Cha道

Chatworkの「人」「組織」を
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右手にiPhone、左手にししとう。カレーをこよなく愛するモバイルアプリ屋の歩み。

Chatworkのモバイルアプリケーション開発部にて、マネージャーを担う福井章平。彼はかつてiPhoneの登場に衝撃を受け、その出会いがモバイルアプリ開発に携わるきっかけとなりました。そんな福井が働く場所としてChatworkを選んだ理由とは。そして、モバイルアプリケーション開発部で目指すものとは。そのキャリアについてインタビューしました。

■プロフィール

福井 章平
プロダクト本部 モバイルアプリケーション開発部

SES企業からエンジニアとしてのキャリアをスタートし、転職後は大学の教務基幹システムの開発などを担う。この企業に所属する頃、iPhoneとの衝撃的な出会いを果たし、個人開発と業務の両方でiPhoneアプリを作るようになる。2014年よりChatworkに参画。入社後は一貫してモバイルアプリ開発に携わり、現在は主にマネジメント業務を行う。カレーをこよなく愛する。

建築設計のためにパソコンを勉強。プログラミングの面白さにハマる

――インタビュー本編に入る前にお聞きしたいことがあります。福井さんはWantedlyのプロフィールの背景画像をカレーにされていますが、カレーがお好きなんですか?

その話題から入るんですね(笑)。はい、カレーが好きで、SNSのアイコンなども全てカレーです。いろいろなところで、カレー好きをアピールしています。20年くらい前に大阪梅田の阪急三番街にある「インデアンカレー」で食べたカレーが、すごく甘いのに後から辛くなるような独特の味で、それからは週5でカレー屋に通うくらいハマりました。

「カシミール」「curry bar nidomi」「コロンビアエイト」などスパイスカレーの店も大好きで、自分でもけっこう作ります。Chatworkの大阪オフィスの周りにも、「大陸」「イーカスーク」「カオス スパイスダイナー」「Neo Thai」などの美味しいカレー屋が多くて最高ですよ。

――お腹が空いてきました(笑)。この記事を読んで、カレー好きなエンジニアが興味を持ってくれるといいですね。それでは本題に入りまして、エンジニアを志したきっかけを教えてください。

もともと、絵を描いたりものづくりをしたりするのが好きで、インテリアや建物にすごく興味があり、大学では工学部建築科に進みました。建築ではCAD・パースなどの作業のためにパソコンの知識がある程度必要なんですが、私はパソコンを使った経験が全くなくて、情報処理の授業の単位を落とすほど苦手でした。そこで、3、4年生の頃に知人からの紹介を受けて、IT関係の仕事をしている人にパソコンの基礎知識を習うことにしたんです。

そこではなぜか、Visual BasicやOracleなどを用いたクライアントサーバーシステムについて、詳しく教えてもらいました。全く知識がなかった状態から勉強してプログラムを書けるようになり、書いたコードを思い通りに動かせるプログラミングの面白さに目覚めたんです。教えてもらっている期間はずっと調べて勉強して、家でも自分で作りたいソフトを考えてプログラムを書くといった感じで、興味を持って取り組んでいました。

建築科なので周りは建築関係の業界に進む人が多かったんですが、私はプログラミングの楽しさを知り、IT系業界に進みたいと思うようになったんです。プログラミングを教えてくれた人が、ちょうど部門を立ち上げるタイミングだったので、そこに入社しました。

「こんなふうにユーザーに寄り添って、動くソフトウェアを見ながら仕様を決めていくこともあるんだ」

――1社目で身についたスキルについて教えてください。

その会社はSESの業態で、先輩エンジニアと私とで派遣先に常駐して業務を経験しました。最初はVisual Basicだけを教えてもらって、独学でデータベースの扱いやSQLなども習得していった感じです。自分の力で多くの言語を身につけて自信がつきましたし、技術的な基盤もできました。今振り返ると、エンジニアとしての基礎を作る時期だったと感じています。

その後は、お付き合いのあったSIerから声をかけてもらったのがきっかけで、転職を考えるようになりました。そのSIerは大学の基幹システムに携わっていて、Javaを使用する案件があったので、より多くを学べる会社だと感じました。新しい技術を学べる環境に飛び込むタイミングだと考え、転職を決めました。

――2社目ではどのような業務を担当しましたか?

