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どの職場でも、一貫していた思いは「ユーザーに価値を届けること」だった。

ビール工場のプラントエンジニアからWebデザイナーへと転身。その後、学習塾運営企業でのクリエイター業務やコンシューマーゲームのオフィシャルサイトの企画・制作・運営の仕事を経て、2007年にChatworkへと入社した西口誠二。現在はプロダクト開発部のGEチームで、エンジニアとスクラムマスターを兼任しています。

多種多様な業界で働いてきた西口ですが、いずれの職場でも「ユーザーに価値を届けること」を一貫して大切にしてきたと言います。今回はそんな西口のキャリアについてインタビューしました。

■プロフィール

西口 誠二
プロダクト本部 プロダクト開発部(GE*チーム)

ビール工場のプラントエンジニアからキャリアをスタート。その後、「ユーザーとの距離が近い」Webの世界に魅力を感じ、一念発起してWebデザイナーに転身する。学習塾運営企業でのクリエイター業務やコンシューマーゲームのオフィシャルサイトの企画・制作・運営の仕事を経て、2007年にChatworkへと入社。現在はプロダクト開発部のGEチームで、エンジニアとスクラムマスターを兼任。
*GE:グロースエンジニアリング

ものづくりが好きでプラントエンジニアに

――西口さんは、ビール工場のプラントエンジニアからキャリアをスタートしたと伺っています。なぜ、この道に?

父の仕事の関係で、ものづくりが身近な環境で育ったんです。身の回りに機械があって、いろいろな部品が連動して動く仕組みが好きで、動くのを見てわくわくしていました。工業系のものづくりに携わりたいと思い、高専を卒業後、ビールなどの飲料工場の生産設備を作るプラントエンジニアになりました。

ビール工場の製造ラインには、大きく分けると仕込み・発酵・貯酒・ろ過・パッケージングといった工程があります。そして、工程ごとに必要な設備は異なっています。勤めていた会社の主な事業は、流体の制御を行うバルブという機械の販売や、バルブを組み合わせての生産ラインの作成でした。私はプラントエンジニアとしてバルブを用いた生産ラインを設計し、実際に工事をする職人の方々のマネジメントをしていました。

プラントエンジニア時代に最も印象に残っているのが、とある国内のビール工場でのプロジェクトです。昔からあった設備を解体して新設備を作る大規模なプロジェクトで、現場のマネージャーをしていました。

数カ月にわたり毎日工場に通ううちに、現場の製造担当の方たちと仲良くなりました。そして工事が完了し、新しい設備で生産を始めた、まだ熟成されていない「若ビール」ができたときに、製造担当の方々が喜んでいらっしゃったんです。すごく感謝されて、「自分の作ったもので他の誰かに喜んでもらうことは、こんなに嬉しいことなのか」と気づきました。自分のモチベーションがそこにあるとわかりましたね。

――その後、Webデザイナーになるという思い切ったキャリアチェンジをしたそうですね。

プラントエンジニアは、ものづくりの対象が工場という非常に大きなものであるため、自分が携われるのは工程のごく一部です。それに、設備が完成する喜びはあるものの、ユーザーと直接触れ合う機会もそれほど多くはありません。先ほど述べたように、「他の誰かに喜んでもらうこと」の魅力に気づいたことをきっかけに、プラントエンジニアの仕事に物足りなさを感じるようになりました。

モヤモヤした思いを抱えるなかで、あるときにHTMLを書けば自分でWebサイトを作れると知りました。インターネットは普段から利用しており身近な存在でしたし、Webサイト制作の仕事であればユーザーを身近に感じられると考え、一念発起してWebデザイナーを目指すと決めました。もともと、音楽がすごく好きでミュージックビデオやモーショングラフィックスなどデザイン系の領域に関心があったのも、Webデザイナーに惹かれた理由の一つです。

未経験からWebの世界へ。ユーザーからの反応が糧になった

――とはいえ、未経験からWebデザイナーを目指すのは大変そうです。

そのとおりで、全くの未経験では仕事に就けないと考えて、デジタル系のデザインを学ぶ専門学校でしばらく勉強しました。Webデザイナーとして初めての仕事は、学校での卒業制作です。プラントエンジニアとして勤務していた会社がコーポレートサイトを持っていなかったため、私が自主的に制作しました。当時の社長に見せたところ「使わせてほしい」と言ってくれて、報酬をもらったんです。

卒業後は、フリーランスやデザイン会社でWebデザイナーとして活動を続けました。この時代にさまざまな形でユーザーからの反応に触れられたことが、自分がWebの世界で活動していく大きなモチベーションになりましたね。その後は、学習塾運営企業に転職しました。塾で使うデジタル教材や幼児英会話で使うミニゲーム用のFlashや画面デザイン、アニメーションなどの制作を担当しました。

――学習塾運営企業に転職された理由は何ですか?

