Cha道

Chatworkの「人」「組織」を
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月額1万円で進める「小さなDX」。そこに私の全てを注ぐ。

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「私の仕事の原点は、保険会社のコールセンターのアルバイトで、事故やトラブルに遭った人の不安に寄り添ってきたこと」と、DXソリューション推進部の木村優美は語ります。Chatworkユーザーに対して、新規商材の導入促進を通じて、業務改善を図るのが彼女のミッション。
中小企業の職場の課題に、どのように向き合っているのか。彼女自身が提供する「DX」とは何なのか。また、そこに見出した仕事のやりがいは何か。これまでの人生を振り返りながら、話してくれました。


■プロフィール

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ビジネス本部 ビジネスデベロップメントユニット DXソリューション推進部

木村優美

東京都出身。明治大学 政治経済学部卒。大学時代に打ち込んだのは、コールセンターのアルバイト。2017年4月に大手銀行系のリース会社に新卒入社。都心の支店で法人営業を担当した。その後、外資系生命保険会社に転職をして、営業チームの支援業務を中心に担う。2020年8月にChatworkにジョイン。インサイドセールスを経験後、現在はDXソリューション推進部にて新規サービスの導入推進を担当。休日の楽しみはK-POPの動画鑑賞やスポーツ観戦。

4年間、人間の本性と電話越しに向き合ってきた

――今につながる仕事の原体験を教えてください。

 大学時代のコールセンターのアルバイトです。自動車保険の緊急受付の窓口を4年間担当したのですが、そこでの経験が今につながっています。週に3〜4回シフトに入り、多くの問い合わせに対応しました。
特に最初の頃は、電話の向こうのお客様に怒られることも多かったですね。事故やトラブルに遭ったお客様への対応がメイン業務だったので、「言い訳はいいから、とにかく現場に来てくれ」「あなた社員じゃないの?何で、こちらの疑問に答えられないの?」と言われることは多々ありました。人身事故の被害者のご家族から、警察の事情聴取中に泣きながらご連絡をいただいたこともあります。「人間の本性と電話越しに向き合う仕事」と言ってもいいかもしれません。辛い思いや悲しい思いになることも多かったですね。

困っている人を少しでも楽にするために、前を向いて改善を重ねた

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――学生のうちから、なかなかハードな経験をしていますね。

ただ、やっぱりお客様から頼られる仕事でもあるので、何とか力になってあげたかった。一期一会で顔を合わせない、声だけのつながりかもしれませんが、困っている人を楽にしてあげたい。そういう想いがあったので、自分なりに改善を重ねました。マニュアルやその背景を完璧に理解して、分からないことがあれば先輩や上司にアドバイスを求めたり、業務後は毎回振り返りを欠かさずにおこないました。
すると、目に見えて自分の成長を感じられたのです。パニックに陥っている人をなだめられるようになりましたし、お客様の感情を読み取りながら、冷静に対処法をご案内できるようになりました。たとえば、「旅行先でクルマがパンクして帰れない」とご連絡をいただいたお客様へは、レッカーの手配、修理工場への連絡、入庫の手続き、帰宅費用の精算のご案内まで、一連の流れをよどみなく進められるように。「木村さんのおかげで、何とか家に帰れそうです。家族も安心しています。ありがとうございました」と言っていただいたときは嬉しかったですね。言葉だけではなく、電話口からお客様の「安堵の息づかい」が感じられるんですよ。表情が見えないだけに、余計に感情が伝わってくる。その瞬間に、ああ、この仕事をやっていて良かった、と思っていました。

自分の価値を見いだせない。最初の職場での挫折と退職

――大学卒業後は、どのような仕事に就きましたか?

大学を卒業して入社したのが、大手銀行系のリース会社です。もともと営業の仕事に就きたかったのですが、その中でもリースという業態は商品の幅が広いんですよ。法人のお客様の状況に合わせて、何でも提案できる。設備のリースはもちろん、補助金、節税商品、不動産リース、ビジネスマッチングなども取り扱いました。
配属は、花形と言ってもいい都心の支店でした。さあ頑張ろう!と思っていたのも束の間、挫折を味わいました。私についてくれていたメンター社員が体調を崩して、その業務のほとんどが新人の私に降ってきました。リースの営業で新人がいきなり成果を出すのは難しく、先輩にアドバイスを求めたのですが、全員が多忙でなかなか相手にされません。数字をつくることができず、上司に詰められる日々を過ごしていました。既存のお客様から2億円の融資案件を失注したときには、激怒されて殺されるかと思いましたね(笑)。

――入社早々、大変な日々でしたね。。

結果、精神が持たずに1年半で退職に。コールセンターのアルバイトで鍛えたスキルを活かせる。そう期待していたのですが、全く通用しませんでした。「家族も安心しました」「木村さんのおかげです」。そういった温かい言葉を掛けてもらうことは一度も無く、この仕事では自分の価値を見出すことができませんでした。

転職したが、オフィスに自分がひとり。決まった仕事がなかった

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――1社目を退職して、どちらに転職したのですか?

