当。演奏よりも作曲にのめり込んでいきました。高校3年生から作曲を始めて、大学ではバンドサークルに加入しました。パソコンを使って作曲するのですが、モニターに向かって試行錯誤するのも性に合っていたので、就職活動ではIT業界を志望しました。当時勢いがものすごかったメガベンチャーを志望したのですが、ご縁がなく、「いずれ中途で入社するために、エンジニアとして働こう」と新卒で入ったのが、中小規模のSIerでした。

その会社は、私が入社したタイミングでSalesforceの事業も始めていました。自前でライセンスを取得し、お客様先にエンジニアを派遣して開発するビジネスで、私もその部署に配属になったのです。プリセールス兼エンジニアとして、コーディングも担当。当時はワークフローを開発したり、データ更新用のバッチを作ることも多かったですね。

転機になったのは、入社1年目に担当した案件です。30名規模のデザイン会社にSalesforceを導入するプロジェクトですが、私一人で常駐しながら開発から運用までやり切りました。この案件でSalesforceのコーディング技術が向上し、何よりお客様に伴走する大切さを知りました。発注者のマネージャーの方は、経営にもデザインの現場にも精通していました。私への要望が的確かつ鋭いんですよ。「こうして欲しい」という要望を何度も受け続けるのですが、私も「できません」と言いたくないので、複数のプランを提案してディスカッションをしていました。何度も何度もやり取りを重ねていると、深い関係性や信頼感が生まれてくるのです。すると「要望」が「相談」に変わってきて、潜在的な課題にもアプローチができるようになる。「ちょっと困ったことがあるんだけど、相談に乗ってもらえる?」と言われるようになってからは、仕事が一気にやりやすくなりました。良いプロジェクトってこうやって生まれるんだ、と感じることができたのは、今でも大きな財産になっています。

エムスリーキャリアに転職。急成長企業で、Salesforceを使い倒したい

――そして、2015年、医療業界向けの人材サービス事業を展開する、エムスリーキャリアに転職します。その動機を教えてください。

新卒で入社した会社では、外部からお客様にSalesforceを提供していたので、基本的にはリリースしたらプロジェクトが終了します。自分がプログラミングを行って導入されたシステムが、どのように使われて、どのようにお客様のビジネスに貢献しているのかが見えにくい。そこにもどかしさを感じていました。そこで、事業会社のIT部門に転職して、自分自身でSalesforceを使い倒したいと考えるようになったのです。

事業会社の中で、エムスリーキャリアを選んだのは、急成長していたことが大きいですね。組織も拡大していて、新規サービスも立ち上がっていたので、Salesforceの貢献できる余地が大きいと感じました。Salesforceは業務改善のためのツールですので、成熟している企業では新規開発できる余地が小さい。加えて、当時のエムスリーキャリアは200〜300人の会社で、その規模感が自分にはフィットしていると思いました。小さ過ぎず、大き過ぎない。手触り感を持って仕事ができる規模だと判断して、入社を決めたのです。

医療機関向けの自社サービスを開発。Salesforceを採用管理システムにつなぎ込む

――エムスリーキャリアで思い出に残っているプロジェクトはありますか?

Salesforceのシステムの改修で最も規模が大きかったものが、リファクタリング関連のプロジェクトです。かなりカスタマイズして使っていたので、システムが複雑なんですよ。一つひとつを整理して、何とかリリースまでこぎ着けたのですが、現場の営業担当からの問い合わせがひっきりなしに来ました。何とか粘り強く対応して軌道に乗せたときは、一安心でしたが、大規模なシステム改修について、多くのことを学べましたね。

また、お客様向けの新サービスの開発にも携わりました。医療機関向けの採用管理システムなのですが、企画担当者とWebエンジニアと私の3人で進めました。私は既存のWebサービスとSalesforceを接続する部分をメインで担当。Salesforceからデータを渡したり、採用管理システム側に新しい項目を表示できるように、様々な機能開発を行いました。初めてのユーザー向けサービスを手掛けて、多くのお客様からも喜びの声をいただいたので印象に残っています。少人数でのアジャイル開発も楽しかったですし、エンジニアとして一気に視界が開けた経験でした。

――エムスリーキャリアには6年間在籍しましたが、ご自身として得られたものは何でしょうか?