モーショングラフィックスが好きだった流れで、当時流行っていたFlashにも興味があったからです。その学習塾は教材にFlashを使用しており、アニメーション的なものを作ることができて面白そうでした。自分が作った教材を、実際に子どもたちが授業で使っている現場を見学できたのが印象深かったです。楽しそうに授業を受けている姿を見て、自分の仕事がユーザーのためになっている喜びや嬉しさを感じられました。

それから、教材づくりが一段落したタイミングで転職先を探し、ゲーム好きなこともあってコンシューマーゲームの開発会社でWebサイト制作に携わりました。担当していたのは、人気アクションゲームの公式Webサイトです。

コンシューマーゲームでは、発売の1年~数カ月前にプロモーションのおおよそのスケジュールが決まり、プロジェクトを推進するチームが結成されます。このチームは、雑誌などのメディア担当者やイベント担当者、営業担当者、Web担当者などで構成されます。広告代理店とも連携を取ってプロモーションの方向性を話し合い、進行します。

当時のゲーム業界では、プロモーションの一番の核となるメディアは雑誌でした。そのため、私が担当する公式Webサイトで公開する情報のスケジュールや内容も雑誌と揃える必要があり、関係者と連携を取りながらプロジェクトを推進していったのです。とはいえ、雑誌と全く同じコンテンツをWebで掲載するのでは面白くありません。そこで、内容は同じでも雑誌ではできないようなWebならではの表現を工夫していました。

あるとき、Webサイトでちょっとした装飾として入れたモチーフを、開発チームの方が気に入ってくれて、そのモチーフがゲームに逆輸入されたんです。ゲーム内の小さな装飾とはいえ、雑誌とは違う表現にこだわって制作したところが、日の目を見たようで嬉しかったです。

この時代にも、ユーザーからの声をたくさんもらえました。コンシューマーゲームには根強いファンがいるため、毎週行われるWebサイト更新の後にはたくさんのユーザーがネット掲示板などで反応してくれます。ポジティブな意見もネガティブな意見も、山ほど触れることができました。そのすべての声が、自分にとってはありがたかったです。

GEチームで組織作りに挑む

――エンターテインメント業界からChatworkへの転職も大きなキャリアチェンジだと思います。どのような経緯で入社されたのでしょうか?

実は、海外移住を視野に入れていたためChatworkで長く働くつもりはなく、最初はアルバイトで入社したんです。良い会社だったので、結果的にはとても長く働くことになりましたが(笑)。当時はビジネスチャットツールを提供する会社ではなく、SEOのコンサルティング業務などを担う会社でした。そこから、ビジネスチャットツールの「Chatwork」をリリースし、会社の規模も徐々に大きくなっていきました。

――現在の業務内容について教えてください。

2022年4月からプロダクト開発部のGEチームで、フロントエンドエンジニアとスクラムマスターを兼任しています。GEチームは、ユーザーグロース施策に取り組むために組成されたコンセプトチームです。エンジニアやデザイナー、プロダクトオーナー、スクラムマスターから構成されています。

――どのような流れでスクラムマスターになり、そしてGEチームに配属されたのでしょうか?

このチームに配属される前はフロントエンド開発部にいました。そして、フロントエンド開発部にいた最後の半年間は部署内でスクラムマスターとしても活動していたんです。そして、GEチームの再編のタイミングで、私はGEチームに移りました。

上司からは、GEチームの既存メンバーが引き続き開発プロジェクトを円滑に回せるように、スクラムマスターとしてサポートしてほしいと言われました。また、GEチームのエンジニアたちがもともとモバイル開発出身なので、Webのフロントエンド領域の強化にも取り組むよう頼まれました。

GEチームはエンジニアとデザイナーが連携して動くスクラムチームです。エンジニアだけのスクラムチームは社内にたくさんありますが、この2つの職種のメンバーが協力し合って動くスクラムチームは社内で初でした。新しい形のチーム作りができたことは、社内の実績としても良い面があったと思いますし、私自身のキャリアにもプラスの影響がありました。

もちろん、この体制は私が一人で整えたわけではなくて、アジャイルコーチやデザインコンサルタント、プロダクトオーナーやチームメンバーなどたくさんの人たちの手助けがあったからこそ、実現できました。

――スクラムマスターとエンジニアの兼任で大変な点はありますか?

スクラムマスターはチームの状態に目を向けることが重要な業務の一つです。ですが、エンジニアを兼務することで開発の仕事に比重が偏ると、チームの観察が疎かになる可能性があるのは、一つのリスクだと感じています。そこで、開発業務は必要最低限になるようにしつつ、コードレビューやモブプログラミングなどの場で、自分の持っているフロントエンドの知識を他のメンバーに共有しています。

また、スクラムマスターとエンジニアは本来、違う視点で物事を考える役割です。だからこそ、ミーティングなどの際にはメンバーたちが混乱しないように、私がどちらの立場で発言しているかを伝え、立場に沿った行動を意識しています。

チームの成長を実感できるのがスクラムマスターのやりがい

――今後の目標ややりたいことを教えてください。

GEチームにスクラムマスターとして関わるようになってから、チームの状態が良くなり成長しているのを感じています。チームの進化を実感できるのが、スクラムマスターの醍醐味だと思うので、さらに経験を積んでチームに貢献したいですね。メンバーが快適に開発できる環境作りに注力しつつ、メンバーのサポートやコーチをする私自身のスキルも伸ばしていこうと考えています。チームを良くすることで、「Chatwork」をより便利なツールにすることに結びつけ、ユーザーに喜んでもらいたいです。

――最後に、GEチームで働く魅力を教えてください。

GEチームはユーザー課題を非常に意識していて、プロダクトを改善し、グロースさせることに力を入れています。メンバー全員が一丸となって、ユーザーを意識して開発しているのが特徴です。

今回のインタビューで、私が「ユーザーに価値を届けること」を大切にしていると述べてきましたが、まさに自分の仕事がユーザーの喜びにつながっている実感を得やすい環境だと思います。そんな仕事に興味のある方は、ぜひ一緒にChatworkで働きましょう。

撮影場所:東京オフィス(WeWork 日比谷FORT TOWER)