セールスやマーケティング領域のキャリアを歩み、Chatworkでは「組織の立ち上げ屋」として会社の成長を担ってきた大河内 唱平。
現在は、カスタマーサクセス部で介護業界のお客様と向き合っている。Chatworkを現場で有効活用いただくカギは何なのか。
クレームがほぼゼロの理由は?
そして、彼なりの「究極のサクセス」の定義は?
余すところなく話してくれました。
■プロフィール
ビジネス本部カスタマーサクセス部
大河内 唱平
福島県出身。実家は卸売業を代々にわたって経営。2011年4月、営業支援ツールを展開しているソフトブレーンに新卒で入社。導入後のコンサルティング業務を大手企業相手に手掛ける。その後、シルバーエッグ・テクノロジーに転職。ECサイトでのレコメンドエンジンの提供を通じて、顧客の事業拡大に伴走した。2017年10月にChatworkへ業務委託で入ったのち、11月に正社員としてジョイン。カスタマーサクセス部で介護業界を中心に担当している。これまでは仕事一色の人生で、趣味もあまり無かったが、最近は1歳になった息子と遊ぶことが生きがい。
大手企業相手のコンサル業務を通じて、3年で10年分の成長を
――社会人のスタートを教えてください。
実家が野菜の卸売業をやっていて、漠然と経営者になりたいと思っていました。就職活動では、色々な業界に触れて勉強したいと、コンサルティングやマーケティングの会社を中心に受けました。そして、入社したのが「ソフトブレーン」。上場企業で、営業活動の支援ツールを展開している会社です。自社で製品を開発して、国産のツールではNo.1のシェアを獲得していました。
ものすごくチャレンジングな会社で、何でも任せてもらいました。「3年で10年分の成長を」というキャッチフレーズを掲げて、新人に能力以上の仕事を任せるカルチャー。これが自分にとってはマッチしたんです。営業支援ツールの導入後のコンサルティングを担当したのですが、名だたる企業群にどっぷりと対峙しました。
――具体的にどういった活動をしていたのですか?
業界トップクラスのハウスメーカーに対しては、各エリアマネージャー数千人の前で、営業ツールの使い方をプレゼンしたこともあります。また、大手ホテルの支配人の皆様と、営業や経営についてディスカッションしたり、大手飲料メーカーにおいては、グループ企業のカスタマーサクセスの支援を担当していました。営業支援ツールを導入しても、なかなか使いこなせずに困っている大手企業のお客様を助けるのには、大きなやりがいを感じていましたね。各社ごとに課題が異なるので、しっかりと向き合って課題を抽出して、粘り強く解決していく。4年半に渡るソフトブレーンでの経験は、自分のビジネスマンとしての足腰をつくってくれたと思います。
自分は経営者には向いていない、と当時の社長に気づかせてもらった
――その後のソフトブレーンでのキャリアは?
加えて、社長だけではなく、中小企業の経営者ともやり取りをすることが多くて、いろいろなことを勉強させてもらいました。組織の運営方針や採用活動について1on1で議論する中で、経営についても学べましたが、そこで自分は経営者には向いていないと気付くこともできました。何というか、社長のように突き抜けた考えを持つのは難しいですし、極端な行動も取れないと感じたのです。そういった意味でも、ソフトブレーンは、自分の人生に大きな影響を与えてくれた会社ですね。
正直、転職したくはなかったんですけどね。。かなり仕事にどっぷり浸かっていて、会社にいる時間も長かったので、ライフワークバランスと今後の生活を優先して、転職を考えるようになりました。
国産サービスで世界に勝つ!これは本気だ、と感じてChatworkへ
――ソフトブレーンからどの会社に転職しましたか?