大手システム会社が開発した大学の基幹システムのパッケージソフトを、それぞれの大学の要望や業務内容に合わせてカスタマイズするプロジェクトです。会社として要件定義から導入までの工程をトータルで担当していました。私が携わった業務は、主に詳細設計や実装、単体テスト、結合テストなどです。

――特に印象に残るエピソードなどありましたら教えてください。

非常に炎上していたプロジェクトがあったんですよ。そこに、いわゆる火消し要員として私が参画して、だいぶハードに働きました。SIerは基本的にウォーターフォール開発を採用して、要件を決めたら設計、設計を決めたら実装、という流れで一つひとつ工程を進めていきますよね。ですが、そのプロジェクトは難航していたこともあって、クライアントと先輩が実際にアプリを動かしながら、検討しつつ細かい仕様を決めていました。

アジャイル開発のような手法をとっていたんですね。それに、議論を交わしているうちにクライアントとの信頼関係も生まれていました。それまで私はウォーターフォールでの開発が当たり前の世界にいたので、「こんなふうにユーザーに寄り添って、動くソフトウェアを見ながら仕様を決めていくこともあるんだ」と気づかされました。

iPhoneの素晴らしさに感動。モバイルエンジニアへ転身

――2社目にいる頃にiPhoneと出会い、それがモバイルエンジニアに転身する契機になったと伺っています。

当時はガラケーを使っていたんですが、キャリアが独自に開発したブラウザの使い勝手がイマイチで、かつ写真を撮っても画質が粗かったんです。そんな頃に、アメリカで発売されたiPhoneに衝撃を受けました。日本の携帯電話とは全く違う、と。当時はまだiPhoneが日本で売っていなかったので、まずはiPod touchを買いました。

iPod touchを使ったときは感動しましたね。使い勝手の良さが本当にすごい。クリックやスワイプで画面が大きくなるし、画像も非常にきれい。日本語のフリック入力もスムーズにできました。今や当たり前のフリック入力ですが、日本のメーカーはまだどこもできていなかったんです。さらにiPhone OS 2からは、誰でも自分のアプリを作ってストアで販売できる仕組みが提供されました。iPhone 3Gが初めて日本で発売されたときは、発売当日に買いに行ったくらいです。

――その後、モバイルアプリを開発するようになったのは?

iPhone 3Gを買ってから自分でアプリ開発の勉強をしていたところ、前職の社長に「会社の業務としてアプリを開発しないか」と提案されたのがきっかけです。最初に作ったアプリは、RSSリーダーでした。そうしたなかで、会社でのアプリ開発と並行して個人でもアプリをどんどん作っていきました。

当時は私の子どもがまだ小さかったこともあり、子どもが喜びそうなアプリを会社でも個人でも企画しました。実際に子どもに触らせてみて、もっと喜んでくれそうな機能を入れたり、誤操作しそうな箇所を修正したりしながら改善していきました。企画を毎週出して、そこから2週間でリリースしていましたね。

――この時代に数多くのアプリを開発されたと思うのですが、それにまつわる印象的なエピソードがあれば教えてください。

当時、私はコンスタントに毎週5個ずつアプリのアイデア出しをしていました。そのため、日常生活のなかで自然と不便なことに気づき「こんなアプリがあればすごく便利だろうな」と考えるようになりました。さらに、ユーザーがアプリをどのように使うのかを想像する力が磨かれたと思います。

それから、その頃はアプリを紹介するテレビ番組があって、そこで取り上げられた時にはめちゃくちゃダウンロード数が増えました。お絵描きアプリが特別支援教育で使われたこともあります。自分が思いもよらなかった使い方で「こういう使い方もあるんだなあ」と今でも印象に残っています。

1→10、10→100を経験するためにChatworkへ

――Chatworkへの転職を考えたきっかけを教えてください。

アプリ開発はすごく楽しかったんですが、基本的に0→1の仕事がほとんどでした。作っては次のアイデアを形にするのくり返しで、長く作り続けられるものがないと感じていました。そこで、自社サービスを1→10、10→100に育てていくことも経験したいと考えたんです。

