Cha道

Chatworkの「人」「組織」を
伝えるメディア

エンジニアと人事。両方を経験したからこそ、できることがある。

「人やチームが成長していくのを見守るのが好き」
これは、Chatworkでスクラムマスターを担う折田桃子が、インタビュー中に述べた言葉。このフレーズが示すように、折田は「人・組織」に強い興味を抱き、これまでのキャリアを歩んできました。

そんな折田は、モバイルアプリエンジニアと人事の職種を経験し、そのうえでスクラムマスターになりました。両職種で培ったスキルが、スクラムマスターの仕事にフルに活きているといいます。今回は折田がたどったキャリアとChatworkで目指すことを聞きました。

■プロフィール

折田 桃子
プロダクト本部 モバイルアプリケーション開発部

大学卒業後、知人と立ち上げた会社でiOSアプリの開発を担当。「人・組織」にも興味があったことから、転職後は人事にキャリアチェンジし、新卒採用の立ち上げ〜運用に携わる。次の会社では再びエンジニアに戻り、中高生向け学習アプリのiOS・Androidの開発を担当。2020年5月よりChatwork株式会社へ参画。モバイルアプリケーション開発部にてiOSアプリの開発に携わり、現在はスクラムマスターとして人やチームの成長を見守る。

大学卒業後、就職はせずに起業を経験

――まずは折田さんがITの世界に興味を持った経緯を教えてください。

大学では法学部だったので、授業でコードを書くこともなく、パソコンはネットサーフィンで使うくらいでした。でもあるとき、当時所属していた学生グループの活動で、Webサイトを作る必要に迫られたんです。自分の周りにITの知見がある人はいなかったので試しに自分でやってみることにしました。

Wixという、テンプレートなどを選ぶだけで簡単にWebサイトを構築できるツールを使ってみたら、すごく楽しくて。自分が作ったサイトを世界中の人たちが閲覧できるというスケールの大きさに感動しました。

さらに自分の個人サイトを作ってみたくなって、HTMLやCSS、JavaScriptといった基礎を学び、バックエンドのことを知るためにMySQLやPHPも勉強しました。基本的に全部独学で、本を買っては写経して、わからないことはググってのくり返しで知識を身につけていきました。

――大学卒業後、就職ではなく起業の道を選んだと伺っています。

所属していた学生グループに起業を志している人がおり、その人の影響が大きいです。私は大学3年生のときに大手保険会社などでインターンを経験しましたが、「大手企業の空気はあまり自分の肌に合わないかもしれない」と感じていました。

働くなら裁量の大きいベンチャーがいいと思いましたが、それならば就職しても起業しても、やることは大きく変わらない。むしろ、自分で会社やサービスの立ち上げを経験することで、成長できると考えました。そこで、その知人と一緒に起業することを決めました。

創業時はその2人しかいなかったので、一緒にサービスを作ってくれるメンバーを探すところからのスタートでしたね。さまざまなイベントなどに足を運んで、関心を持ってくれた人に「一緒に作りませんか?」と誘うことをくり返して、仲間を集めました。

――起業した会社ではどのような事業を手がけていましたか?

当時はモバイル向けの診断アプリを開発していました。私がiOSアプリ開発担当で、サーバサイドエンジニアが1人、デザイナーが1人、企画が1人とプロダクト開発に必要なロールはひと通り揃っていました。それまでは個人開発しかしてこなかったので、チーム開発を初めて経験できて感慨深かったです。

印象に残っているのが、当時私が住んでいたアパートに全員で集まって、夜な夜な壁にサービスのアイデアを貼ってみんなで議論したこと。まるで学園祭の準備のようで楽しかったですね。

エンジニアから人事への大きなキャリアチェンジ

――その後は他の会社に転職して、人事にキャリアチェンジされたそうですね。

もともと人や組織について考えるのが好きで、開発と同じようにコーチングや組織学も趣味で勉強していたんです。そういったことにプロフェッショナルとして向き合う、人事という仕事に興味がありました。

そんな折、転職のために各社への応募をしていると、人事のポジションに挑戦できることになりました。とはいえエンジニアから人事にキャリアチェンジをするのは大きな選択で、当時は相当迷いましたね。

――「人事をやってみよう」と決断できたのはなぜでしょうか?

コードを書くのは趣味でもできますが、人事は仕事でなければできません。せっかく学べるチャンスがあるならば、挑戦してみたいと思ったんです。その会社はスタートアップで、人を増やして上場を目指しているタイミング。組織としてすごく面白いフェーズでした。人事未経験の私をポテンシャルだけで採用してもらえて、感謝しています。

――2社目で人事として働くことでどのようなスキルが身につきましたか?

