「自分たちが開発しているサービスを『これは絶対に世の中のためになる』と自信を持って提供したい。そんな仕事がしたくて、Chatworkに移ったんです」
鹿児島に在住しながらリモートワークを続けるエンジニアの新沼孝之は、Chatworkへの転職理由をこう語ります。もともと前職時代から鹿児島・東京間でのリモートワークをしていた新沼は、ユーザーとしてChatworkを活用していました。「だからこそ、自分のような働き方の人たちにとって、どれほどChatworkが有益なサービスかわかる」と言います。
今回のインタビューでは、エンジニアのキャリアを選んだ経緯や鹿児島に住むようになった理由、そしてChatworkで実現したい夢などを聞きました。
■プロフィール
プロダクト本部
新沼 孝之
2004年から2010年まで東京のSIerに、2010年から2014年まで鹿児島のシステム開発会社に勤務。2014年にモンスター・ラボへと参画し、鹿児島・東京間でのリモートワーカーに。2019年2月にChatworkへ転職し、Site Reliability Engineer(SRE)としてシステムの管理・運用業務を担う。2021年1月からは新しく発足したプロダクトセキュリティチームに移り、Chatworkのセキュリティ全般を支えている。
ものづくりをして、多くの人に喜んでもらう仕事に憧れていた
――新沼さんは高校卒業後、情報系の専門学校に進まれたそうですね。もともとITの仕事に興味があったのですか?
もともとは、工業デザイナーなどになりたいと思っていました。テレビで車のCMや特集などを見て、フォルムの綺麗さに憧れて。人々の身近にあるものをつくって、誰かに喜んでもらえるような職業につけたらいいなと考えていました。
でも、小中高と野球に熱中しすぎたこともあり、勉強はそれほど得意ではなかったんです。センター試験もあまり点数が取れなくて、自分の志望する大学に進学して、工業系の技術を学ぶことが難しくなってしまいました。
どうしようかと悩んだ末に「これからはパソコンやインターネットを使った仕事が増えてくるだろう」と考え、テクノロジーに関わりたいと思いました。そこで、岩手県の実家を出て、仙台にある情報系の専門学校へ進学することを決めました。専門学校ではJavaを習ったり、アルゴリズムを勉強したり。それからOffice製品の授業もあってWordやExcel、PowerPointの使い方を学びましたね。
――エンジニアの実務に直結する内容ですね! その後、就職活動をしてITの道へ?
専門学校のOBが数多く入社している東京のSIerが、説明会兼選考試験を開催していたので、参加して内定をもらいました。SIerの仕事では、客先常駐で銀行系や物流のプロジェクトに携わりましたね。この時代に、会社の仕組みや社会人としての基本を学べました。
妻との出会いが、鹿児島移住のきっかけに
――2社目の会社に転職されたきっかけを教えてください。
1社目で数年ほど働いた後に、尊敬していた先輩が会社を立ち上げることを聞きました。一緒のプロジェクトで働いたことはなかったですが、すごく話しやすくて頼りになる人で、いろいろ相談に乗ってもらっていました。社会人としての経験を積む過程で「誰と一緒に働くか」「どんな会社で働くか」はすごく大切だと感じるようになっていて。「この人の始める会社なら、働いてみたい」と決意しました。
2社目では、サーバーの運用・管理などインフラを扱う仕事をしました。サーバーを調達して、必要なものをインストールして、ラックに入れて、障害があれば対応して。物理サーバーの保守・運営全般に関わりましたね。その経験が今のキャリアにもつながっていると思います。
――物理サーバーの取り扱いは、けっこう大変な作業ですよね。
いやあ、苦労しました。セットアップの際は、各サーバーに対してOSやミドルウェア・ライブラリなどのインストール作業を行うんですが、「まだ終わらないのか……」と思ってしまうくらい時間がかかりますし、失敗したら最初からやり直し。さらにインストールが終わったら、サーバーを運んでデータセンターに行き、入館申請の書類を何枚も書く必要がありました。それから、月に一度は都内にあるデータセンターをいくつか回って、マニュアルに沿って一台一台点検をしていく作業も必要でしたね。