Chatworkを転職先として意識したのは、iOSアプリ勉強会の手伝いをしているときに、Chatworkの社員に登壇の依頼をしたのが最初です。そのときはタイミングが合わなくて登壇は実現しませんでしたが、その後「モバイルエンジニアを探しているので、誰かいませんか?」と声をかけてもらい、Chatworkに応募しました。

――1→10や10→100ができる会社は他にも多くあるなかで、Chatworkを選んだのはなぜですか?

まず、一定以上のユーザー数を抱えた自社サービスの会社であったことです。それから、Titanium Mobileで作られたアプリを、Objective-Cを使ったネイティブアプリに書き換えるプロジェクトの最中だったのも大きいです。技術刷新に携われることは魅力的だと感じました。それから、当時は選考中に2日間の体験入社があり、その過程でエンジニアの技術レベルが非常に高いと感じたのも決め手でした。入社後は一貫して、モバイルアプリの開発に携わっています。

――キャリア中盤からはマネージャーを務めていますが、マネジメント業務を担うようになってから生じた価値観や考え方の変化はありますか?

評価や目標設定に対する考え方が変わりました。チームのエンジニアには「自分たちの組織が、モバイルアプリ開発において何を求められているのか」を必ず説明します。そして、1年後になりたい状態を視野に入れつつ、エンジニアとマネージャーが一緒になって、半年単位のチャレンジングな目標を考えます。高い目標設定を行うことで、日々の行動や意識が変化します。半年後にその結果を評価することで、ワンステップ上に成長できると思っています。

――Chatworkで経験した各種プロジェクトのなかで、特に世の中に大きな価値を提供できたものや、開発組織にプラスの影響があったものをピックアップして教えてください。

やはりTitanium Mobileからネイティブアプリへの移行です。新機能に対応しやすくなり、プロダクトの価値の向上に貢献できたと感じます。それから、プロジェクトマネージャーとして携わったモバイルアプリのマルチアカウント機能やプッシュ通知本文表示も、手ごたえが大きい仕事でした。「Chatwork」の使い方を大きく変えるような機能で、SNSなどでのユーザーの声も好評でしたね。

さらなる価値提供を目指し、アーキテクチャや組織を改善する

――他社ではなく、Chatworkでモバイルアプリ開発に携わるやりがいはどのような点にあると思いますか?

「Chatwork」は歴史のあるプロダクトなので、それなりの技術的負債があり*、その解消やアーキテクチャの変更にすごくやりがいがあります。また、プロダクトマネージャーから上がってきたプロダクト戦略に沿った新機能の案を、どのようにモバイルアプリとして実現させるのかをプロジェクトメンバー全員で考えることが楽しいです。チームで考えて、チームで行動している。それから、先ほど述べたように10→100のフェーズに携われるのも魅力です。

*参考:iOSアプリの大きな技術的負債に立ち向かう - Chatwork Creator's Note

――今後の目標についてお聞かせください。

「Chatwork」のシェア拡大を実現するには、さらなる価値提供が重要です。そのため、モバイルアプリケーション開発部は、新機能の開発や機能改善のスピードアップが求められています。ですが、機能追加に伴って実装の複雑性が増し、運用コストも上がり、リードタイムがどんどん増加しているのが現状です。

今のやり方のまま人を増やしても、課題は解決しません。アップスケールできるようなアーキテクチャを考えたり、それに合った組織づくりをしたりと、チームのあり方から変えていく必要があります。

また、Chatworkではモバイルアプリケーション開発部だけではなく、いくつかの職能横断型チームもモバイルアプリを開発しています。今後さらに職能横断チームのメンバーが増えたとしても、開発や運用をうまく回していける仕組み作りが必要になります。マネージャーとして、そういった体制構築に積極的に取り組んでいきたいですね。

――モバイルアプリ開発がより加速していくのが楽しみです。今回はありがとうございました!

 

撮影場所:大阪オフィス