人事の仕事を通して、コミュニケーションスキルや数値管理、プレゼンテーションスキルなど社会人としての基礎を修得できました。さらに、自分ひとりで仕事をこなすのではなく、周囲の人を巻き込んでものごとを前に進めていく力も身につけられたと思います。

印象に残っているエピソードがあります。それは、入社して間もなく、1週間のサマーインターンシップを1人で企画したことです。本当に右も左もわからない状態で、たくさんの社員に協力をお願いしてなんとかやり遂げました。ヘロヘロになるくらい大変でしたが、学ぶことは多かったです。

――人を巻き込む力の重要性を感じたエピソードもあれば教えてください。

私は2年間、主に新卒採用を担当していたのですが、最初の頃は組織に新卒採用の重要性が浸透していませんでした。人事の仕事は他部署の協力なしには成り立ちませんが、当時は多くの社員が自分の業務に注力したいと考えていて、人の採用や育成に手間を割くことに消極的でした。

そこで、現場になるべく負担をかけないようにしつつも、新卒採用の意義をみんなに伝えて、社員のマインドを変えていきました。その結果、新卒採用の重要性が少しずつ会社全体に浸透していったと思います。今その会社は、新卒採用をとても大切にしています。その土台を築けたのは嬉しいですね。

――人を巻き込む力は、Chatworkでのスクラムマスターの業務に活きていますか?

職種に関係なく人を巻き込む力は大切だと思いますが、特にスクラムマスターはチーム全体を見て、メンバーがより良い方向に動けるよう働きかけるのが仕事の一つなので、非常に役立っていますね。私は組織の状況を見ながら各種の調整をし、コミュニケーションを取りながらプロジェクトを進めていくのが好きで、得意です。その強みは、人事の経験をしたからこそ培われたと思います。

再びエンジニアの道へ。そして、Chatworkとの出会い

――3社目では再びモバイルアプリエンジニアにキャリアチェンジされています。

2年間にわたり新卒採用を担当し、ある程度安定して結果が出せるようになったので、やり切った感がありました。次のステップを考えたときに「再びエンジニアとして働きたい」という気持ちに気がつきました。

開発の現場から離れてバックオフィスとして会社を支えるなかで、エンジニアやデザイナーが良いプロダクトを作るために議論をしている姿を見て、うらやましいと思っていたんです。組織づくりや人材育成も好きなので、エンジニアに軸足を置きながら人事的な業務に関わる道もあるのではないかと思い、一念発起してエンジニアに戻る決意をしました。

でも人事をしていた年数の分、他のエンジニアに比べて技術力で遅れをとっているという焦りが強かったです。そこで、業務後に疑問点を調べて、休みの日にリサーチした内容を記事やコードにアウトプットし、スキルアップを図りました。

入社当初はiOSアプリ担当だったのですが、Androidアプリ担当のメンバーが抜け、それをきっかけに初めてAndroidアプリ開発に携わることになりました。iOSとAndroidの両方をやることで、かえってiOSアプリ開発の技術的な概念などを深く理解できるようになり、エンジニアとして成長できたと思います。

――その後、Chatworkへの転職を考えたのはなぜでしょうか?

その会社は組織の規模が小さかったため、徐々にモバイルアプリだけではなくサーバーサイドやインフラといった、フルスタックエンジニア的な働き方が求められるようになりました。私はエンジニアとしてキャリアを積むならば、モバイルアプリを突き詰めたいと思っていたので、会社との方向性にずれを感じました。また、モバイルアプリの深い技術を教えてくれる先輩がおらず、いずれスキルが頭打ちになるのではという不安もありました。

そんなタイミングで、たまたまChatwork社員と交流する機会があり、Chatworkにはモバイルアプリケーション開発部という専門の部署があると聞きました。そこにはモバイルアプリが好きな人が集まっていて、高い技術を持ったベテランのエンジニアもいるとのことで「自分の求めている環境だ」と感じ、応募しました。

選考過程で印象的だったのが、要件に沿ってモバイルアプリを開発するコーディング試験です。部署メンバーの前で、大きなプロジェクターを使って成果物についてプレゼンをしたのですが、設計や実装についてかなり突っ込まれて「これは落ちたな……」と思っていました(笑)。でも、コードが水準に達していたようで、無事に入社が決まってよかったです。

人にも、組織にも、開発にも関わりたい

――Chatwork入社後は、どのような業務を担当してきましたか?