次の職場は、外資系の生命保険会社を選びました。前職を1年半で退職したので、何のスキルもありません。辞めたときの精神的な負担も大きく、自分を採用してくれるのだったらどこでもいい。そう思って、「第二新卒採用」を大々的に行っていた会社に入社しました。
個人に保険を勧めるのではなく、銀行の本部に対して、自社の商品を紹介する部署に配属になりました。銀行が抱えている個人のお客様に対して、金融商品とともに保険を売ってもらう。そのための販売促進をおこなうのが部署のミッションでした。
13人の組織で、私以外は全員40代と50代。営業の猛者たちの集団に、一人放り込まれました。皆さんは全国を飛び回っていて、オフィスには誰もいない。ぽつーんと私だけがそこにいて、最初は何をして良いかわかりませんでした。。これは前職と違った意味でヤバいな、、と(笑)。

自分から働きかけることで、「指摘や叱責」が「喜びや感謝」に変わった 

――二社目ではどんなことをチャレンジしたのでしょうか。

何とか自分の存在意義を見つけたい。「ありがとう」の言葉に私は飢えていました。そこで、周りを見渡して課題を発見し、自分から提案するように心掛けました。ベテラン営業マンが自己流で仕事を進める組織でしたので、まずは情報を共有する仕組みづくりから着手。各銀行の最新の保険の申込状況や、顧客層の分析、商談の事例を収集して、丁寧に資料をまとめて全員に配布しました。この取り組みを皆さんに評価していただいて、「営業がしやすくなった」「商談のときに頭が整理できる」「他行の動きが分かるので提案しやすい」などの声をもらいました。
ああ、ここまでやっていいんだ!と安堵しましたね。前職のリース会社では、上司からの指示を待ち、結果が出ずに詰められて塞ぎ込んでいた。自発的に動くことで、仕事も変われば、周りからの評価も変わる。指摘や叱責が、喜びや感謝に変わっていくのを受けて、自分の存在価値を実感することができました。ようやく会社で息をしながら、働けるようになりましたね(笑)。

直接、エンドユーザーに幅広いサービスを提供したいと、Chatworkに

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――そこで生命保険会社を退職して、Chatworkに転職するのですが、そのキッカケは?

会社や組織は自分には合っていたのですが、「直接エンドユーザーの役に立ちたい」という想いが募ったからです。私自身は内勤の仕事でしたから、保険を契約いただくお客様との接点はありません。コールセンターのときのように、お客様の困っている状況を直接解決したい。その想いがふくらんでいきました。そして、2020年の春、新型コロナウイルスの感染拡大のニュースを見ながら、私はこのままでいいのだろうか、、、もっと違う可能性を模索した方がいいのではないか、、と悩みを抱えるようになって、転職活動を始めたのです。
転職を検討したのは、SaaS企業が中心でした。エンドユーザーに対するセールスを募集している会社が多く、自信を持って商品を勧められそうだったから。リースも生命保険も、契約には「人付き合い」の要素が多分に盛り込まれていましたが、SaaSは「役に立つかどうか」がお客様の判断基準。クリアでシンプルな世界で働いてみたいと思っていました。

――SaaS企業の中で、Chatworkを選んだ理由は何ですか?

その中で、もっとも大きなポテンシャルを感じたのが、Chatworkでした。ユーザー数が多く、提供できるサービスの幅も広い。チャットツールだけでなく、金融や業務代行など、様々な関連サービスを提案できるのが魅力に映りました。他のSaaS企業は領域を限定したものが多かったのもあり、Chatworkを選んだのです。

DXソリューション推進部は、新しいサービスを市場に投入する「社内スタートアップ企業」

――Chatworkに入社されて、現在はどんなことをしているのですか?