――骨の折れる業務ですね……。ちなみに奥様と出会われたのも2社目で働いていた頃だとか。
仕事以外のコミュニティ・サークルの活動をしたいと思って探していたら、あるフットサルチームを見つけたんです。最初は男性だけのチームでしたが、女性も募集するようになって、そのなかに現在の妻がいました。沿線が一緒で家も近いという共通点から親しくなったんです。
もともと妻は鹿児島出身で、東京で何年か働いてから地元に帰りたいという思いを持っていました。それに私も、東京はなんとなく仕事をするための土地だと思っていて、家族で一緒に住むイメージが持てなかったんです。その後、妻が鹿児島に戻って遠距離恋愛になってからは、この先ずっと東京で暮らす気持ちもないし、一緒にいたいなと思うようになりました。
そこで、鹿児島に移住して、鹿児島のソフトウェア開発会社で働くことに。地元を出てから仙台の専門学校に通い、就職してからは東京というように住む場所を変えてきたこともあり、「どこに住んでいても仕事はできる」と考えていたので、迷いはほぼなかったですね。
クラウドはなんて便利なんだ! AWSとの衝撃的な出会い
――鹿児島の会社で働かれている時期に、Amazon Web Services(以下、AWS)と出会ったそうですが、きっかけは何ですか?
複数の会社のメンバーが常駐するプロジェクトがあり、そこで知り合った人が「Amazonがやっているクラウドサービスの勉強会がありますよ」と教えてくれたんです。「Amazonってこんなサービスも運営しているんだ」と思い、もともとサーバー管理などに興味があったので、軽い気持ちで参加しました。
そこで出会ったAWSがとにかく素晴らしくて。あんなに大変だったサーバーの立ち上げが、ボタンひとつでできる。「クラウドの世界はなんてすごいんだ!」と衝撃を受けました。AWSの知識を習得したいと思い、のめり込むように触り始めましたね。
余談ですが、その勉強会には当時AWSのエバンジェリストとして全国を回っていた玉川憲さん(現・SORACOM代表)が来ており、彼の仕事ぶりにも大きな影響を受けました。自分たちが開発しているサービスを「これは絶対に世の中のためになる」と自信を持って提供している。自分もそんな仕事がしたいと思って憧れたんです。
とはいえ、AWSに興味を持ったものの、自分が勤めていた会社ではAWSを業務で扱うことはできませんでした。それどころか、鹿児島県内にある他の会社でもAWSを扱えるところはほぼない。AWSに携わるには、自分で起業をするしかないのかなとか、福岡に行かなければいけないのかなとか、いろいろな選択肢を考えました。
そんなときに、リモートワークという働き方があるのを知って「自宅にいながら、世界中どんな会社でも仕事ができるんだ!」とモチベーションが上がりました。鹿児島に住みながら、リモートワークを許可してくれる会社で働けばいいじゃないか、と思いましたね。
――それをきっかけに、現在のワークスタイルになったわけですね!
とはいえ、転職活動は難航しました。当時はリモートワークができる会社がすごく少なかったんですよ。そんななか、たまたまモンスター・ラボの求人情報が目にとまりました。事業内容を見ると、なんと自分が普段使っている音楽系アプリを開発・提供していることがわかりました。
Webサイトにはリモートワークの可否が書かれていませんでしたが、興味が湧いて話をしてみることに。すると、すでにリモートワークをしている社員がいて、私の希望する働き方ができることがわかったんです。本当に嬉しかったですね。
モンスター・ラボでは、AWSを活用したインフラの設計・構築などに携わることができました。各種マネージドサービスの特性を考慮しながら、いかにスケーラビリティを高めつつ安全性・信頼性を維持していくか。高度なインフラ構築を経験できたことは、自分のキャリアにとって大きな意義がありました。
Chatworkに入社して「すごいメンバーばかりだ」と感動
――その後、転職活動をしてChatworkに移ります。どんな基準で企業を選びましたか?