念願通りモバイルアプリエンジニアとして働きました。いろいろなプロジェクトに携わったのですが、特に印象に残っているのがマルチアカウント機能の新規開発です。入社して初めてのプロジェクトで、かつ難易度も高かったのでかなり苦戦しました。でも、プロジェクト終盤には他のモバイルアプリエンジニアの方々が総出で助けてくれて、無事に終えることができました。チームプレイの大切さをあらためて実感した出来事です。

また昨年度は新卒社員の育成も担当しました。人事経験を活かして、スキルレベルに合わせた研修をしたり、定期的に1on1をしたりしたのですが、現場での育成の大変さがよくわかりました。

「その人を早く育てて、一日も早くチームで活躍できるようにしてあげたい」という意識は人事の頃からあったものの、開発チームの一員として新卒社員の育成に携わると、その切迫感がより強くなったように思います。人事時代とは違うプレッシャーがありました。

なおかつ、自分が他のプロジェクトを担当しつつ育成を担っていたので受け持つ作業が多く、そういった意味でも大変さがありました。1人の新卒社員を長期間にわたり育成する経験は、スクラムマスターをするうえでも役立っています。

――ちょうど話が出てきましたが、スクラムマスターになった経緯も伺いたいです。

人や組織という文脈から、もともとスクラムマスターには興味があり、関連書籍を読んでいたものの詳しくはありませんでした。ある日、上司との1on1で「スクラム開発を強化したいので、スクラムマスターをやってみないか」と言われて。最初は戸惑いましたが、意義のある仕事だと思って引き受けました。2社目での人事経験をダイレクトに活かせそうですし、人や組織にも開発にも関わりたい、私の集大成のような仕事だと感じたんです。

実際にスクラムマスターを担当してみて、もちろん人事経験がなくてもできる仕事ですが、当時の知見はとても役に立っています。スクラムマスターは、人やチームの成長を見守るポジションです。人事の仕事でも、人が成長する過程を見るのが好きだった私にとって、人事とスクラムマスターは地続きだと感じています。コーチングなどスキル面でも共通する部分が多いです。

スクラムマスターになった当初はエンジニアと兼任していたのですが、2022年3月から専任のスクラムマスターになり、責任の重さを感じつつも、仕事がすごくやりやすくなりました。

――やりやすさの要因は、どのような点にあるのでしょうか?

兼任時は、自分の中のエンジニアとしての意見とスクラムマスターとしての意見が、必ずしも一致せず葛藤もありました。

スクラムマスターの役割は、課題の解決ではなく、チームに気づきを与えてメンバーが解決するのを“手助けすること”です。しかし、エンジニアは課題解決が仕事なので、両職種の考え方のバランスを取るのが難しいと感じることもありました。今は専任なので、チームを俯瞰しつつメンバーのコーチングやティーチングをして、気づきを与える役割にフォーカスできるようになりました。

Chatworkは社員のチャレンジを推奨してくれる環境

――今後の目標について教えてください。

しばらくはスクラムマスターとして経験を積む時期だと考えています。そこで得たものをチームに還元して、結果としてプロダクトをより良いものにしていきたいですね。将来的には組織レベルでスクラム開発を導入するお手伝いができたらと考えていますが、先のことはまだわかりません。そのとき巡ってきたチャンスに乗って、自分らしいキャリアを築きたいと考えています。

――Chatworkで働く醍醐味はどのあたりにあると思いますか?

やはり多くの人が使っているサービスに携われることは大きな意義があると感じています。サービスの信頼性や利便性に対する責任が重大だからこそ大変な部分はありますが、その分やりがいや達成感も大きいです。

また、社内に「Chatwork」というサービスが好きな人が多く、みんなが同じ方向を目指せているのも魅力です。プロダクトを良くしていこうという建設的な気持ちで議論ができていて、仕事をするのが楽しいです。

――Chatworkへの転職を考えている方にメッセージをお願いします。

Chatworkは社員のチャレンジを推奨してくれる環境が整っており、その取り組みにリソースを投資してくれます。私自身、未経験だったスクラムマスターにチャレンジできました。新しいことに挑戦したい、仕事の幅を広げたいといった想いがある人には、おすすめしたい会社です。

――折田さんのさらなる活躍が楽しみです。今回はありがとうございました。

 

撮影場所:東京オフィス(WeWork 日比谷 FORT TOWER)