シルバーエッグ・テクノロジーという会社に転職しました。こちらも国内No.1のサービスを運営している会社です。Webサイトに実装するレコメンドエンジンを展開してるので、BtoCやEC領域に携わりたかったので選びました。大手家具販売チェーンや大手アパレル企業との仕事を通じて、Webマーケティングに関する知識を学べたのは良かったと思います。
その次がChatworkです。シルバーエッグ・テクノロジー時代の上司が先にジョインしていて、「かなり伸びている会社で、仕事も面白い。どう?」と誘いをいただいて、2017年に自分も入社しました。当時はセールスやマーケティング部門が現在のようにしっかり組織化されておらず、培ってきたスキルがフルに活用できそうだと感じました。加えて、これまで勤めた会社と異なっていたのは、国産のツールで世界で本気で勝とうとしていたこと。その強い意志に惹かれたのです。
――なるほど。もう少し具体的に、どのあたりが違っていたのですか?
これまでに在籍した2社は、国内ではNo.1のサービスを展開していましたが、あくまで国内市場に限定して外資の商材と戦っていました。一方で、Chatworkはグローバル展開もしており、「ああ、ガチで戦おうとしているんだな」と感じたのです。この大きな目標を実現するために、自分の力を注ぎたいと入社を決意しました。
何でわざわざ新しいツールを、使わなければいけないのですか?
――Chatworkに入社してどのような仕事をしましたか?
入社当時はセールスとマーケティングが同じ部署内に存在し、その中でセールスチームとマーケティングチームに分かれている組織体制でした。最初に配属されたのは、セールスチームでしたが、その後マーケティングチームに異動。
当時ChatworkではSalesforceを2年前に導入していたのですが、あまり活用されていなかったので、この部分から手を打ちました。まずは、全ての営業活動の履歴と成果を可視化しようと。そのベースが無ければ、検証もできないですし、有効な施策も打てません。例えば、展示会で100名の名刺を獲得しても、そこからどれだけ商談に繋がって、どれだけ受注に繋がっているかが分からないと、次の打ち手が見えない。だから、最初はSalesforceを有効活用しようと動き始めました。
――入社後すぐに、業務の改革に動いたわけですね。
もちろん、セールスチームとの折衝は必要でした。毎月の売り上げ目標は達成していたので、「何でわざわざ新しいツールを使わなければいけないのですか?」という声が上がってくるのも無理はありません。セールスチームに対して、勉強会や個別フォローを何度も行いましたし、営業活動の効率化を、伴走しながら少しずつ実現していきました。ソフトブレーンで社外の顧客にやっていたことを、社内向けにやるイメージで、とにかく粘り強くコミュニケーションを重ねましたね。
――営業数値の分析基盤の構築の後は、どのような仕事を?
そこからマーケティングチームからインサイドセールスチーム、ダイレクトセールスチームのローンチを経て、カスタマーサクセス(CS)チームの立ち上げメンバーでした。今振り返ると、Chatworkに入社以降は、すべての営業組織に関わりをもつことができ、チームの立ち上げにも関われました。それが飽きずに続けられている要因だと思います。
これが2020年に入ってからのことです。CSチームは、Chatworkの導入後の活用支援を行うのがミッションですが、当初は業界を絞らずに、あらゆるお客様に一様に対応しようとしていました。その後、より専門性を高めて顧客満足度を上げるためにも、業界専任チームが発足しました。
CSが介護業界の働き方を変えていく、起点となる
――確かに、お客様の業界によって、Chatworkの使い方も違うでしょうね。
僕自身は「介護業界チーム」に所属して、顧客の潜在的な課題にも向き合っています。このコロナ禍においては、現場での三密を防ぎながら必要なコミュニケーションを担保することが大きな課題。そこで、このような提案をしています。
「利用者さんの状況の引き継ぎは、紙(ノート)や口頭ではなくChatworkでやりましょう」
「スキルアップ研修は動画をつくって、Chatwork上で見てもらいましょう」
「現場で困ったことがあったらすぐにサービス責任者・ケアマネージャーがいるグループチャットで報告をしましょう」
「社長とスタッフとのコミュニケーションが機会が少なくなるので、社長のつぶやきチャットをつくりましょう」
「外部の業者さんともやりとりできるグループを設定して、地域包括ケアを取り組みましょう」
――介護事業者ならでは、の提案内容ですね。
Chatworkの使い方を提案する、というよりは、お客様と新しい働き方をつくっていく感覚です。お客様の一つひとつの課題に丁寧に向き合うことによって、生の知見が積み重なっていく。その知見をセールスやマーケティングにフィードバックすることによって、より進化した価値も提供できる。結果として、少しずつかも知れませんが、介護業界の働き方が変わっていくのだと思います。その起点になるのが、CS部の大切な役割なのです。
クレームがほぼ無い、カスタマーサクセス
――CSの仕事の特徴として、どのようなことが挙げられますか?