社内連携の大切さを肌感で学べました。Salesforceを使うセールスからは、営業業務を効率化するための様々な要望をいただきます。その一つひとつを精査して、丁寧にコミュニケーションを取りながら要件を固めて実装していきます。そのプロセスの中で、プログラミングよりもコミュニケーションが大事だと身をもって感じました。また、求人サイトとSalesforceが連携しているので、求人サイトのエンジニアと一緒に動くことも多かった。様々なスタッフと接することによって、ビジネスの構造を知ることもできました。Salesforceのシステム構造とビジネスの構造をどうマッチさせるのか。自分で構想を練り上げ、周りとのコミュニケーションを重ねながら、形にするのは楽しかったですね。

ビジネスサイドへの提案機会の多さ、Salesforceの拡張性の高さから、Chatworkを選んだ

――そして、2021年7月にChatworkにジョインしました。そのときの背景を教えてください。

エムスリーキャリアで様々な業務を経験する中で、ビジネスにおける課題設定からシステム開発に関与したいと思うようになりました。セールスの現場から依頼を受けて開発がスタートすることが多く、「その開発の目的は?」「ビジネスのインパクトはどれくらいあるのか?」を考える余地は大きくはありませんでした。自らで課題設定を行い、事業サイドに提案するような仕事を増やしたかったのです。

加えて、Salesforce単体ではなく、他のシステムと連携することに大きな価値を感じていました。医療機関向けの自社サービスを開発したときに、「もっと他のシステムとSalesforceをつなげれば、より面白いことができるのに」と強く思うように。他サービスとの連携や、Salesforceの機能拡張のプロジェクトに日々携わることのできる環境を探そうと、転職を意識したのです。

裁量の大きさや他のシステムとの連携の機会が多そうと感じて、SaaS企業を中心に転職先を探しました。そこで出会ったのがChatworkだったのです。500万ユーザーを超える*1ビジネスチャットとSalesforceが連携していることや、Salesforce自体がそこまでカスタマイズされていなくて拡張性が高かったことも大きかったです。Chatworkでは、ほぼ標準機能だけが実装されており、拡張性に大きな余地があると感じました。

グループ会社のシステム移管プロジェクトをPMとして担当したが、、、

――入社して2年弱が経ちますが、どのような仕事を担当しましたか?

ずっとSalesforce関連の開発・運用を担当しています。入社当初は社内での作業依頼に対応することが主業務でしたが、次第に自分の担当領域を広げていきました。外部データを取り込める分析基盤をつくったり、機能拡張のための開発も行っていました。

入社半年が経った2022年の上半期に、自らのスキルの壁にぶつかりました。連結子会社として設立された、Chatworkストレージテクノロジーズ(以下、CST社)というグループ会社にSalesforceを導入するプロジェクトをPM(プロジェクトマネージャー)として担当したときのことです。

ここまで大きなシステム移管を、PMとして経験したことがなく、上手く進めることができませんでした。「要件ヒアリング→設計→見積→合意→実装」というフローを着実に進めることができず、手戻りになることも多かった。新たに設立されたグループ会社で、私自身の事業に対する理解も浅く、協業先との調整に時間を要し、関係各所に迷惑を掛けてしまいました。何とか最終的には無事に実装して、現在もシステムは順調に動いていますが、学んだことは多かったですね。

1時間掛かった作業を瞬時に完了。セールスの業務負荷を大幅に削減した

――その後は、どのようなプロジェクトを担当しましたか?

2022年の下半期に、Salesforceシステムにある機能を追加しました。インサイドセールスがお客様に架電する際に、過去の商談の履歴を確認するのですが、その作業に1時間ほど掛かっていました。セールス担当が一つひとつの履歴を手作業で検索する必要があったからです。商談が集中する月末のタイミングでは、1日の架電の量も多くなるので、かなりの業務負荷になっていました。「履歴の確認に手間が掛かって、商談の時間が取れない」「検索作業に時間が取られて、モチベーションが下がってしまう。何とかできないか」という声を現場からもらっていました。

私としても改修の必要性を強く感じていて、幾つかの実装手法を検討しました。難度の高い改修で、なかなか適した手法が見つからなかったのですが、何とか一つの答えにたどりつきました。「SOSL(Salesforce Object Search Language )」という言語を使う方法です。Salesforceの検索機能に使われている言語なのですが、商談の履歴検索にも転用できるとひらめきました。上長の池田さんに提案したところ、すぐにGOが出て開発に着手。1〜2ヶ月で実装が完了しました。過去の商談履歴を、1つの画面に1クリックで表示できるようになり、作業を大幅に短縮することに成功したのです。セールスの皆さんから「検索の作業がほぼ無くなり、とても楽になりました!」「重要な商談により時間を割けるようになりました!」という声をもらえたのは嬉しかったですね。

「●●の機能を実装してください」と他者からの依頼や要望から始まった開発ではなく、「業務負荷を下げるためにこの機能を実装しましょう」と自分からの提案から始まったので、思い入れが強いプロジェクトですね。また、CST社のプロジェクトを通じて学んだことも大いに活きました。この取り組みを評価いただき、2022年下半期の社内表彰で、MVP賞のノミネート者(各本部からの代表)にも選出いただきました。「働くをもっと楽しく、創造的に」というChatworkのミッションを、社内で実践することで評価してもらえたのだと思っています。

チームのスタンスで私が好きなのは、「WHY」を大切にすること

――先ほど、上司の池田さんのお話が出てきました。どのようなチームで仕事をしているのでしょうか?