企業を選ぶ基準として、先ほど話題にあがった玉川さんへの憧れがすごく影響しました。自分のスキルを活用して、世の中のためになる自社サービスに携わりたい。「このサービスならば、絶対にユーザーの方々の役に立つ」と自信を持てるような仕事をしたいと思ったんです。そんな考えで転職活動をしていると、Chatworkが候補に挙がりました。
自分もChatworkのユーザーでしたし、まさに私のような働き方をしている人たちの役に立つようなサービスじゃないですか。このサービスを支えていく役割を担いたい、もっと多くの方にChatworkを活用してもらってリモートワークを浸透させたいと思ったんです。
――現在は新型コロナウイルスの影響もあり、リモートワークの重要性はさらに増してきています。
その通りで、私のようなライフスタイルや働き方が一般的になりつつあるのは嬉しいですね。リモートワークの増加に伴ってChatworkのユーザー数もすごく伸びています。多くの方々の働き方を支えていると思うと、社会的意義を感じますね。
――Chatworkにはどんなエンジニアが多いですか?
技術レベルの高い人が多い印象を受けました。インフラに関して言えば、AWSの各種サービスの特性を踏まえつつ、長所・短所を考慮しながらアーキテクチャ設計できるレベルの人がたくさんいる。一般的な会社ならばエース級のエンジニアばかりですよ。入社時は正直なところ「すごいメンバーに囲まれた。頑張らなきゃ置いていかれるな」と思いました。
――なぜ、それほどレベルの高いメンバーが多く集まっているのでしょうか?
全てのメンバーがしっかりと採用に向き合っているからだと思います。自分たちのサービスを成長させるには、今どんな人が必要なのかをちゃんと理解したうえで、適切な人を集めていると感じます。技術的なことはもちろん、カルチャーフィットの部分も含めて総合的に判断しているのがプラスに働いているんじゃないでしょうか。
それから採用以外の理由としては、社員に対するサポートや評価制度がしっかりしている点が挙げられます。仕事と真摯に向き合っているメンバーが「この会社で働き続けたい」と感じられるような環境になっているんです。在宅勤務に対する支援も手厚いので、自分自身も働きやすさをすごく感じています。
Chatworkのセキュリティを支えるエンジニアになりたい
――新沼さんは2021年1月にチームを異動されたそうですね。
それまで所属していたSREチームから、新しく発足したプロダクトセキュリティチームに移りました。Chatworkに入社して数年が経ち、社内で「新沼さんと言えば〇〇」という強みが欲しいと思っていたんです。しかし、SREチームは何かの強みを持ったメンバーばかりで、そのなかで自分の個性を出すのは容易ではありません。
そんなとき、社内でセキュリティに力を入れていきたいという方針発表があり、手を挙げたのがきっかけでした。モンスター・ラボ時代にセキュリティを考慮したインフラ構築をかなり経験しており、その知見を活かせると思ったんです。それに、ユーザーの方々により安全にサービスを使ってもらいたいという気持ちもありました。
――プロダクトセキュリティチームでの仕事内容を教えてください。
Chatworkに関わるセキュリティ全般に責任を持ち、サービスやインフラを管理・運用していくのがメインの業務です。セキュリティ面において、これまで積み上がってきた各種の課題を少しずつ解決していくような仕事をしています。また、バグ報奨金プログラムのプラットフォームであるBugBountyなども活用しながら、ホワイトハッカーの方々にChatworkの脆弱性を見つけていただき、その対応をすることもあります。
――Chatworkがさらに信頼できるサービスになっていくのが楽しみですね!
ありがとうございます! とはいえ、チームができたばかりですし、泥くさい作業もまだまだ多いです。それはそれで楽しいですけどね(笑)。今後は運用のフローや仕組みづくりを続けて、洗練された体制にしていけたら良いなと思っています。将来的にはチームメンバーも増やして、より強固なチームにしていきたいですね。