チャットツールのセールスを半年経験した後に、DXソリューション推進部に異動になりました。たった3人の新しい小さなチームです。全員20代で、電話代行、クラウド受付、助成金などChatwork以外のサービスを提供して、お客様のDXを推進することがミッション。新しいサービスをどんどん市場に出していく、まさにスタートアップ企業のようなチームです。
私の担当の一つとして挙げられるのが電話代行サービス。電話応対を社外の専門スタッフが代行するサービスで、中小企業の業務負荷の削減につながります。このサービスのChatworkでの提供を、私が一手に担っているのです。とにかく何でもやっています。Chatworkユーザーにメルマガを送付して、反応があったお客様に電話でご案内したり、Webサイトに活用事例のインタビューを掲載してそこからの資料請求を促進したり。3人のチームなので、自分で提案して自分で意思決定している感じです。仕事の自由度や裁量も求めて転職したのですが、これ以上の環境はおそらく無いでしょう。

電話の向こうのお客様に寄り添いながら、DXで問題を解決する仕事

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――チャットツールのセールスも経験しましたが、違いはありますか?

チャットツールのセールスとの違いはありますね。無料プランから始められるチャットツールとは違い、電話代行は有料かつ社外にも影響が及ぶので、「試しに使ってみます」という流れになりません。チャットツールは無料で、電話代行は有料なので、「とりあえず導入してみます」という受注ができません。現場で困っている状況を把握した上で、その解決策としてご提案して投資をいただく必要があります。お客様が受けている電話の本数を把握し、その業務を代行することでどれくらい効率化され、売上が伸びるのか。数字で示すことで、初めてご納得いただけることも多いです。クラウド受付も同様で、来客の人数からそこに要している工数を算出して、効率化の提案を行っています。
サービスを提案するのではなく、業務の効率化をお客様と一緒に進める。それがこの仕事の特徴です。営業というよりも、「業務の改善パートナー」のような立ち位置。お客様に寄り添いながら困っている状況を解決するという意味では、コールセンターの仕事とほぼ同じです。だから、自分としてもしっくり来ているのだと思います。ああ、お客様の役に立ってるんだなって、電話の向こうから感じられるので。

月額の1万円には、中小企業の悩みと私の存在価値が詰まっている

――木村さんが手掛けた、具体的な事例を教えてもらえますか?

電話代行サービスのトライアルから受注まで携わったお客様の例として、社員数3名のコンサルティング会社があります。代表の方と2名のパートさんで運営しているのですが、代表自らが電話対応をおこなっていたのです。代行することで捻出できる時間と、働き方や業績の改善案についてお伝えしました。2週間にわたってチャットで疑問に答えながら、トライアルを経てお申し込みへとつながりました。導入後は上手く活用いただいています。
電話代行サービスの月額基本料金は1万円です。法人に対しての売上としては、小さい額かもしれません。ただ、この1万円で提供できる業務改善や働き方の変化は、金額では計れないものがあると思っています。リース会社では数億円規模の案件にも携わりましたが、正直、何を提供しているのか、実感できませんでした。確かにお客様の決算書には数字として刻まれますが、それがどのような問題を解決しているのか、誰を幸せにしているのか、イメージができなかった。
月額1万円かもしれないけれど、そこにお客様の色々な悩みが込められている。そして、私自身の存在意義もそこに込めたい。中小企業のお客様には、ITリテラシーが高くない方も多いです。そこで私がサービスの価値を丁寧にお伝えして、一緒に業務改善を図ることで、少しでも役に立てればいいなと思っています。

「小さなDX」を社会に広げる。それが私のミッションです

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――これからの目標を教えてください。

ITツールを導入することで、業務効率が向上して働きやすい環境に変わることを、中小企業のお客様にもっと伝えていきたいです。「ツールを導入するほどでもない」「そこに優先度は割けない」と言われることもあります。ただ、状況を詳しく聞くと、導入した方が楽になるケースが多い。伝わらないのは、まだまだ私の力不足。自分自身が成長することで、そのような状況を少しでも前に進める。そして、多くの働く人たちを幸せにしたい。そう考えています。
DX、DXって言われますが、中小企業ならではのDXはあると思います。紙やペンを使うシーンが減る、電話の応対が少しずつチャットになる、そして残業が少し減る。それも立派なDXに繋がる第一歩です。一気に何かを変えるのではなく、ちょっとずつでいい。ITの力で日々の仕事を楽にするために、Chatworkを起点にした「小さなDX」をこれからも進めていきます。今後は提供するサービスも増えていき、その立ち上げを担うこともあるでしょう。多くの企業の働き方を変えていく発端になれるのは、やっぱり楽しみですね。