私が所属している事業企画部 システム企画チームは、上長の池田さんと分析担当のスタッフと私の3名の構成です。チームのスタンスで私が好きなのは、「WHY」を大切にすること。「なぜ、その改修が必要なのか」を徹底的に議論します。前職や前々職では、「理由は分からなくても、やらなければいけないこと」も多かった。Chatworkでは「WHY」を追求するので、納得感を持って開発に当たっています。

しかも「WHY」は、会社のミッションに紐付いて考えるので、現場も巻き込みやすい。Chatworkは業務の効率化を顧客に提供している会社ですので、自社での同様な取り組みも歓迎されます。「データドリブン」の志向が、あらゆる現場にも浸透しているのも大きいですね。現場のマネージャーからは、「どういうデータが欲しいのか、何でも要望してください」「商談の成功確率を上げるには、●●のデータを分析すると良いと思います」といった提案を受けながら、フラットに議論ができています。このような環境は、他には少ないと思いますね。

574万ユーザー、38万社*2の法人データを扱う。グループ会社のシステムとの連携も担う

――ChatworkでSalesforceの開発を行う面白さはどこにありますか?

大きく2つあります。まずは、日本有数の規模のデータを扱えることです。574万のユーザーのログデータ、38万社の法人との契約データ、またマーケティング活動で取得した見込み客のデータの全てを、Salesforceがハブになって管理しています。マーケティングチームも先進的な取り組みを進めていて、アドビ社が主催するアワードで日本トップクラスの事例として表彰されているほど。2023年1月の組織変更で、その取り組みを進めた北川さんも同じ部署となり、より連携はスムーズになりました。さらに、今後もデータ量は右肩上がりで増えていきます。Salesforceの活用の可能性がここまで大きな会社は、他にはなかなか無いでしょう。

そして、2つ目の面白さは、グループ会社間でのデータ連係が進んでいること。2023年1月に人事系システムを展開する「株式会社ミナジン(以下、ミナジン社)」がグループ会社化されましたが、その運営チームもSalesforceを活用していました。Chatworkのデータと連係させるために、同社のシステムを改修中です。また、ミナジン社にはSalesforceを専任で担当する方がいないので、こちらが主導してプロジェクトを進めています。現場の方からも「SalesforceのプロがChatworkから来てくれた」と歓迎されました。

Chatworkは「スーパーアプリ構想」を掲げています。ビジネスチャットを軸にして、今後も様々なサービスとの連携を行い、「働くをもっと楽しく、創造的に」というミッションを形にしていきます。中小企業のDXを推進するために、自社のセールスの業務効率を向上させる。そのために世の中になかった仕組みを実装するチャンスにも溢れている。今の仕事に充分なやりがいを感じていますが、今後の可能性も楽しみで仕方がありません。

Salesforceのひとつの機能が、世の中の働き方を変えていく可能性もある

――Chatworkにジョインして約2年が経ちましたが、ご自身の中で変わったことはありますか?

現場の方に言ってもらえる「ありがとう」という言葉を、“自分事”として感じられるようになりました。以前は、「社交辞令で言ってるんだろう」と、どこか他人事に捉えていました。Chatworkでは現場との距離が近く、「WHY」を徹底議論して開発するので、当事者意識が醸成されますし、仕事の成果が実感しやすいのです。現場の人に多くの喜びの声をいただけるようになり、誇りを持ちながら仕事ができています。

――最後に、今後の目標やキャリアについて聞かせてください。

日々の仕事の中で、やりたかったことは実現できているので、このまま継続していくことしか考えていません。ただし、他システムとの連携する機会が増えていくので、開発の難易度は確実に上がります。あらゆる課題を解決できるように、自分自身のスキルをもっともっと高めたいですね。有用なシステムを開発することができれば、社内スタッフの業務が効率化され、ひいては自社サービスをより多くのお客様に使っていただくことにもつながります。Salesforceのひとつの機能が、世の中の働き方を変えていく可能性もある。その活動の中心にいる責任とやりがいを感じながら、毎日を積み重ねていくだけですね。

撮影場所:東京オフィス(WeWork 日比谷FORT TOWER)

*1:ID数574.1万(2022年12月時点)

*2:導入社数38.6万社以上(2022年12月時点)