クレーム対応がほぼ無いことです。そして、お客様に何らかの提案を行えば、必ずと言っていいほど喜んでくれること。これには驚きました。前職と前々職では、考えられないことでしたから。
僕が接したお客様からは、
「ああ、そんな風に使えばいいんですね!」
「確かにその通りですね!さっそくやってみます!」
「え、大河内さん、この業界の人ですか?」
「500円の利用料でここまでやってくれるんですか!」
といった反応をその場でいただくことが多々あります。Chatworkへの満足度が高いことがその大きな要因です。月次継続率が99.6%*と非常に高いのも特徴で、日々お客様に感謝されながら仕事ができるのはありがたいですね。CSという職種に対して「負のイメージ」を持っている人には、ぜひ、Chatworkでの仕事を体験してみて欲しいと思っています。
* 「1-解約率」。解約率は登録ID数に対しての解約率。2019年10月から2020年9月末までの12か月平均値
日本的でウェットなお客様とのコミュニケーション。この強みを武器に、海外サービスと差別化していく
――今後、Chatworkというサービスは、どのように成長していきますか?
入社したときに目標に掲げていたのが、海外の大手IT企業のサービスに勝つこと。その大きな原動力になるのは、僕はCSだと確信しています。お客様とここまでウェットなやり取りは、日系企業でないと難しいと思いますし、Chatworkは会社としてもお客様とのコミュニケーションに大きな投資をしています。お客様の現場に精通しながら「人」を軸に関係性をつくり、中長期にわたって支援することを掲げている。このようなスタンスはきわめて日本的だと思いますし、実際にマーケットの支持もいただいています。
もう一つ。Chatworkのサービスとしての利点は、お客様が社外の人と容易に繋がれる点にあります。社内のコミュニケーションに閉じずに、社外とのコミュニケーションにも無料で使えるので、お客様同士で成功事例を共有することも多い。実際に、先ほどのような提案が、いくつかの会社で自発的に活用されたケースもあります。そうなることで、業界の働き方が一気に変わる可能性がある。僕たちは、コミュニケーションツールの提供ではなく、「働くをもっと楽しく、創造的に」をゴールに置いています。そういう意味では、そもそも海外のテックジャイアントのサービスとは、競合していないのかもしれません。
カスタマーサクセスの「究極の成功」とは、日本中の企業の働き方と組織が変わること
――最後に個人的な目標を教えてください
サービスを普及させていくのと同時に、Chatworkという会社の考え方を広めていきたいです。「働くをもっと楽しく、創造的に」のミッションを掲げているだけあって、社内も本当に働きやすい環境です。一人ひとりのメンバーの強みを活かしてくれる組織ですし、メンバーの可能性にできる限りの投資をしている。僕自身が色々な部署を渡り歩いたのも、「大河内の可能性を広げたい」というマネジメント側の想いがあったからだと思います。
楽しく創造的に働く。強みを活かす。そして、一人ひとりが成長する。そういった組織を、この会社の外にもつくりたい。Chatworkというサービスを、多くのお客様に深く活用いただいた先には、きっとそのような未来が待っているはず。日本中の企業の働き方と組織が変わる。「カスタマーサクセス」の「成功」の意味として、そこまでを見据えていきたいと思っています。